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[AFC U-16選手権予選]FW内藤がU-15日本代表救う!予測力と日々のヘディング練習が生み出した劇的同点弾

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後半アディショナルタイム、U-15日本代表FW内藤大和(ヴァンフォーレ甲府U-15)が同点ヘッド

[9.22 AFC U-16選手権予選第3節 U-15日本代表 2-2 U-15マレーシア代表 ラオス]

 AFC U-16選手権予選最終戦、マレーシアとの試合は1-2と相手にリードを奪われたまま、後半アディショナルタイムへ突入していた。

「選手は今までに感じたことのないようなプレッシャーを感じていたと思う」(森山佳郎監督)という緊張感に加え、中1日で炎天下の90分ゲームを3連戦というU-15年代にとっては明らかに過酷な日程がもたらす肉体的な消耗もあった。明らかに走れなくなっている選手もいる。心身両面で厳しい状況だった。

 ただ、FW内藤大和(ヴァンフォーレ甲府U-15)の判断はこの状況でもクールで的確だった。「そんなに焦ってなかった」と言い、実際に2トップの相棒・鈴木大翔(ガンバ大阪ジュニアユース)とクロスボールに対する入り方を確認する余裕もあったという。どちらかがニアに突っ込んで、もう一方がファー。鉄則通りの動き出しを、もう一度確認していた。

 迎えたワンチャンスだった。左サイドを連係よく崩したMF山崎太新(横浜FCユース)からのクロス。2トップの動きは内藤がニア、鈴木大がファー。内藤は「練習では山崎くんのクロスはファーに流れることが多かったけれど、蹴り方的にニア寄りになりそう」と予測して動き直し、ほぼ中央に近い位置へステップを踏み直しながら、このクロスへしっかりと頭で合わせる。内藤のオフ・ザ・ボールは、鈴木大が「代表に入ったとき、『凄い』と思ってマネをした」というほどの質を持つ達人技だが、それもこうした予測力の賜物だ。

 ただ、頭で合わせた結果、枠外へ行ってしまうことが多いのは内藤の弱点だった。「(クロスに対して)マークは外せるのだけれど、ヘディングが入らなかった。だからチームでずっと意識してヘディングの練習をしてきた」と言う。苦手意識が変わってきたのは本当に最近のことだと言うが、トレーニングの成果どおりにしっかりミートしたボールがゴールネットを揺らし、U-15日本代表は何とか敗戦を回避することとなった。

 とはいえ、引き分けという結果にも、1得点という結果にも、内藤に満足した様子はない。「前半に決められるチャンスはあった」と振り返りつつ、「自分がFW陣ではまだ一番下だと思ってやっている。早い内からユースで試合に出て活躍して、(競争に)負けないようにしていかないといけない」と、来年秋のAFC U-16選手権に向けて気持ちを引き締め直した。

(取材・文 川端暁彦)
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