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「ああいう作業が大事」酒井宏樹、“初戦は難しい”を前向きに消化

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初のアジア杯に臨むDF酒井宏樹(マルセイユ)

「試合が終わった後に『初戦は難しい』とは絶対に言いたくない」。アジアカップ初戦のトルクメニスタン戦を翌日に控えた8日、日本代表DF酒井宏樹(マルセイユ)が強調したのは『難しさ』との向き合い方だった。困難な状況に陥ることを恐れるどころか、「それを経験できれば」と前向きに受け入れる構えだ。

 どの大会を迎えるにあたっても指摘される「初戦が大事」「初戦は難しい」といった常套句。大会の立ち上がりが精神的に難しいというだけでなく、相手の情報に乏しいこと、また大会全体を左右する点からも広く語られてきた言葉だ。ただ、酒井はここで与えられた難しい状況をポジティブに受け止めている。

 チームの仕上がりを問われた際には「まだまだこれから」と満足な評価を与えなかった一方で、「難しい問題が起きるかもしれないけど、自分たちでピッチ上で解決していくことができる」と前向きに展望。「今まで上の人たちがやってきたことを、新しい11人で解決していきたい」とあっさりと語ってみせた。

 そんな酒井が「うまくいかないのがすごく良かった」と語ったのはキリンチャレンジ杯・ベネズエラ戦(△1-1)。渋滞で会場到着が遅れてアップ時間が十分に取れず、低調な立ち上がりを迎えたものの、選手交代で盛り返した試合だ。「ああいう作業をやっていくことが大事」とある種の成功体験として受け止めているようだ。

 FIFAランキング127位と明らかな格下のトルクメニスタンに対しても「間違いなく見下しているところは全くない」と油断はせず、真っ向からぶつかっていく構え。そして難しい状況が起きても、「ピッチ上で解決していくべきだし、ピッチ上で対応を決めていかないといけない。どのチームに対しても同じ精神状態」と心の準備はできている。

 だからこそ、自身の役割も「難しい状況を打開したり、防ぐことができればチームの勇気になる」と難局の突破にフォーカス。「声を出すということもそうだけど、僕にできることは素直にプレーすることなので、プレーで引っ張っていきたい」。フランスの名門で落ち着きを身につけた26歳は、自身初めてのアジア杯にも泰然自若で臨む。

(取材・文 竹内達也)

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