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日本vsカメルーン 試合前日の森保一監督会見要旨

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 オランダ・ユトレヒトでカメルーン代表と対戦する日本代表森保一監督が8日、オンラインで前日の記者会見を行った。

 以下、試合前日の森保一監督会見要旨

森保一監督
「代表活動をする点で困難な中、環境づくりに尽力してくださった全ての方々に感謝を申し上げたい。そしてコロナ禍になって、医療従事者の方々は命がけでわれわれの命を救うために戦ってくれている。社会の機能を守るため、われわれの暮らしを守るために身を粉にして働いてくださっているソーシャルワーカーの方々がいて、いまこうしてわれわれの活動ができていることに感謝申し上げたい。今回の試合では新型コロナウイルスの影響で困難な生活を送られている方々、日本で頻発している自然災害などで困難な生活をしている大変な方々が多い。われわれの戦いを通して、支援、応援してくださっている方々に励ましのエールを届けられればと思っている」

——今回の2試合はこれまでの代表活動と違うと思う。日本で苦しんでいる人へのエールという意味では、チーム全体が本気になっているかが試される。監督はチームの雰囲気への手応えをどう感じているか。
「選手たちは練習から激しく、厳しく臨んでくれているので、試合で日本に勝利をお届けする、ひたむきにベストを尽くす姿を届けて、勝利を喜んでもらう、励ましのエールになる戦いをしたいという思いが伝わってきている。日本代表の試合再開、活動再開を楽しみに待ってくださっている方々も多いので、勝利と、チーム一丸となって戦う姿をお届けしたいという選手の気持ちは練習の中からも十分に伝わってきている」

——代表活動ができなくても、所属クラブで個の力を磨くことで代表チームにつながると話していたが、選手たちの成長を感じた部分は。
「長くヨーロッパでキャリアを積み重ねている選手の自信や落ち着きはこれまでも感じてきたが、まだキャリアとしてはそう長く経験を積んでいない選手たちも海外に渡ってから月日が経って、選手たちの自信がすごく伝わってくる。強さとかたくましさが増したと、各選手を見てコミュニケーションを取る中で感じさせてもらっている。個を磨くと話しているが、日本人の良さであり、日本人として武器にしないといけない連係連動する、団結する、組織力で戦うところは個の強さをもっともっと伸ばしながら、組織力を活かしていければと思っている。また技術や戦術で個を大きく、強くするということもあるが、チームのために、仲間のために走って戦うというメンタル的な部分も選手たちには個の能力として備えてほしいと伝えながらやっていきたい」

——この2試合、どのようなメンバー編成をするか。
「試合の状況がどうなるのかということもあるので、状況次第で起用の仕方も臨機応変に変えていかないといけない。少しでも多くの選手にピッチに立ってもらいたいという気持ちではいる。ただ今回、招集させてもらった23人の選手が全員ピッチに立てるという絶対的な保証はない。起用として少しでも多くの選手にピッチに立ってもらいたいと思っている。そうしながらチーム力を上げていくということ、戦術の共有という部分でも底上げができればと思っている」

——前線のバンサン・アブバカル、シュポ・モティングは招集されていないが、カメルーンの印象はどうか。
「試合は監督が代わってからの3試合をスカウティングした。まずは個の能力という部分で身体能力も技術も高い選手が揃っている。チーム全体として推進力があるチームで、それを活かした戦い方をしてくる。今回はカメルーンの監督さんが意図した招集ができているかということや、アクシデントがあって離脱者が出ることが起きているかもしれないが、チームとして能力の高い選手が揃っていること、選手が欠けた中でも次の選手が逆に野心を持って、非常にモチベーション高く出てくることは十分に考えられるので、われわれの強化試合として、非常に手強い相手と試合ができると思っている。われわれが成長できる戦いができると思っている。最終的にはもちろんカメルーンのことも大切だが、われわれもほぼ1年間活動ができていない中、これまでやってきた基本的なことをチームとして見つめ直しつつ、試合の中では個がどういったことができるか、チームとして戦術共有しながらお互いの良さをどう出し合えるかを最大限考えていきたい。対戦相手のことも重要だが、われわれがこの試合に勝利して、応援してくださっている日本の方々に励ましのエールを送り、笑顔になって喜んでいただける結果を得られることにベストを尽くしながら、われわれ自身のレベルアップにつなげていきたい」

——選手の判断と監督からの指示という部分について、試合前の戦術設計による準備と、試合中の指示はどういったバランスでやっていきたいか。
「状況を見て選手に判断してもらう部分と、私自身が選手に対して戦術的な指示をどう送るかは状況に応じて使い分けたい。ただし、まずはチームとしてのベースの部分でのやるべきコンセプトが非常に大切だと思うので、この短い期間で全体練習は昨日と今日の2回だけだったが、その中でピッチ上でできるチームの基本的なコンセプトを選手たちにピッチ上で伝えることと、ミーティングを重ねてきたので攻撃・守備のコンセプトは選手たちと映像で共有してきたので、ベースの部分を持ちながら、ピッチ上で選手たちが対戦相手との兼ね合いで、流れの中でどうしていったらいいかを判断していってもらえるようにしたい。なおかつコンセプトと違うことがあれば、私自身がアドバイスとして伝えていければと思う。チームのベースがあってオプションがあると思っているし、ピッチ内でプレーしている選手自身がいま戦っている状況での問題解決能力や修正能力をお互いのコミュニケーションの中でできるチームが強いチームだと思う。ベースの部分と、選手が判断する部分を使い分けて、思い切ってプレーしてほしい。

——複数ポジションができる選手がいる中、選手の希望も含め、起用法をどういうふうに考えているか。
「すでに何人かの選手と話しているし、私自身が個を尊重して大切にして見ていきたいと思っているし、それぞれこのポジションでスペシャリストという部分はプロとして当然持ってほしいが、チームとして戦う上で複数のポジションでプレーをしてもらうことは選手に伝えながら、戦いに臨みたいと思う。とくに短期間ではそこまでないかもしれないが、長期で何試合も戦うW杯やアジア杯はポリバレントな複数ポジションができることは選手に要求しながら、チームとして戦っていきたい。選手がどう納得するかは分からないが、選手が思っていることはしっかり聞いて、私自身が見ての特徴と使い方はコミュニケーションを取りながら進めていければ」

——ピッチの上で指揮を執るのは今年1月のU-23アジア選手権以来だが、采配も含めてどんなテーマを掲げて挑むか。
「チームの基本的なコンセプトのもと、選手の特徴があるので、チームの役割の中でそれぞれが持っているものを思い切って発揮してほしい。またここは戦術的なところではないかもしれないが、今回は代表活動ができるということ、試合ができることはわれわれにとってこれほどの喜びはない。選手たちには試合ができる、プレーができる喜びと、この環境を作ってくださった方々への感謝の気持ちを持って思い切ってプレーしてほしい」

(取材・文 竹内達也)

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