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「そこはできるだろうと思っていた」…田中碧に麻也が出した“注文”

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U-24日本代表MF田中碧(川崎F)

[6.5 国際親善試合 U-24日本 6-0 U-24ガーナ ベススタ]

 オーバーエイジ、そして海外組が集結した“最強布陣”で臨んだ一戦。その中でもスタメンの座を勝ち取ったU-24日本代表MF田中碧(川崎F)は、試合の中で徐々に存在感を高めていった。

 4-2-3-1のボランチの一角に入った田中。後方にDF吉田麻也(サンプドリア)とDF酒井宏樹(マルセイユ)、隣にはMF遠藤航(シュツットガルト)と初めて合流したオーバーエイジ3選手と近い位置でプレーすることに。しかし、この代表の活動に1度しか参加していないA代表のDF冨安健洋(ボローニャ)を含め、田中にとっては初めて一緒にピッチに立つ選手ばかり。日本代表戦が急きょ開催されただけでなく、飛行機の遅延などが影響し、トレーニングを十分にこなせていないこともあり、立ち上がりは戸惑いもあったようだ。

「最初はお互いに信頼関係もあるし、僕自身も出していいのかという部分があった。他の選手もこの状況でつけていいのかと感じながらサッカーをしていた」

 その言葉どおり、序盤はボールを要求してもパスが出てこない場面も。だが、徐々にボールに触れる回数を増やすと、鋭いパスで攻撃をスピードアップさせるだけでなく、前線に顔を出してフィニッシュの場面に絡むなど存在感を示していく。「自分の力を示していけば、自ずと信頼は得られる。それを、試合中に続けることでボールに触れる回数は増えたし、コミュニケーションを取れて良かった」。

 後方からプレーを見つめていた吉田も「怖がらずにボールを受けられるし、前につけることもできる。常に顔を出してくれるボランチは絶対条件で必要。そこはアルゼンチン戦も見ていたので、できるだろうと思っていたし、良かった」と感じている。一方で「前につけるボールの質にもっとこだわらなければいけない」と話すと、A代表戦のような苦しい状況で、どれだけのプレーを出せるかを見てみたいと“注文”を出した。

「フロンターレはほとんど勝っている試合でリードしていて、ゲームをコントロールする時間は長いと思う。やっぱり、勝ち慣れているので。碧だけでなく、負けているときにどういうプレーが効果的か、ボールを奪いに行けるかというのも、もっともっと見たいと正直思います」

 隣には最高の手本がおり、田中が「日本で一番のボランチ」と評する遠藤から学び、自身の成長へとつなげられることは大きなプラスとなりそうだ。「守備の強度の部分、球際の部分、前に出ていく部分、予測の質と回数の多さ、今までやってきた選手の中では段違い。いろいろなものを吸収し、ライバルでもあるので、自分自身も違いを作っていかないといけない」と気を引き締め直した。

 東京五輪本大会まで残された時間は限られているが、決してゼロではない。3月シリーズのアルゼンチン戦では、チームの中心となり圧倒的な存在感を示した。次はA代表の主力に自身の力を示して信頼を勝ち取り、一段上のステージへと駆け上がりたい。

(取材・文 折戸岳彦)
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