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残ったのは悔しさ…“最後のアピールの場”に臨んだ『当落線上の男たち』

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[6.29 キリンチャレンジ杯2016 U-23日本代表 4-1 U-23南アフリカ代表 松本平]

 最終メンバー発表前の最後のアピールの場。サイドハーフのポジションを争い、当落線上にいるMF野津田岳人(新潟)、MF伊東純也(柏)、MF豊川雄太(岡山)は自身の力をピッチ上で示そうと燃えていた――。

 五輪最終メンバーは18人と狭き門となる。すでに発表されているようにオーバーエイジは3選手が内定しており、海外組のFW久保裕也(ヤングボーイズ)とMF南野拓実(ザルツブルク)も当確といえる。キャプテンのMF遠藤航(浦和)や最終ラインの要となるDF植田直通(鹿島)らも同じような立場にあり、GK2人を加えると残された椅子はわずかだ。

 サイドハーフでは南野の他に、この日2得点を奪って完全復活を印象付けたFW中島翔哉(FC東京)と10番を背負って1ゴールを記録したMF矢島慎也(岡山)の選出も確定的。すでに3枠が埋まっている状況であり、他のポジションとの兼ね合いを考えると、残された枠は「1」あるかどうか。だが、そこで野津田、伊東、豊川の3選手は生き残りを懸けた。

 右サイドハーフとして先発出場を果たした野津田は前半20分に好機を迎えたがシュートはGKにセーブされ、その後も効果的に攻撃に絡むことができなかった。本人も「試合の入りから少し力が入り過ぎたし、気負い過ぎた部分はどこかであった。不完全燃焼というか、目に見える結果を求めていたので、すごく悔しさが残ります」と唇を噛んだ。

 後半開始から2トップの一角に入った伊東だが、2トップでのプレーは「大学時代ぶりくらい」。不慣れなポジションでのプレーを「スペースで起点を作ってクロスまでというところはできたけど、あとちょっとでした」と振り返り、後半33分から入ったサイドハーフでのプレーには「あまり仕掛ける場面はなかった」とスピードを活かす場面は限られ、「結果を出せなかった」と悔しさを滲ませた。

 そして、後半14分から最前線に入った豊川も、伊東同様に同33分から持ち場を変え、左サイドハーフにポジションをとった。そして、同42分にはDF松原健(新潟)の鋭いクロスから強烈なヘディングシュートを放ったが、相手GKの好セーブに遭って天を仰いだ。「『何で止めるんだよ』って日本語で言ったけど、通じるわけないですよね」と悔しさを露わにし、「あれを決められればなと思うし、入らないのが今の自分を物語っている」と声を落とした。

 与えられたラストチャンスで、3選手は同じように実力を発揮しようと燃え、ピッチ上を駆け回った。悔しさを残すことになったものの、あとはメンバー発表を「待つだけ」と、指揮官の判断を待つことになる。

(取材・文 折戸岳彦)

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