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MF中島、チーム救う一撃生んだ冷静な“選択”と“分析”

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[8.7 リオデジャネイロ五輪 B組第2節 日本 2-2 コロンビア マナウス]

 負ければグループリーグ敗退が決まる状況で迎えた崖っぷちのコロンビア戦。後半20分までに2点のリードを許す苦しい展開の中、同22分にFW浅野拓磨(アーセナル)の得点で1点差に詰め寄ると、同29分に背番号10が鮮やかな一撃を叩き込んだ。

 FW興梠慎三(浦和)からパスを呼び込んだMF中島翔哉(FC東京)にはプレーの選択肢がいくつかあった。左サイドではDF藤春廣輝(G大阪)がフリーで待ち構えており、リターンパスを受けようと中島を追い越す興梠の姿もあった。しかし、選択したのはミドルシュート。この選択を下した裏には冷静な状況判断があった。

 当然のように藤春の動きは見えていた。「ハル君(藤春)が上がっているのは分かっていたので、その動きをおとりにさせたもらった。そこを使う振りをして一回フェイントを入れて相手を外した」。ワンフェイクを入れて相手の重心を外に傾けると中央に切れ込み、右足を一閃。ここにも迷いはなかった。

「GKを見て、一試合に一度はミドルシュートを打たなければいけないと思っていた」。それは、なぜか――。試合開始からGKクリスティアン・ボニージャの動きを確認した中島は、ポジションを前に取ることが多いと気付いた。事前に手にした情報ではなく、試合中に自らが冷静にGKの動きを分析して得た情報だった。

 迷いなく右足を振り抜いた瞬間、ゴールに入る「感触があった」と振り返るように、勢い良く飛び出したボールはクロスバーをかすめると豪快にゴールマウスに収まり、同点ゴールが生まれた。

 負ければグループリーグ敗退の危機にさらされたチームを救う値千金の一撃。殊勲の男は「負けなくて良かった」と第3節スウェーデン戦に望みをつないだことに安堵の表情を見せると、「次は絶対に勝たないといけない。皆で良いプレーをすれば勝つ確率は上がるので、そういうプレーを見せたい」と意気込む。消えかけた火に再び勢いをもたらした頼れる背番号10は、スウェーデン戦でチームに勝利をもたらすゴールを狙う。

(取材・文 折戸岳彦)

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