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U-20W杯メンバー発表、内山監督会見要旨

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U-20日本代表を率いる内山篤監督

 日本サッカー協会(JFA)は2日、都内で記者会見を行いU-20W杯メンバー21人を発表した。記者会見にはU-20日本代表の内山篤監督と西野朗技術委員長が出席した。

以下、会見要旨

西野朗技術委員長
「いよいよ20日から韓国でW杯がスタートしますが、これから内山監督より大会メンバーを発表してもらいます。昨年の10月にアジア選手権、堅い扉でしたが、ここ4大会出れなかった、その大会をこじ開けた。W杯韓国への切符をとってから6か月あまりですが、限られた準備期間ですが、その間、南米遠征、ヨーロッパ遠征を実施して、今日発表されるメンバーも本当に戦える、そして最近はチーム内での競争でも各クラブ、自チームでポジションを勝ち取って、そこで高いパフォーマンスを出した選手が選ばれることになりました。

 アジア代表として、アジアチャンピオンとして、それにふさわしいチャレンジを堂々と、世界への発信をしっかりとりながら、日本のサッカーをアピールしてもらいたいと思います。今後、五輪、その先のサッカー界を担うターゲットエイジになる選手ですので、今まで体感したことのない規格外の選手と対戦することもあるでしょうし、想定外のチーム力に対応しなければいけないところも間違いなく世界大会ではあると思う。初めての選手、チームの経験になりますので、間違いなく、その後のサッカー界の財産になることと期待しています。

 この世代、U-20の代表チームだけでなく、来週並行して韓国の本大会に出場するチームが、事前に日本でキャンプします。そのチームに対して、U-20のチームだけでなく、U-20代表候補としてチームを編成して、代表チームは15日にホンジュラスと戦いますが、11日と13日に代表候補として親善試合を行いたいと考えています。さらに6月のトゥーロン国際大会にもU-19の代表チームを派遣して、この世代を多角的に強化して、今後さらに継続して世界大会に出場できるように、さらに強化していきたいと考えています。10年ぶりの世界大会で、この世代が韓国でどういうサッカーを披露してくれるか本当に楽しみでありますし、この大会が本当に成功することを期待しています」

内山篤監督
「2015年にこのチーム、U-18を立ち上げまして、この2年間でのべ83名招集しています。結果的に21名、世界大会へのメンバーを決めましたが、まずはグループリーグを突破して、決勝トーナメント。このチームを立ち上げてきてからの皆の思いを胸に一つでも多く試合をして、当然グループリーグを勝ち上がらないと4戦目がないので、決勝トーナメントからノックアウト方式ですが、頂点を目指して、力を合わせてチーム力を持って戦いたい。今回の選考にあたっては西野技術委員長から話があったように、2年間積み上げてきたものと、あとは対戦相手、いろいろなことが起こると思うので柔軟性を含めた中で、現在のコンディション、パフォーマンスもベストを出せれるというメンバーを自信を持って選びました。ぜひ頑張りたいと思いますので、ご声援お願いします」

――U-19選手権から半年、どういった部分を進化させてきたのか。また、この21人でどういうサッカーをしていきたいのか。
「特にアジア(AFC U-19選手権)の決勝では、フィジカルが高いサウジアラビアに苦戦しまして、我々のチームコンセプトとしては、やはり積極的にボールを奪って攻撃に出ていこうという中で、なかなか意図的にボールを奪えなかった。やはり判断のところで、少し身体能力の高い選手、個の能力の高い選手に非常に手こずってしまったところがあったので、南米遠征、ドイツ遠征、Jリーグの厳しい戦いの中で、そういった部分の個々の意識をもう少し粘り強くというところと、判断のところの柔軟性を持つところは強化してきた中で、チームの方向性は変わらないけど、もう少し特に守備のところでは粘り強く戦っていかないといけない。そういったところを求めてきました」

――細かくポジションごとの選考基準を教えて下さい。
「基本的に最終ラインに関しては1次予選、最終予選と無失点で終えて、ベースとしては変わっていません。杉岡に関してはJリーグのパフォーマンスが非常に高く、レギュラーとして安定している。一次予選、最終予選ではメンバーに入っていませんが、湘南でのパフォーマンスと安定したプレーを見せているということで入っています。中盤に関してもベースとしては変わっていないが、当然長くボールを持てるとは思っていません。アジアよりも支配されることもあると思うけど、マイボールになったときに簡単にボールを失わない、中盤でしっかり前向きの時間を作れる選手をベースとして考えています。攻撃に関しては、世界大会はそんなに簡単ではないが、(遠征等で)ゴールチャンスがなかなか作れないことはなかったので、よりクオリティーの高い選手、チャンスメイクできる選手を選びました。またうれしいことに、ここ数試合、代表選手がJリーグでもゴールを決めてくれているので、そういう良い部分を継続したまま大会に入れたらなと思っています」

――南アフリカ、ウルグアイ、イタリアが入ったグループの印象は?
「南アフリカに関しては身体能力が非常に高くて、予選を見るとゲーム自体がオーガナイズされていないけど、やはり個々の身体能力と意外性、そういった部分では迫力がある。我々もバーレーンでマリ代表と対戦したことがあるが、マリのテクニカルよりも南アフリカはフィジカル中心だと思うので、我々は組織の中で対応していく。間延びしたサッカーをやられると難しくなってしまうので、これは三戦とも言えますが、我々の生命線であるコンパクトに攻守にプレーしていくのが一番大事だと思います。

 ウルグアイに関しては、厳しい南米予選を1位で来ています。フル代表もそうですが堅守速攻のチームで、前線に非常に能力の高い選手がいるので、そこはバランスを持った中でカウンターを含めて、しっかりリスク管理しながら戦っていかないといけない。

