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「大人のサッカーをやってくれた」U-17日本代表、新潟選抜振り切って全勝V!

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全勝優勝に笑顔のU-17日本代表イレブン

[7.16 国際ユースin新潟第3節 U-17日本代表 2-1 U-17新潟選抜 デンカS]

 U-17日本代表が全勝V! U-17日本代表は16日、「第22回国際ユースサッカー in 新潟」最終節でU-17新潟選抜と対戦。MF岩本翔(G大阪ユース)と左SB下川太陽(C大阪U-18)のゴールによって2-1で勝った。U-17日本代表はこれで3戦全勝。大会2連覇を達成した。
 
「大人のサッカーをやってくれた」。U-17日本代表の指揮を執った秋葉忠宏監督は、3日連続の45分ハーフゲームと暑さで身体が思うように動かない中、全勝優勝した選手たちに誇らしげな表情を見せていた。ドローでも優勝が決まる状況。だが、前半から非常にアグレッシブにボールを奪いに来ていた新潟に決定的なシーンを作られた。それでも「スカウティングで前から来ることは分かっていた。後半には落ちて来る」(秋葉監督)ことも理解した上で選手たちは慌てずにゲームコントロール。もちろん、代表チームの強さを示したい気持ちはあったはずだが、焦れずに攻めた日本は前半に先制すると、後半にもカウンターで加点して白星を勝ち取った。

 トレーニングパートナーを含めると、今回のU-17日本代表新潟合宿メンバーは10人以上が初招集。大会前には不安視する声もあったようだが、それでもトレーニングからエネルギーを持って取り組み、試合ごとに出た課題を改善しながら成長したU-17日本代表が全勝で頂点に立った。

 メキシコ、クロアチアに連勝して最終節を迎えた日本は4-4-2システム。GKは鈴木彩艶(浦和ユース)で4バックは右SB井上樹(甲府U-18)、CB馬場晴也(東京Vユース)、CB丸山海大(東福岡高)、左SB下川の4人。中盤は柴田壮介(湘南U-18)と岩本のダブルボランチで右MF小田裕太郎(神戸U-18)、左MF井上怜(市立船橋高)、2トップは津久井匠海(横浜FMユース)と栗原イブラヒムジュニア(三菱養和SCユース)がコンビを組んだ。

 一方、新潟はJ注目GK相澤ピーター・コアミ(日本文理高)やFW晴山岬(帝京長岡高)が先発。前半はその新潟が精力的なプレッシングで中から外側へと相手を押し出していく。6分、7分には晴山が右サイドの角度のない位置から連続シュート。日本はGK鈴木が好反応ではじき出したが、31分にもカウンターから攻め上がってきたMF吉田晴稀(帝京長岡高)にあわやのミドルシュートを打ち込まれるなど危ないシーンを作られてしまう。

 それでも、存在感あるプレーを見せる柴田のインターセプトなどから攻め返したU-17日本代表は栗原の高さを活用。そして、井上怜や小田がフィニッシュに持ち込んだ。苦しいパスを奪われていた序盤から、徐々に岩本や柴田を中心にゆっくりと攻撃を組み立てたU-17日本代表がペースを握っていく。そのU-17日本代表が36分にスコアを動かした。左スローインを受けた栗原が力強いターンからPA方向へドリブル。DF2人を振り切って中央へ繋ぐと、パスを受けた岩本がGKのタイミングを外して放った右足シュートをニアサイドのゴールネットにねじ込んだ。

 畳み掛ける日本は37分にも津久井が抜け出してビッグチャンス。だが、新潟はGK相澤が1対1をストップして追加点を許さない。逆に45分には相澤の飛距離十分の左足キックを起点に左サイドを打開した晴山が右足シュート。だが、このシュートもGK鈴木が止め、U-17日本代表が1-0でリードして前半を終えた。

 新潟は後半も相澤やCB平野蒼波(新潟西高)のフィードなどからサイドを活用してゴール前のシーンを作り出す。MF古俣眞斗(日本文理高)の左クロスにMF庄内碧(北越高)が飛び込んだほか、晴山が相手の背後を突いてチャンス。PAわずか外側で獲得したFKをMF谷内田哲平(帝京長岡高)が直接狙うなど地元・新潟の観衆を沸かせた。

 だが、U-17日本代表は3試合連続先発の馬場と井上樹、そして丸山らが身体を張った守り。12分、井上怜と津久井に代えてMF松橋優安(東京Vユース)とFW若月大和(桐生一高)を投入し、27分には鈴木と小田に代えてGK板橋洋青(鳥栖U-18)とFW染野唯月(尚志高)をピッチに送り出した。

 井上樹の右クロスから染野が決定的なヘッドを放つなど、守備に重きを置きながらチャンスを作るU-17日本代表は35分、自陣左サイドからカウンター。ドリブルで持ち上がった下川が栗原とのパス交換で一気にゴール前へ抜け出す。最後は狙い通りの左足ループシュートでGKとの1対1を制してゴール。指揮官も絶賛したカウンターで白星に近づいた。

 U-17日本代表は直後に井上樹と栗原を右SB鷲見星河(名古屋U-18)とMF井上航希(京都U-18)にチェンジ。諦めない新潟は41分、左サイドの古俣のパスからドリブルでDFのマークを外した晴山の折り返しが、相手DFのオウンゴールを誘って1点差に迫る。さらに若月の決定的なシュートを交代出場GK猪越優惟(帝京長岡高)のファインセーブで凌いだ新潟は、ラストプレーでビッグチャンスを作る。素早いパス交換で日本を後退させると、最後は晴山のスルーパスに走り込んだ谷内田が左足シュート。だが、コースを消したGK板橋の好守によって日本が逃げ切った。

 6月にU-19日本代表のコーチとしてロシア遠征に帯同した秋葉監督は、W杯に臨むA代表の姿から「覚悟」を感じたのだという。「言葉ではなくて態度から感じさせてもらいました」。U-19日本代表はその覚悟を現地で体感し、U-17日本代表は今回の合宿で伝え聞いた。将来、同じ舞台に立つことを目指すU-17日本代表の選手たちは、高い意識を持って成長した新潟合宿の日々を日常でも維持すること。そして、思い描いている夢を実現させるために覚悟を持って取り組み、試合で結果を残して、またブルーのユニフォームを着るチャンスを得る。

(取材・文 吉田太郎)

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