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“無職からのCL制覇”に境遇重ねた川島永嗣「同じGKとして嬉しく思う」

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日本代表GK川島永嗣(ストラスブール)

 リーグ・アンの舞台で再起を果たした38歳の守護神が、日本代表でも再び輝きを取り戻そうとしている。GK川島永嗣(ストラスブール)は30日、オンラインで報道陣の取材に応じ、来年冬に控えるカタールワールドカップへの思いを熱く語った。

 無所属期間を経てストラスブールに加入した2018-19シーズンから昨季にかけて、出場したリーグ戦はわずか1試合。フランスの地で長らく実戦から離れていた川島だったが、今季はリーグ・アン24試合で出番を獲得した。さらに日本代表でも28日、ミャンマー戦でフル出場。カタールW杯予選で初めてピッチに立ち、A代表通算92キャップ目を記録した。

 38歳での驚異のカムバック。もっとも川島にとって、普段は年齢を意識することがまったくないという。それは単に自身のパフォーマンスに関して向上心を持ち続けているということに限らず、チーム内での振る舞い方においても同じだ。

「年上だからこういう振る舞いをしないといけないとか考えたことないし、自分が経験したから背中で見せないといけないとも考えていない。選手として年齢は関係なく、ピッチの上に立ちたいというのが当たり前。それは自分のチームでも代表チームでも変わらない。常にいい方向に、プラスになるようにというのは考えているし、チームの中でネガティブな存在になることは意図していないが、選手としてやるべきことをやるべきだと思っている。それがチームのプラスにつながってくれればいい」。

 そうした一選手としての立場にこだわる川島は、30日未明に行われたUEFAチャンピオンズリーグ決勝でチェルシーの優勝に大きく貢献したセネガル代表GKエドゥアール・メンディ(29)からも、同じプレーヤー目線での大きな刺激を受けているという。

 メンディは2014年夏に3部リーグのシェルブールを契約満了となった後、15年夏に元チームメートの勧めを経てマルセイユ加入が決まるまで、約1年間にわたる無所属期間を経験。報道陣にメンディとのエピソードを問われた川島は「無職だったんですよ」と、かつて所属クラブが決まらなかった自身の境遇と重ねつつ、次のように振り返った。

「彼は今年からストラスブールに来たGKコーチのもと、マルセイユでやっていて、そのあとにランスに行って一気に駆け上がっていたGK。面識はないけど、すごく良い成功例として見ていた部分はある。ああいう形でチャンピオンズリーグで優勝することができて、同じGKとして嬉しく思うし、GKコーチから話を聞いたりしていたので、今回の優勝を嬉しく感じている」。

 そんな川島も「常に最高峰に挑戦し続けたい気持ち」は変わらない。そのチャレンジの一つが来年11月に控えるカタールW杯だ。前回のロシアW杯当時は「次を目指そうとはあまり思っていなかった」というが、「まだやり残したことがあると感じた」と次の大会を目指す決意を固めている。

「自分がそういうふうに感じている中で代表に関わっていられるのはすごく嬉しいことで、いまこうやってカタールに向かうチームの一員として代表にいられることは本当に光栄なこと。このチームにいる以上はそこが目標になってくると思うし、また出るということが目標になることはない。過去3大会も含めて、今まで以上に何ができるかが一番の目標だと思う」。

 そうきっぱりと語った川島は「常に最高峰に挑戦し続けたい気持ちでやっているし、その中で年齢は関係ないと思っている。逆に最高峰を目指さなくなったらやる意味はない」と欧州最前線でのプレーに意欲。「試合に出られない時期もあったし、今後もどうなるかわからないけど、そこに挑戦していない限りはそのレベルのプレーは確立されないし、そこにいるからこそ見える景色は感じられない。いままでもそうだし、これからも変えずにやっていこうと思う」と決意を述べた。

(取材・文 竹内達也)
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