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アジア決戦メンバー発表直前の練習試合は辛勝、U-19代表はU-16代表の「流れに乗って」世界切符勝ち取る

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後半40分、U-19日本代表CB大南拓磨が右足で決勝点

[9.26 練習試合 U-19日本代表候補 3-2 日本体育大 味フィ西]

 17年U-20W杯(韓国)への出場権を懸けたAFC U-19選手権バーレーン2016(10月13日開幕)へのメンバー発表を28日に控えるU-19日本代表候補が、26日に日本体育大と練習試合を行い、FW小川航基(磐田)の2ゴールとCB大南拓磨(磐田)の決勝点によって3-2で勝利した。

 内山篤監督が「23人選ばれるかどうかは別にして、90分間したというのは違うと思う。90分、ゲームをどうしてもやらせたかった」と目的を説明した今回のショートキャンプと練習試合。CB中山雄太(柏)やMF堂安律(G大阪)ら所属チームで出場機会を得ている選手たちの多くは招集されず、前日のJ1でほぼフルタイム出場しているMF三好康児(川崎F)は合宿にこそ参加したものの、この日はプレーしなかった。プロ1年目や2年目で所属チームでの出場機会の少ない選手たちのコンディション向上をテーマに組まれた試合は、途中で運動量がガクンと低下するなど決して内容の良い90分間ではなかったが、何とか勝ちきった。

 4-4-2システムのU-19代表の先発メンバーはGKが小島亨介(早稲田大)で4バックは右から藤谷壮(神戸)、板倉滉(川崎F)、町田浩樹(鹿島)、小島雅也(仙台)。中盤は坂井大将(大分)と渡辺皓太(東京Vユース)のダブルボランチで右MF遠藤渓太(横浜FM)、左MF長沼洋一(広島)、2トップは小川航基(磐田)と高木彰人(G大阪)がコンビを組んだ。

 U-19代表は前半7分、右サイドで切り返して中へボールを運んだ藤谷のクロスを、タイミングよくゴールエリアへ飛び出した小川が左足ダイレクトで合わせて先制。さらに11分には左中間のスペースを突いた小川の右足シュートが左ポストを叩く。だが、日体大の攻撃の前にDFが入れ替わられるようなシーンもあるなど守りが安定せず。サイドから攻められ、MF渡邊龍に右足ボレーを食らうなど決定的な場面も作られた。

 それでも19分、U-19代表は中央で右からのパスを受けた坂井がダイレクトでのスルーパス。抜け出した長沼が右サイドへ流れながらGKをかわしてラストパスを送る。これを小川が左足1タッチでゴールヘ沈めて2-0とした。坂井と渡辺が良くボールに絡みながら前進しようとするU-19代表は直後にも長沼のラストパスで抜け出した遠藤が1タッチでゴールヘ押し込もうとしたが、これをGKに止められると、その後は運動量の低下とともにチャンスの数が減少。坂井が「ほとんど試合をしていない、コンディションに不安がある選手が多いのでそれが原因だったと思います。2点目を取った後に落ちてしまった部分があった」と振り返ったように、試合感覚の鈍さが出たことも影響したU-19代表は攻守に停滞してしまう。

 日体大にボールを握られる時間が増えると、40分には左中間から仕掛けたMF室崎雄斗をDFが止めきれずに左足シュートを叩き込まれてしまった。U-19代表は後半開始から板倉、渡辺、遠藤をCB大南拓磨(磐田)、ボランチMF鈴木徳真(筑波大)、右MF久保田和音(鹿島)へスイッチ。だが、攻撃時の動きが少なく、止まってボールを受けた選手が相手に狙われてしまう。何とかキープしてFKを獲得し、攻撃を組み立て直してもいたが、この日は球際の強度もどこか緩く、また暑さもあって厳しい試合内容となった。その日本は後半17分にバイタルエリアを活用されて、DFラインが背走させられると、最後は左サイドからのラストパスをFW里見直樹に合わされて同点に追いつかれた。

 U-19代表は直後、小島雅に代えて古賀太陽(柏U-18)をピッチへ。後半27分には小島亨、坂井、高木に代えて、GK若原智哉(京都U-18)、MF原輝綺(市立船橋高)、FW岩崎悠人(京都橘高)を投入する。終盤は原や岩崎が運動量を増やしたことによってチームのパスワークにも動きが出て、決定機も生まれる。そして40分、久保田の右CK後の混戦から最後は大南が右足シュートをねじ込んで3-2で勝利。結果は辛勝だったが、ゲーム勘、体力面の不安があった選手たちにとっては貴重な90分間となった。

 5大会ぶりの突破を目指すアジアの戦い。メンバーは28日に発表され、最終調整では所属チームで試合に出ている選手と出ていない選手とのコンディションを合わせて、ベストの状態でアジア突破に挑戦する。26日未明には弟分のU-16日本代表がAFC U-16選手権でベスト4へ進出し、来年開催されるU-17W杯への出場権を獲得した。坂井は「U-16も17のワールドカップ出れたので、僕らもこの流れに乗って20のワールドカップに出られるようにチャレンジしていきたい」と語り、藤谷は「プレッシャーというよりは、下も取っているから僕らも行こうか、という気持ちになると思う」。U-16代表の活躍も刺激に世界を目指す。

 U-20W杯出場権獲得が簡単ではないことは歴史が証明している。内山監督は「4回連続で出られなかったということで出ることに何の確約もなく、チャレンジャーだということを言い続けている。自分たちは奪い取らないといけない」。グループリーグからカタール、イエメン、イランと中東勢3連戦。間違いなく、厳しくなるであろうアジア決戦をタフに乗り越えて、東京五輪世代のU-19代表が世界切符を掴む。
 
(取材・文 吉田太郎)
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