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ハリルを振り向かせた!代表初弾の小林悠は「次への候補に入る」

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代表初ゴールを決めたFW小林悠

[12.12 E-1選手権 日本2-1中国 味スタ]

 これがJリーグ得点王の実力だ。0-0で迎えた後半39分、日本代表FW小林悠(川崎F)が均衡を打ち破った。FW川又堅碁のシュートがゴール前にこぼれ、小林と相手GKが詰めると、一歩早く追いついたGKが体に当てたが、ボールはゴールライン方向に流れる。素早く反応した小林は振り向きざまに左足でシュート。これが無人のゴールに吸い込まれた。

「(ゴールは)見えてなかった。自分の位置、ボールの位置、ゴールの位置を考えて感覚で打った」。これが今季のJ1でMVP、得点王、ベストイレブンの“個人3冠”を達成したストライカーの得点感覚だ。14年10月10日ジャマイカ戦での代表デビューから3年余り。国際Aマッチ10試合目の出場で待望の代表初ゴールとなった。

 9日の北朝鮮戦(1-0)は右サイドでの先発だったが、この日は3トップの中央を任された。前後半合わせて5本のシュート。前半22分にはDF植田直通のアーリークロスから、同44分にもMF土居聖真の左クロスからヘディングシュートを放ったが、いずれも枠を捉えられず。「今日は僕の日じゃないのかなと思った」というが、後半30分から右サイドにポジションを移すと、土壇場でゴールを陥れた。

 中2日の連戦ながら2試合連続のフル出場。「体はきつかった。選手交代のとき、(代わるのは)自分かなと何度思ったか」。それでもバヒド・ハリルホジッチ監督はポジションを移してでも小林を最後までピッチに残した。「信じて使ってくれた」という指揮官の期待に応える先制点。その成長ぶりにはハリルホジッチ監督も目を細めるばかりだった。

「小林は素晴らしいシーズンを送って、より得点が取れるようになった。A代表にしばらく呼ばなかったのは、A代表のリズムになかなか乗れなかったからだ。今はアグレッシブに背後に行って、しっかり落としてからまた背後に行く。常にもらえるような状態をつくってくれる。守備にも戻ってプレッシャーをかける」

 攻守にハードワークした小林は中央でもサイドでもプレーできることを証明。「サイドもできるし、真ん中もできる。以前は少し軽かったが、今はかなりアグレッシブに戦えるようになった。フィジカルコンタクトも強くなって、相手にしっかり抵抗できるようになった」。そう手放しで称えた指揮官はロシアW杯のメンバー争いにおいても「かなり高いレベルで次への候補に入る」と、有力候補に躍り出たことを認めた。

「今後も良いパフォーマンスが続けば、私も見続けるし、候補に入れたいと思う。ただ、23人の中にだれが入るかというのはだれにも約束できない」。来年3月には海外組を含めたフルメンバーでの国際Aマッチが控えている。そこでのアピール次第では十分に23人のメンバーに食い込むだけの力はある。

 その前にまずは16日の韓国戦。引き分け以上で2大会ぶり2度目の優勝が決まる日韓戦に向け、「国内組だけだけど、チームには一体感がある。最後も勝って終わりたい」と意気込む小林は「1点決められたから、また決められそうな気がする」と、連続ゴールにも意欲的だった。

(取材・文 西山紘平)

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