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“勝てない世代”が世界で1勝…指揮官が涙で感謝「長い間付き合ってくれて、ありがとう」

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[8.10 リオデジャネイロ五輪 B組第3節 日本 1-0 スウェーデン サルバドル]

 スウェーデン戦で今大会初白星を獲得したリオデジャネイロ五輪日本代表。しかし、コロンビアに勝ち点1届かず、グループリーグ敗退が決まったチームは2年半の旅の終わりを迎えた。

 初戦のナイジェリア戦を4-5で落とし、第2戦コロンビア戦は2-2のドローに持ち込んだものの、2節終了時点で自力での決勝トーナメント進出の可能性は消滅していた。第3戦スウェーデン戦では後半20分にMF矢島慎也(岡山)が決勝点を奪い、1-0の完封勝利で今大会初白星を収めたが、コロンビアがナイジェリアに勝利したため、決勝トーナメントに駒を進めることは叶わなかった。

「勝ってみせたときに何かが続くんじゃないかと期待するしかなかった。チームが向上してきた中での敗退になったのは非常に残念だし、受け入れがたいなと。この先がないことはものすごく残念だし、悔しい思いをさせられた」(手倉森誠監督)

 本大会まで辿り着くか不安視されていた――。手倉森ジャパン発足前の12年11月のAFC U-19選手権、そして手倉森ジャパン初陣となった14年1月のAFC U-22選手権、同年9月のアジア大会のすべてでベスト8敗退と苦い経験をしてきた。さらに15年8月以降はJ2京都、J3町田に敗れ、福岡大に敗れるなど結果がついてこない時期が続き、いつしか“勝てない世代”と呼ばれていた。

 16年1月に迎えたAFC U-23選手権(リオ五輪アジア最終予選)前の下馬評は決して高くなかったが、チームは逆境をはねのけて劇的な勝ち上がりでアジアの頂点まで上り詰め、五輪の切符を手に入れた。スウェーデン戦後に手倉森監督は「あれくらいの活動日数で、よくここまで選手たちは伸びてくれたなと、本当に本音として思う。ものすごく急成長したチームだったんじゃないかな」と選手たちの2年半での成長を感慨深げに振り返る。

 “勝てない世代”が世界で1勝を挙げるまで成長した。しかし、決勝トーナメントまで導けなかったことで、「やっぱり世界での修羅場を経験していない監督と選手が集まったときに最初につまらなミスをしたら痛い目にあうぞというのを、この大会で思い知らされた」とナイジェリア戦の結果を重く受け止めると、「皆を(決勝トーナメントに)連れていけなかった」と唇を噛んだ。

 試合後のロッカールーム。指揮官は、「長い間付き合ってくれて、ありがとう。お疲れさん。受け入れがたいものはあるけど、本当にドラマチックなチームだった。勝って世界大会を去るという変なドラマが、手倉森ジャパンらしいなという話をさせてもらいました」。涙を流し、時には言葉を詰まらせながらも、ここまでともに歩んできた選手たちに感謝の言葉を届けた。

(取材・文 折戸岳彦)

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