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志願して向かったPK…田中美南「自分は逃げたくなかった」

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なでしこジャパンFW田中美南

[7.21 東京五輪GL第1節 日本女子 1-1 カナダ女子 札幌ド]

 自ら志願してペナルティスポットへと向かった。絶対に決めてやる。なでしこジャパン(日本女子代表)FW田中美南は強い思いを込めて右足を振り抜いた――。

 出番が巡って来たのは、0-1と1点のビハインドを背負って迎えた後半開始からだった。「前半は相手の守備が固く、自分たちのゴール前のシーンをなかなか作れなかった。後半はスペースが空いてくると思ったので、そこで基点となり、しっかり味方を使っていこうとした」。すると、後半開始早々の同5分、PA内に走り込んだ田中が相手GKのファウルを誘った。

 VARが介入した結果、PKを獲得。PKキッカーは決まっていなかった。ここで、FW岩渕真奈とやり取りがあった。岩渕は「彼女自身がもらったPKだった。途中から入った中で、ストライカーの気持ちを自分自身も理解しているつもりなので、『蹴れば』という話をした」という。そして、田中の返答は「蹴る」というものだった。

「PKから自分は逃げたくなかった。途中から入って決めてやるという思いが強かった」

 対峙したGKステファニー・ラベーは細かく動き、田中から見て左側にスペースを空けた。「最後まで見ていたけど、動かなかったので、左に思い切り打とうと思った」。しかし、右足から放たれたシュートはラベーにストップされてしまい、「ちょっと弱かったし、コースが甘かった」と唇を噛んだ。

 試合は、後半39分に岩渕がネットを揺らし、1-1のドローに。「自分がPKをしっかり決めていれば勝てた試合だと思った」と悔しさを滲ませつつ、「勝ち点1を取れたことをポジティブに思い、次の試合に臨みたい」と気丈に前を向いた。

(取材・文 折戸岳彦)
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