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「いまだになんでというか…」落選も覚悟していた山口蛍、指揮官の信頼に迷い断ち切る

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 厳しくも優しいゲキに応えないわけにはいかない。今年6月、ブンデスリーガ2部に降格したハノーファーから古巣のC大阪に復帰した日本代表MF山口蛍。3月以来の代表復帰に「いまだに“なんで”というか、全然覚悟してなかったから……」と戸惑いを見せながらも、「代表に来ればいろんな刺激がある。自分に厳しく問いかけて、一つひとつの練習をやっていきたい」と、表情を引き締めた。

 落選も覚悟していた。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は山口のハノーファー残留を望み、ドイツで直接、自身の考えも伝えていた。しかし、山口の選択は日本復帰。これには指揮官も「うれしくない」と不満を隠そうとはしなかった。

「彼を元気づけるために、ドイツまで行って彼に会った。成長するために、(ドイツに)残って先発を勝ち取ってほしいというメッセージも伝えた。向こうで良いプレーをするためのクオリティーは全部持っていた。ドイツのようなリーグ戦でしっかり戦えば、A代表にとって興味深い選手になるはずだった。ただ、メンタルの面でしっかりアダプトできなかった」

 ハリルホジッチ監督の考えは十分に理解していたからこそ、代表復帰は難しいとも考えた。しかし、今月25日、ハリルホジッチ監督が読み上げた24人の代表リストに山口の名前はあった。「本人が決断すること」と理解を示し、「代表監督としてコメントするが、良い選手をポッと手放すことはできない」と、代表に招集した理由を説明した。

「毎回、A代表で試合をして素晴らしいプレーを見せてくれている。(山口)蛍のようにしっかりボールを奪える選手はなかなかいない。だから私は呼んだ。(C大阪復帰に関して)うれしくないという気持ちはすでに表したが、彼がここ(日本代表)にいるのは彼が良いプレイヤーであるからだ」

 これで指揮官の期待と信頼を感じないはずがない。「呼ばれたからには自分の特長を生かすために呼ばれたと思う。ボールを奪うところ? そこが一番買われていると思うし、そこを出したい。他のことに気を取られると、自分の良さを出せなくなる。そこを意識していきたい」。そう吹っ切れたように話した山口にとっては初のW杯アジア最終予選。未知なる戦いを前にしても、もう迷いはない。

(取材・文 西山紘平)

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