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リバプール主力級の“個”、“組織”としての修正力…新10番・南野が振り返った二つの課題

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日本代表MF南野拓実(リバプール)

[10.9 国際親善試合 日本0-0カメルーン ユトレヒト]

 新10番を任された日本代表MF南野拓実(リバプール)にとって、出場試合では6試合ぶりのノーゴールだった。「勝利で終えたかった。0-0でドローという結果には満足していない」。木村和司氏に並ぶ6試合連続ゴール記録については「知らなかった。記録という部分にこだわりはない」としつつも、「勝利に貢献できなかった部分が悔しい」と悔しそうに振り返った。

 欧州組にとっては昨年11月のカタールW杯アジア2次予選以来、約11か月ぶりの実戦。前半は4-3-3の立ち位置を取りながら人数をかけてくるカメルーンを相手になかなか良い形がつくれず、一方的にボールを握られる時間帯が続いた。

 南野とFW大迫勇也でプレッシャーをかけようにも、アンカーのMFサムエル・ウム・グエットを使っていなされる場面が頻発。「相手の7番(グエット)と中盤の距離感に対してハマらなかったのは、今日の試合の一つの課題」と振り返った南野は、攻撃陣と「サコくんが前に出て、自分が引いて、(堂安)律と(原口)元気くんがプレッシャーに行くのがいいんじゃないか」という改善策を話し合っていたという。

 一方、森保一監督はハーフタイムにシステム変更を敢行した。4-2-3-1から「今までもトレーニングしたりしていたし、オプションではあるのかなと思っている」(南野)という3-4-2-1のフォーメーションにすることで、相手の3枚でのビルドアップに人数を合わせて対応。その結果、後半は敵陣で優位に試合を進められるようになり、時間を追うごとにチャンスの数も増えた。

 だが、結果的にはノーゴールのまま試合が終わった。

 南野は後半26分に途中交代したため、多くの決定機を逃した終盤の攻勢には加わらなかったが、「チームの勝利に貢献できなかった」ことに悔い。チーム状況が悪かった前半にも、南野は巧みなトラップやターンなどの個人技でチャンスをつくり、自身のシュートチャンスに結びつける場面が続いていただけに、そこで試合を決める期待もしたいところだ。

「自分がトップ下に入ったので間に受けて強引にでもターンして、チームの攻撃を活性化することは意識してプレーしていた。前半はとくにビルドアップから自分たちの形で綺麗にゴールに向かうというより、ボールを奪った後に強引な形でゴールに向かうプレーが必要になると思っていた」。

 この日のプレー意識についてそう振り返った南野は「今日みたいにチームとして形のある攻撃をすることが少ない時は、個の力で打開してゴールに向かうプレーが必要になる。普段チームではそうして点を取る選手とプレーしているので、そういうプレーがもっと必要だと思っているし、もっと伸ばしていかないといけないと感じている」とリバプールで主力を担うチームメートの例を挙げつつ、個人としてのレベルアップを誓った。

 また、チームとしては前半の戦い方自体に課題が残った。「アンカー対策」の脆さはこの一戦だけで露呈したものではなく、これまでも何度か見られたもの。昨年2月のアジア杯決勝カタール戦(●1-3)では完敗につながり、格下とされるカタールW杯アジア2次予選のタジキスタン戦(◯3-0)、キルギス戦(◯2-0)というアウェー2試合でも同様の形から相手に決定機を与えていた。

 この日のオンライン取材で、報道陣からカタール戦との関連性を挙げる質問を受けた南野は「たしかにそういう部分では似たような部分はあるかもしれない」と認め、「ああいう時に前半のままのシステムで行くなら、チームで引いて誘って奪うとか、そういう案をもっとチームで出していければ良かった」と改善点を指摘。「どれだけ素早くシステムを変えながら守備できるかどうかは今後に向けての課題」と先を見据えた。

 一方、こうした課題について南野からは「でも幸いにも次がある」と前向きに捉える言葉も。13日のコートジボワール戦に向けて、「次に向けてまたしっかりいい準備をしていきたい」と語った。

(取材・文 竹内達也)

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