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日本vsオーストラリア 試合後の高倉麻子監督会見要旨

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[7.14 MS&ADカップ 日本女子 1-0 オーストラリア女子 サンガS]

 なでしこジャパン(日本女子代表)は14日、MS&ADカップでオーストラリア女子代表と対戦。後半9分にFW岩渕真奈の得点で先制すると、そのまま逃げ切って1-0の完封勝利を収めた。

以下、試合後の高倉麻子監督会見要旨

高倉麻子監督
「開幕1週間前になったが、オーストラリアという世界の中でも素晴らしいチームと対戦できてうれしく思う。オーストラリアはアジアのライバルとして久しぶりの試合だったが、素晴らしいチームだと思った。最近、私たちはFIFAランキング上位のチームと試合をする機会が少なかった。世界上位のスピード、パワーを体感しながら、前半は少し硬い感じのゲームになったかなと思う。後半は相手のメンバー交代もあったが、私たちもゲームの強度に慣れながら、前半の修正ポイントも話して、自分たちの流れをつくることができた。PKだが1点を取れて、勝利で終えることができたのは非常に良かったと思う。今日の素晴らしいゲームから良かったところと課題を選手たちと共有してオリンピックに入っていきたい」

―国としても大変な状況にある中、五輪で何を達成したいか。
「東京で五輪が開かれることが決まってから、地元開催の歓声を直に受けられるというアドバンテージと、一方でたくさんの方が期待するというプレッシャーがかかってくることは予想していた。そして世の中がこういう状況になって、さまざまな要因があるので、何としても何かを成し遂げたいという強い思いがある。いろんなプレッシャーを力に変えることに集中して、今、持ち得る力を目の前の相手にぶつけて、1試合1試合すべてを出し切って戦っていきたい」

―GKからのつなぎで際どいシーンもあったが。
「バックパスがGKに入ったときは、相手が狙いを強く持って、奪いに来ようというパワーを出してきているのははじめから感じていた。早い準備だったり、少し飛ばしたところでボールを逃がしたかったが、相手が前に3枚、中盤に4枚いることで、逃げ道をうまく探せず、相手の圧力に対してパスワークでも抜けられなかった。ハーフタイムにも話をして、それでもポジション修正から逃がしていこうという話をしながら、後半は少し修正できたが、つなぐ日本に対して前から圧力をかけてくるチームは多いと思うので、そこの対策はしっかり立てていきたい」

―世界上位のスピードやパワーへの対応はどうだったか。
「球際での当たりや、がっつり対峙したときに体格差で跳ね飛ばされる状況はたくさん見られた。男子とのゲームもそうだが、ゴール前に放り込まれたり、クロスが上がってきた状況でもチームとして守備をすることに関しては、本当に集中力が上がったし、最後までやらせない粘り強さは評価できると思う。自分たちがボールを持ったときのクオリティーは思ったより相手を動かすことができなかった。網の中でボールを動かしているところもあって、何かあるとボールを失っていた。そこはみんなと共有して、より早い準備だったり、ボールの動かし方は少し工夫していきたい」

―前半、硬くなった一番の要因は。
「選手が緊張して硬くなったことはないと思うが、チームとして幅と深みを取りながらボールを動かしていこうと話している中で、サイドの選手が張った方が効果的なのか、もうちょっと中でつなぎに入りながら流動的にボールを回した方がいいのかという判断だったり、チームとしての狙いを変えていければよかったが、ちょっと人が遠かった。マイボールになったときに急ぎ過ぎたのもあるし、いい距離感でパス交換ができず、単調なリズムになったのは修正できると思う。攻撃のときのポジショニングだったり、そういったところは相手によってかみ合わせも変わってくる。自分たちが受け身にならず、怖がらずに変化をつけていければ一番いいと思うが、そこらへんにちょっと時間がかかってしまった」

―DFラインの評価は。
「センターバックの2人だけでなくGK、サイドバック、ボランチ含め、チーム全体で集中して、相手の放り込んでくるボールや、縦に速い攻撃に関しては非常によく止めていたと思う。ピンチもあったが、最後のところで体を当てたり、ボールをぶらすことができたので、失点を防ぐことができたと思う。こういった局面はたくさんつくられると思うが、連係を含めて、試合をしながらより集中度を高めていければいいと思う」

―前半途中から選手がポジションを動かしていたが。
「ポジションの移動は勇気のいることで、どちらから崩していくかというのがある。私自身は積極的に自分たちから崩していってほしいと思いつつ、ゲームの中では難しいところもある。選手の肌感で少し変えていった部分もあると思うし、こっちがポジション取りを伝えてというのもあったが、流れの中で選手が自分たちでリスクを取りながら勇気をもって変えていくということはやっていきたい。そこで先手を取れればゲームを優位に進めていけると思うので、受け身になることなく、積極的に試合をしたい。ただ、そのあたりはバランスなので、極端にならずに進めていきたい」

―重要な初戦で勝ち点3を取りに行くか。
「予選なので勝ち点計算はあるが、目の前の試合にとにかく勝つということで試合を進めていくのは当然なので、手堅く守って引き分けという発想で引き分けを取るのではなく、勝ちに行って、結果引き分けならそれはそれでいいと思う。時間帯でどんな得点差かによっては守り切るのかとか、3試合目になれば勝ち点計算で狙いを持ってやることはあると思うが、初戦に関しては全力で勝ち点3を取りに行きたい」

―オーストラリアは期待通りの相手だったか。
「オーストラリアは力のあるチームだと思うし、FWに世界的なストライカーがいるので、スピードのあるFWに対する守備というのはチーム全体として大きな課題でもあった。自分たちにとっては勉強になったし、その対応を選手たちも学んだと思うので、本当に有意義な試合になった」

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