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アジア突破へ、U-16日本代表は「最初の1秒から爆発する」

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U-16日本代表の森山佳郎監督は「『最初の1秒から爆発する』ということをテーマにやっている」

 02ジャパンは「最初の1秒から爆発する」。02年生まれ以降で構成されたU-16日本代表は、9月20日開幕のAFC U-16選手権マレーシア2018で19年U-17ワールドカップ出場権(4枠)獲得とアジア制覇に挑戦する。

 そのU-16日本代表が課題となってきたのが、エンジンのかかりが遅かったり、受け身になったりしてしまう部分だ。6月のインターナショナルドリームカップ(仙台)ではU-16パラグアイ代表との初戦で序盤に2失点してから火がつき、後半は熱くファイトし合う好勝負を展開。だが、2-3で敗れると、続くU-16セネガル代表戦、U-16スペイン代表戦も序盤の失点で流れを失って3連敗を喫した。

 その悪グセは8月のヨルダン遠征でも表面化。U-16インド代表戦では緩さのあった前半を0-1で折り返すことになった。森山佳郎監督から「こんなんじゃ予選なんか突破できる可能性はない」と檄を受けたチームは後半に2点を奪い返して逆転勝ちしたが、指揮官は「戦うという部分ではかなり課題を引きずってきた」と分析する。

 2年前にFW久保建英(現横浜FM)やMF平川怜(現FC東京)、DF菅原由勢(現名古屋)らを擁したチームでU-17W杯出場権獲得を果たしている森山監督は、「前回の2000年(生まれ)の選手たちは『オレが』『オレが』とサッカーの面でも個人で仕掛けて、『オレがゲーム決める』という選手がたくさんいた」と振り返る。

 今回の02年生まれ組は所属チームでレギュラーを獲得している選手の数が比較的少なく、「中心メンバーもまだまだ出てきていない状況」(森山監督)だ。ただし、誰が出ても遜色なくできる良さがあり、距離感やコントロールの質の良さなどグループ、チームで勝負できる世代。ヨルダン遠征で4連勝するなど、苦しみながらも白星を引き寄せる力が身に付いて来ている。

 森山監督は「選手の中でも(エンジンのかかりが遅いことに対する)危機感があって、今、こちらから掛ける言葉というのも『前半から』『最初の1秒から』と。『最初の1秒から爆発する』ということをテーマにやっている」。わずかな緩みが失点、敗戦に繋がるAFC U-16選手権では、キックオフから相手を飲み込むくらいにファイトし、試合の主導権を引き寄せて勝つ。

「アジア予選もかなり苦しいゲームが予想されるけれども、みんなで勝利を手繰り寄せて、(アジア大会準優勝の)U-21代表のように一戦一戦成長して出場権を勝ち取る、優勝できるところまでいければいい」と森山監督。指揮官が「ハンパない一戦」と語る代表決定戦(準々決勝)に良い状態で臨むためにも、U-16日本代表は試合途中、大会途中でエンジンに火をつけるのではなく、「最初の1秒から爆発する」。

(取材・文 吉田太郎)

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