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神戸での日々、成長を「ここで証明したい」。MF櫻井辰徳は年上のU-20日本代表に生き残り、「絶対に」パリ五輪へ

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U-20日本代表候補注目のゲームメーカー、MF櫻井辰徳(神戸)

 積み上げてきたことが、間違いでは無かったことを証明する。7日にスタートしたU-20日本代表候補にU-19世代のMF櫻井辰徳(神戸)が参加。年上の世代の代表候補合宿は初招集だが、8日午前のトレーニングでは受け方を意識しながらボールに絡んでグラウンダーの縦パスを連発するなど、自分のプレースタイルをチームメートに伝えようとしていた。

「神戸でやっていることをどれだけできるか」が櫻井のテーマ。初めて一緒にプレーする選手がほとんどで、まだ自分の特長も、周囲の特長も十分には理解できていない状況だ。縦パスを受けた選手のボールロストがあったことも確かが、FW陣から「どんどん出して良いよ」と声を掛けられるなど、メッセージ性の強いプレーでコミュニケーションを高めている。

 11対11ではDFのマークを巧みに外してのラストパスでMF鮎川峻(広島)のシュートシーンを演出。加えて、この日のトレーニングではサイドへの正確な展開でスタッフから賛辞を受けたほか、ゲームメークの部分で力を発揮していた印象だ。

 櫻井は高校2年時に名門・前橋育英高(群馬)のレギュラーを勝ち取り、同年夏にU-17日本代表候補初選出。「高校2年生の時は調子が良かっただけで、実力で入ったとは思っていない」「オレなんかが入るところはないと思っていた」と振り返る。だが、今回は違う。

 昨年度の全国高校選手権群馬県予選で3回戦敗退。その後、櫻井は約3週間に渡って内定先の神戸の練習に参加し、プロのレベルを体感した。そして、今年の約5か月間で得て来たものに自信を持っている。

 ルヴァンカップで6試合に先発出場しているものの、まだJ1でのプレーは無い。だが、「それ以上に1年目で神戸っていうクラブで毎日練習できることに幸せを感じますし、ありがたいですし、試合出る以上に得るものは多いと思います。練習が全てだと思うので、ルヴァンでも自分のプレーを出せているのかなと。神戸ではなかなか出れていないですけれども、練習でやってきたことは間違っていないとここで証明したいと思っています」と力を込めた。

 神戸での日々に対する信頼は揺るがない。憧れだったMFアンドレス・イニエスタのプレーに「ボールを獲られないというのは、まずあの選手の凄いところ」と改めて感じ、MF山口蛍やMFセルジ・サンペールの凄さにトレーニングで触れながら、自分を成長させてきた。

「(神戸には)色々なタイプの中盤がいるので、どちらかというと僕はセルジ寄りなのかなと思うんですけれども、練習とかでその3人は絶対にボール獲られないですし、味方からすれば預けておけば安心ですし、チャンスを作ってくれるだろうというのは自分がスタンドから試合を見ていても凄く感じています。その3人からはマッチアップすることも練習から多いですし、得るものは凄く多いので、その3人の良いところを吸収して自分のものにできれば、確実ではないですけれどもより上の舞台には行けると思う。その3人から得たものを少しずつではあると思うんですけれども、自分の良さには変えられていると思うので、まだまだこれからですけれども、今は成長できていると凄く実感しています」

 自分は、他の選手に比べると年代別日本代表チームに加わった時期が遅れたかもしれない。だが、「自分がコツコツ積み上げてきたことは間違っていないと思います。神戸で得た自信がここに繋がったと思っているんで、ここでしっかりアピールして、やってきたことをしっかりと出せれば、ここでできると思っているので、凄く自信を持って今はやれているのかなと思っています」と力強い。神戸の練習で身につけた力をU-20日本代表チームで表現し、世界を目指していく。

 01年生まれ以降の選手たちで構成されたU-20日本代表は、24年パリ五輪世代。櫻井は、「一つ上がパリのメインだと思うんですけれども、この世代に入りたいですし、サッカーをやっている以上、代表は目指す場所だと思うし、世界を常に見ないといけないと思う。そういう面では、神戸は世界でやってきた選手が多いので、この合宿ではもっとやらないといけないし、もっとできないといけない。常に練習で上を経験してきた選手から学んでいるものは、他のクラブよりも凄く大きいと思うので、『絶対にパリには出ないといけない』と思うし、それに向けてまずこの合宿を大切にして、自分の良さを出して、絶対に生き残らないといけないと思います」。合宿は残り2日間。パリ五輪世代の注目ゲームメーカーは神戸での日々で得た力を証明し、必ず評価を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)

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