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宇佐美、ハリルのPKキッカー指名も「俺が蹴ることはないと思った」

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[6.3 キリン杯準決勝 日本7-2ブルガリア 豊田ス]

 出番は突然やってきた。前半44分にMF香川真司が接触プレーで腰の右側を負傷。FW宇佐美貴史は「体の準備はできていなかったけど、気持ちの準備はできていた」と香川に代わってピッチへと送り込まれた。

 前半の残り時間はわずかだった。しかし、左サイドハーフの位置に入ると「前半の残り時間で少し意図的に上げながら、後半への準備を含めてという感じだった」とピッチ上を動く。そして後半に入ると左サイドからキレのある突破で守備網を切り裂き、後半12分にはチーム6点目となるゴールを叩き込んだ。

 右サイドを駆け上がったDF酒井宏樹が送ったクロスをファーサイドで受けると、トラップから流れるような動きでシュートを放つ。決して強振するのではなく、コースを狙いすましたシュートで鮮やかにネットを揺らし、A代表3得点目を記録した。

 所属するG大阪ではリーグ戦で約1か月の間、ゴールを奪えていなかった。直近の第14節FC東京戦後には「ギリギリのところで決められていないので、ホンマしょうもない」と語っていたが、この日は「入る時はああいうもんというか、逆にリラックスしてコースを狙えた」と久し振りのゴールに安堵の表情を見せた。

 そして、後半41分にはFW浅野拓磨がPKを獲得し、バヒド・ハリルホジッチ監督が宇佐美をキッカーに指名したことで、自身2点目を奪うチャンスが巡ってきた。しかし、宇佐美は「『蹴れ』と言われていましたが、あのスコア(6-2とリード)で、あの時間帯で拓磨が取ったPKだったから、俺が蹴ることはないと思った」と浅野にキッカーを託そうとする。

「ピッチの中でも『拓磨が行け』となっていた。PA内に行ってしまうと俺が蹴る流れになると思った」。すると、ベンチの「浅野だ」という後押しもあり、ハリルホジッチ監督はキッカー浅野に“OK”を出し、浅野はきっちりネットを揺らしてチーム7点目を記録。PKを託した宇佐美は「結果、(浅野が)外していたら、(ハリルホジッチ監督から)『行けと言っただろ』となったと思うけど」と笑った。

(取材・文 折戸岳彦)

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