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“第2波”真っ最中のフランスから合流したDF酒井宏樹「慎重に活動しながらも喜びを感じてプレーしたい」

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笑顔でランニングするDF酒井宏樹(マルセイユ)

 待ちに待った代表活動再開に安堵しながらも、表情には一抹の不安が残っているようでもあった。昨年11月以来となる日本代表合宿に参加しているDF酒井宏樹(マルセイユ)は、「この状況で代表活動ができるのかと思った。(W杯アジア)予選をすべて終わらせることができるかという不安のほうが大きかった。代表活動自体が実感できなかったのが本音です」と率直にコメントした。

 それもそのはず、酒井が住むフランスは新型コロナウイルス感染症第二波のまっただ中。今月に入っても新規感染者数が1万人を大きく超えており、日本とは肌感覚が違う。そんな中で日本サッカー協会が勇気をもって設定した国際マッチ。酒井は「今回の代表活動で、これからの日本代表の活動がすべて決まる。慎重に活動しながらも、やれることに喜びを感じてプレーしたい」と意を決するように言った。

 状況への不安はあるが、ひとたびピッチに入れば今季は充実の日々を過ごしている。左足首の遊離軟骨に悩まされ、痛みを抱えながらのプレーだった昨季は、フランスリーグが途中で打ち切られた後の3月17日に手術。今季は痛みから解放され、開幕からリーグ戦全6試合に先発出場と躍動している。

 中でも9月13日にパリで行なわれた第3節パリSG戦では、FWネイマールを抑えて1-0の勝利を演出。11年11月27日以来9年ぶりとなるパリSGからの白星に大きく貢献し、マルセイユのヒーローとなった。「去年はけがもあってコンディションが悪い中でプレーしてなかなかうまくいかないシーズンだった。今シーズンこそはという強いリベンジのような気持ちはある」と力を込める。

 状態の良さは日本代表にも当然生きてくる。「今回やるアフリカの2チームは強いので、体感することのないような選手と戦うことになる。フランスで自分より速く、自分より高く飛べて、自分より強い相手に出会うことができて、どうやって止めることができるかに気付いた。そういう選手と戦うことで、いろいろな刺激や気づきがあると思う」。

 マルセイユには今季、長友佑都が加入した。「佑都くんは本当にモチベーション高くやっていますし、すごくポジティブな選手。いつも良い刺激しかもらっていないですし、一緒にいて光栄」(酒井)という。チーム内で良いムードを醸している様子がうかがえるが、今回は体調不良のため代表を辞退し、フランスメディアは胃腸炎で入院と報じている。「来られなくて本人が一番残念だと思う。向こう(マルセイユ)でコンディションを上げることに全力を尽くしていると思うので、また一緒に代表に来られるようにしたい」と話していた。

(取材・文 矢内由美子)

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