beacon

「満足していれば、落とされる」。U-19日本代表、新戦力交えてU-20W杯への競争と強化スタート

このエントリーをはてなブックマークに追加

来年のU-20W杯へ向けた競争をスタートさせたU-19日本代表

 今年10月に開催されたAFC U-19選手権バーレーン2016で17年U-20W杯(韓国)への出場権を獲得し、AFC U-19選手権初優勝も果たしたU-19日本代表が11月30日から12月10日までアルゼンチン遠征を行う。メンバーは出発前の30日午後に千葉県内でトレーニングを実施。来年5月に開幕するU-20W杯へ向けて、アジア予選優勝メンバーやメンバー外だった選手、新戦力も含めての新た競争が始まった。

 この日はポゼッションやゲーム形式の9対9+2などのトレーニング。アジア予選でエースとして活躍したFW小川航基(磐田)が左クロスから豪快なヘディングシュートを決め、追加招集のFW中村駿太(柏U-18)がスルーパスに反応してゴールを破ったほか、DFリーダーのCB中山雄太(柏)や主将のMF坂井大将(大分)が鋭いプレーを見せるなど限られた時間の中でそれぞれが意欲の高いプレーを見せていた。

 アジアの戦いが終わり、“世界仕様”のチームになるためのスタートとなるアルゼンチン遠征。今回の遠征メンバーにはAFC U-19選手権MVPのMF堂安律(G大阪)やFW岩崎悠人(京都橘高)らAFC U-19選手権優勝メンバー数人が不在で、代わってAFC U-19選手権でメンバー外だったFW和田昌士(横浜FM)やMF黒川淳史(大宮)、DF浦田樹(琉球)、DF橋岡大樹(浦和ユース)、DF柳貴博(FC東京)、GK山口瑠伊(ロリアン/フランス)が招集され、内山篤監督が「攻撃のポテンシャルがあります。ボールを持った時に良いものを持っているのは明らかに分かる」と評する注目中学生、FW久保建英(FC東京U-18)が飛び級で初招集されている。

「優勝したことで満足していれば、落とされる」(内山監督)という中でそれぞれが生き残りを目指す11日間。アジア予選の控え組、また特にAFC U-19選手権メンバーに食い込むことができずに悔しい思いをしていた選手たちにとっては貴重なアピールの機会になる。U-17世代から招集されている橋岡が「2個下というのも関係ないというのを見せられるようなプレーをしていきたい」と意気込めば、アジア予選を主軸として戦ったMF三好康児(川崎F)は「下からの突き上げというか、自分もこのチームで一番年齢が上としてやっていますが、もっともっと上を目指さなければいけないですし、下からそういった突き上げというものがある分、より刺激になって、全員がポジションを争うことが、チームの強さにつながっていくと思います」と競争激化を歓迎した。

 コンディションはまだバラバラだが、小川は「(初日のトレーニングでチームメートたちから)『やってやる』というような感じが取れましたし、みんなアジアで勝って優勝して浮かれている選手はひとりもいないと思うんで、次に向かっているというのはあるんじゃないかなと思います」。その小川自身も「本当に安泰な選手は誰もいないと思っている。もちろん自分もそうですし、誰もいないと思っているので、一回一回の遠征で結果出してゴール決めて自分がエースだという自覚をどんどん出していきたい」と危機感を口にする厳しい競争を経て個々が成長し、チーム力を高める。

 この世代のチームは昨年、イングランド遠征を行ってイングランドに1-5で力負け。また今年はフランスやブラジルといった強豪との対戦で悔しい思いもしながら成長してきた。今回はU-20W杯で最多となる優勝6回のアルゼンチンとアウェーで2試合を実施。アジアよりも数段レベルの高い相手との真剣勝負で世界上位の力を体感し、U-20W杯での飛躍に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

TOP