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MF柏木「正直嬉しかった」蛍の決勝点も…イラク戦後の眠れぬ夜

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後半22分までピッチに立ったMF柏木陽介

 喜びと悔しさが交錯した、長い夜だった――。

 イラク戦で先発出場を果たしたMF柏木陽介(浦和)は、後半22分にピッチを後にした。バヒド・ハリルホジッチ監督は試合後の会見で「ボールを奪うところで、少し我々は疲労を感じていた」と説明したように、中盤での回収力を上げるため、ボール奪取能力に長けるMF山口蛍(C大阪)を柏木に代えて投入。「試合展開的に後半、早く蛍が出てきたほうがチームにとってはプラスじゃないかと思った」と、柏木自身も冷静に戦況を見ていた。

 すると、代わってピッチに送り込まれた山口が後半アディショナルタイムに決勝点を奪い、チームは2-1の劇的な勝利。ベンチから見守っていた柏木は「決めてくれて正直嬉しかった」と、素直に喜びを表した。

 試合後は、この日26歳の誕生日を迎えた山口を祝った。宴会部長のDF槙野智章(浦和)ではなく、ハリルホジッチ監督の通訳を務める広島県出身の樋渡群氏が広島カープの歌を歌い、祝いの場を盛り上げた。ユース時代から広島で時を過ごした柏木も「歌は知っていたので、乗っかっておきました」とニヤリ。バースデー弾を決めた山口が「ゴール決めたのは嬉しいですけど、チームが勝ったことが一番うれしいです」と挨拶したと明かし、「かっこつけてましたね」といじった。

 しかし、悔しさはじわじわと込み上げた。「今回の試合は自分の中で不満足。悔しさがあった。今でもモヤモヤした気持ちがある」。試合を思い出し、なかなか寝付けなかった。「決定的なパスをもうちょっと出せる部分はあった」と、ゴールを演出できなかったことを悔やんだ。

 11日に戦うオーストラリア戦(メルボルン)のイメージをしている。イラク戦後の日本時間7日3時にキックオフした、サウジアラビア対オーストラリアの試合も前半途中まで観戦。「蹴ってしまうと相手の思うツボ。できるだけグラウンダーでつなぎながら勝負していけたらいい結果に結び付くはず」と地上戦がゴールへの近道だと話すだけでなく、「監督の言うように『前に早く』を意識しながら、ゆっくりさせるところはしっかりとボールをつなぎたい」と緩急を織り交ぜた試合運びで、難敵オーストラリア攻略を狙う。

(取材・文 佐藤亜希子)

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