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「誰がいるかも知らなかった…」田中碧、五輪への思いと立ち位置の変化

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U-24日本代表MF田中碧(川崎F)

 意識はしていなかった。しかし、自らの実力を示してチーム内での存在感を高め、気付けば主力の一人に成長していた。だが、慢心などない。U-24日本代表MF田中碧(川崎F)は「僕自身、選ばれるとはまったく思っていない」と危機感を持ち、“最終選考”に臨んでいる。

 東京五輪世代の代表に名を連ねたのは、決して早くはなかった。森保一監督が就任し、初陣となったのが17年12月のM-150杯。そして、田中が初招集されたのが、約1年半後の19年トゥーロン国際大会だった。しかも、同時期に開催されたコパ・アメリカに東京五輪世代の主力が招集された中での招集となった。

 招集前の約1年半、東京五輪を意識していなかったという。「全然、目指してもいないし、誰が入っているかも知らなかった(苦笑)。五輪に出られるとも思っていなかったし、全然悔しさもなかったです」と当時を振り返る。

 だが、トゥーロン国際大会でアピールを成功させると、その後はコンスタントにメンバー入りを果たした。そして、今年の3月シリーズ。欧州組が集結したチームで活動した際に、気持ちに大きな変化が生まれたという。

「A代表を経験している選手たちが五輪世代に来ることで、自分たちは本当に金メダルを取りにいくんだという気持ちに切り替わった。そういう選手たちとやれるのは本当に素晴らしい経験なので、改めて自分が出場してメダルを取りたいと思った」

 個人の思いが変化しただけではない。3月のアルゼンチン戦では中盤で圧倒的な存在感を放ち、チームの中心となれることを証明。そして、今回の活動では、5日のU-24ガーナ戦でオーバーエイジのMF遠藤航(シュツットガルト)とボランチでコンビを組み、攻守に奮闘した。

 チーム内での立ち位置にも変化が生まれているが、本人に慢心はない。「僕自身は選ばれるとはまったく思っていない。結果を残すことも大事だけど、監督が使いたい、選びたいと思える選手が選ばれると思うので、自分がやるべきことに加え、監督が何をしてほしいのかをくみ取り、それをピッチで表現することが近道になると思う」。

 12日には“最終選考”での最後の一戦となるジャマイカ戦が行われる。再び存在感を示し、「出られるとも思っていなかった」という五輪本大会行きのチケットを手に入れたい。

(取材・文 折戸岳彦)
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