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田中碧がドイツで感じた価値観の違い「“上手い”だけがすべてじゃない」

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デュッセルドルフでの練習に参加してから帰国し、U-24日本代表の合宿に合流したMF田中碧

 東京五輪に向けて静岡県内で事前合宿を行っているU-24日本代表のMF田中碧(デュッセルドルフ)が、東京五輪前に海外移籍を決断した経緯について語った。

 6月22日の東京五輪メンバー発表後の同28日に川崎Fからブンデスリーガ2部のデュッセルドルフへの期限付き移籍が発表された田中碧。短期間ながら現地に渡り、新チームでの練習にも参加して、東京五輪のために帰国した。

「五輪後に移籍する選択肢もあった中で、(新チームへの)合流が遅れることがどれだけデメリットになるかというのが自分の中であった」。東京五輪後にどんなオファーが来るかは分からない。ましてや「五輪が終わってからチームを決めて、シーズンも始まっているところに、環境も整っていない、言語も分からないという中でサッカーをするのは簡単じゃない」という懸念もあった。

「このタイミングで欲しいと言ってくれて、代表に来る前に時間があったので、練習にも参加できたし、チームメイトともコミュニケーションを取れた。それが一番大きかった」。ドイツ2部から海外でのキャリアをスタートさせることに関しても「一発ですごいチームに行けるのがベストかもしれないけど、そこですぐ試合に出て成功するのは簡単なことじゃない」という冷静な判断があった。

「僕は小さいころから決してエリートじゃないし、そういうところに行ってポンと(試合に)出れるタイプじゃない。しっかり地に足を付けて、じっくりとステップアップしていく人生だと思う。まずは試合に出て力を付けて、少しずつ上がっていくのが自分に向いているルートなのかなということで決断した」

 実際に現地で練習に参加してみて感じたのは、サッカーに対する日本と海外の考え方の違いだった。「数日間で一番感じたのは“上手い”というのはただの一つの武器なんだなと。日本だと“上手い”がピラミッドの一番上に来て、その下に“速い”とか“強い”とか、そういう武器が来るけど、欧州では“上手い”というのはそこまで求められていないというか、“上手い”も“速い”とか“強い”とか“1対1が強い”とか“点が取れる”とかと横一線で、そこの価値観の違いを一番感じた」と明かす。

 自分自身、そうしたリーグでさらに成長して行ける確信がある。「トータルバランスが優れた選手になっていかないといけないし、そういう舞台でどれだけできるかにワクワクしている自分がいる」。技術もフィジカルもメンタルもすべてを向上させていく。「“上手い”だけがすべてじゃないのが海外なのかなと。そういう意味ではいろんな部分を伸ばせると思う」と目を輝かせた。

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