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「あの3人がいたので…」最後にチャンスつかんだDF中谷の祈り「託される存在になれれば」

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[6.29 キリンチャレンジ杯2016 U-23日本代表 4-1 U-23南アフリカ代表 松本]

 最後の最後にアピールの機会を得た。DF中谷進之介(柏)がセンターバックでフル出場。「ようやくめぐってきたなと。チャンスを待ち続けた状態だったので」と15年12月U-22イエメン戦以来となる公式戦出場を果たした。

 DF植田直通との連係には「お互いに声を出しながらラインコントロールできたことは良かった」と手応えもあったが、全体的には「相手のコンディションが良くなくて……。あまり攻められなかったし、自分では評価できない」と、自己採点を避けた。

 手倉森ジャパンのセンターバックは植田、DF岩波拓也、DF奈良竜樹という3人がハイレベルな競争をしながら、不動の地位を築いてきた。ところが、奈良は故障で五輪出場が絶望的となり、負傷離脱中の岩波もまだ復帰を果たせていない。チームとしての緊急事態は、しかし中谷ら他の選手からすればチャンスでもあった。

「ずっとあの3人がいたので……。でも、こうしてチャンスをもらえて、待っていた甲斐があったのかなと。もともと五輪への思いは強かった。そういう強い気持ちを持って、呼ばれなくても待ち続けていた」。それは偽らざる本音だ。

 この日は出番がなかったが、センターバック候補にはDF三浦弦太もいる。オーバーエイジではDF塩谷司も加わる。岩波の状態次第という側面もある。植田、塩谷は確定として、“3番手”に食い込むのは中谷か、三浦か、それとも岩波が間に合うのか……。

 五輪メンバー18人は7月1日に発表される。あとは結果を待つだけだ。手倉森誠監督は選手に対し、18人に残る選手、外れる選手について「託す人と託される人」という表現をしたという。リオ五輪世代として、集大成の舞台に立てる選手は数えるほど。しかし、想いは一緒だ。「これからは待つしかない。気持ちを抑えて、テグさん(手倉森監督)が言う『託される』存在になれれば」。中谷は祈るような表情で口元を引き締めた。

(取材・文 西山紘平)

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