 イタリアはヨーロッパの2位で、試合巧者。我々はできるだけボールを動かして、速いテンポでサッカーをやりたいが、そこを防いでくると十分に考えられるので、その中でも焦れないようにしたい。いずれにしても、U-20が若いとは言ってはいけないけど、初めての選手もいて、経験ですし、初戦がいずれにしても勢いに乗れる、大きなチャンスだと思っているので、準備を含めて南アフリカ戦が当然大事になってくると思っています」

――U-20世代が10年間、世界大会に挑めなかったが、この国のサッカーが向上しているという実感は。
「ちょうど世界を目指す4大会でベスト8、決勝トーナメント1回戦で惜しくも負けて。でも昨年は五輪チームのU-23もアジアで優勝して、U-16も世界の切符を取って、我々がアジアチャンピオンとなり、3カテゴリーが結果を出すというのは、育成年代が間違った方向に行っていたら、そういう結果が出ることはないと思う。いろんな積み上げの中で、細部では詰めていかないといけないことがたくさんあるけど、ただ今回出る選手に関しては、世界の厳しい本気の戦いを一つでも多く経験することが東京五輪、フル代表につながっていくと思うし、そういった部分で恐れず、アジアチャンピオンの誇りを持ってアグレッシブに戦いきたいと思います」

――U-20W杯の目標をお願いします。
「アジア予選を突破して、3試合のゲームは勝ち取った。選手にもずっといい続けたけど、誇りを持った中で個々の能力を出しながら、チーム力を持って何とかグループリーグを突破して、1つでも多く試合をこなし、最後はやる以上、頂点を目指して頑張りたいと思います」

――チームキャプテンは引き続き坂井が?
「はい、坂井大将です。彼はブラジルW杯のトレーニングパートナー、U-17の世界大会、前回のミャンマー、一時予選からの経験がある。なかなか自チームでは出場機会に恵まれていないが、そういう経験を含めて、彼はピッチ上でも、ピッチ外でも非常にバランス感覚に優れているし、決していろんなことを声に出していくタイプではないけど、チームを冷静に引っ張ってくれるので、継続してお願いしています」

――久保への評価、アルゼンチン遠征から呼ばれて馴染んで来ているか。
「久保に関しては、昨年の最終予選が終わってアルゼンチン遠征から招集しているが、J3でも出場していたし、U-16のアジア予選も経験して、サニックス杯なども見た中で、私の印象としては彼はサッカーで一番難しい、自分に何ができるかということを一番良く分かっている。味方のこともよく理解して、適応能力が高いというか。アイディアの中で、柔軟に、特に攻撃に関しては変化を持たせられる。グループに入ってたくさんの時間を過ごすのは大事だが、時間が短い中でも判断力が高く、フィットするのもそんなに難しくないだろうという予測のもとで選出しました。やはり判断、的確なプレー、特に攻撃に関して精度の高い選手で、高いレベルをより早く経験して行った方が、彼のために非常にいい。私の感じではアルゼンチンから国内キャンプ、そしてドイツキャンプで成長の速度が目に見えるように、早く感じています。そういった部分も含めて、彼のような選手には早く良い環境と、より高いレベルでプレーさせた方がより効果が出ると感じている」

――日本がU-20W杯に出る意義とは。この大会に出場してどういう選手に育ってほしいか。
「個人的には、久保と同じように他の選手も世界に出ることが、今後自分に足りないところ、自分が何をしていかないといけないか、チームとしてどういうことが必要なのか。より勝って上まで行きたいですが、そういう現実もしっかり見える大会だと思っています。真剣勝負の中でゲームの流れも含めて、いろんな経験をしてみないと分からないし、フル代表、その前の東京五輪、いろんなものにつながっていくと思う。怯えて相手にネガティブに入ってしまうと、何も残らないこともあるので、とにかく持っているものを出してほしい。当然相手に攻められて我慢しないといけない時間があったり、いろんなことを経験すると思うけど、細部のことも感じながら、勝負のところは細部に宿ると思うので、良い準備をして的確にゲームしたいと、それが後につながる。ゲームのコントロールに関しては、これでいいと言うことはないと思うし、素晴らしい経験ができると思うので、アグレッシブにやりたい。それが一番です」

――ボランチに市丸を選出した理由とボランチ全体の選考はどう判断したか。
「一つは自チームで板倉と冨安はボランチもしています。そういった部分で、最終ラインとともに高さが必要となって、彼らをボランチとして考えることもあるかもしれない。市丸は最終予選も非常にテンポを含めてオンの精度が高いので、ゲームのリズムを作っていく、どうしてもそういう時間帯がある、そういうゲームがしたいときに、そういうクオリティーを持っていると思っている。あとは最終予選は守備のところで原が活躍してきたが、今は(新潟で)SBをやったり、J1でレギュラーを勝ち取っていて、守備に関してのユーティリティーは非常に高いと思う。守備はゴールを守るのが一番ですが、積極的にボールを奪う中では、高さも必要なので、そういう選出になっています」

――FWの選考で田川が4人目に選ばれたと思うが、田川に期待することと彼を選んだ理由。
「これもユーティリティーに関わるが、前線に関してはガンバで堂安が2トップをやったり、三好も前線をやります。高さが小川一人しかいないが、タイプ的に前線にほしいと。田川もサニックス杯で左足とスピード、高さなどの身体能力も持っているし、ずっと気になっていた選手だった。鳥栖では交代出場ですが、スピードを生かした中で、かなり明確なゴール前の動きを見せ、スピードを活かした自分の特長は出ていると思った。特に前線に関しては、ちょっと違うタイプの選手がほしかった」

(取材・文 折戸岳彦)

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