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ついに辿り着いたA代表…MF坂元達裕「這い上がってきたからこそ、希望や夢を与えられる」

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オンライン取材に応じたMF坂元達裕(C大阪)

 幻に終わった初選出から2か月余り、MF坂元達裕(C大阪)が再び日本代表の招集リストに名を連ねた。合宿初日の31日、オンラインの取材に応じた24歳は「結果を残して定着していかないと意味はないと思うので、しっかりと自分の良さを出して結果を残して、絶対的な選手になっていきたい」と力強く意気込みを語った。

 坂元は今年3月、国際親善試合・韓国戦とカタールW杯アジア2次予選・モンゴル戦に臨む日本代表メンバーに選ばれたものの、活動直前のJ1リーグ戦で左ハムストリングを負傷。一度はチームに合流したが、メディカルチェックの結果を受け、無念の離脱を強いられた。「前回は直前で怪我をしてしまって悔しい思いをしたので、しっかりと結果を残してチームに貢献できる活躍をしたい」。今回はそんな悔しさも胸に、再びA代表の舞台に帰ってきた。

「小さい頃からプロを目指していたけど、周りに自分より上手い選手がたくさんいる中で、世代別の代表にも手が届くような存在ではなかった。挫折もたくさんしてきた」。

 オンライン取材でそう振り返ったように、世代別代表やユニバーシアード代表の経験はなく、“無印”のまま歩んできたサッカー人生。中学時代はFC東京U-15むさしからユースに昇格できず、前橋育英高でも高校選手権準優勝という輝かしい実績を残しながらも注目はMF渡邊凌磨(FC東京)やMF鈴木徳真(徳島)らチームメートに集まった。東洋大からプロ生活をスタートしたモンテディオ山形への加入も、オファーではなく練習参加から始まった。

 それでも結果を残し続け、プロ3年目でたどり着いたA代表。「なかなかプロの世界に入れるかどうかもわからない時期もあったので、こうしてチャレンジする機会を与えてもらって嬉しい」。素直な喜びを語った坂元は「こうして這い上がってきたからこそ、いまくすぶっている若い選手に希望や夢を与えられると思う。代表の舞台で活躍して結果を残したい」と熱いメッセージも口にした。

 坂元にとって、かつての仲間たちの活躍も大きな刺激となっているという。

 坂元がサッカー人生の転機として挙げたのは「高校での経験」。かつての同期にはドイツ挑戦を経てFC東京でプレーする渡邊を筆頭に、鈴木、MF小泉佳穂(浦和)、GK吉田舜(大分)、DF岡村大八(札幌)、MF吉永大志(福島)と多様なキャリアの面々が並び、いまもプロの舞台でしのぎを削っている。

「高校での経験が一番大きかったと思っている。それまではメンタルが弱くて、勝負どころで挫けてしまって、うまくいかないことが多かったけど、選手権という大舞台を経験して自分の自信につながった」。

 前橋育英高時代をそう振り返った坂元は「みんな高校の時からライバルとして切磋琢磨し、追い抜かれたり追い抜いたりを繰り返してきた。いま代表に入れているからといっていまリードしているとは思っていない」と述べた上で「みんな下から這い上がってきた、J1ではなくJ2を経験して上がってきた選手がほとんど。みんなと切磋琢磨しながら、刺激しながら、成長しあえているのが大きい」と感謝も口にした。

 今回の活動期間中、日本代表はW杯予選2試合とキリンチャレンジ杯2試合を戦う予定。MF伊東純也(ゲンク)という手強いライバルも立ちはだかるが、どこかで出場のチャンスは訪れるはずだ。「個々の質が本当に高いし、その中で自分の良さをアピールするにはどうしたらいいかをイメージしてきた。レベルが高い中でも、自分の良さをどんどんアピールできるようにチャレンジしたい」。まずはトレーニングで爪痕を残す。

(取材・文 竹内達也)
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