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あふれる涙を抑えられず…岩渕真奈「まだまだ足りない、まだまだ戦わないといけない」

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なでしこジャパンFW岩渕真奈

[7.27 東京五輪GL第3節 日本女子 1-0 チリ女子 宮城]

 背番号10を背負ったエースは、相当な重圧を感じていたようだ。なでしこジャパン(日本女子代表)FW岩渕真奈は、決勝トーナメント進出を決めたチリ戦後、「今まで感じたことのないようなプレッシャーを感じていた」と胸の内を明かした。

 第2節を終えて1分1敗の未勝利。勝ち点1の3位に沈むチームが、自力で決勝トーナメント進出を決めるには勝利だけが求められた。引き分けならば他会場の結果によってグループリーグ突破の可能性を残すが、敗れれば、その時点で大会から姿を消すことになる状況だった。

「1試合目に面食らって、2試合目も難しい試合で、3試合目に勝たないといけない状況が自分たちを少しずつ強くしている感じはあるけど、まだまだ足りない、まだまだ戦わないといけない。自分たちが目指す何かを感じ取ってもらえるようなプレーを今日はしようと話していた」

 序盤からゴールを、勝利だけを目指した。攻勢をかけながらも得点はなかなか生まれなかったが、「とにかく続けるしかなかった」と攻撃の手を緩めず。すると、0-0で迎えた後半32分に値千金のゴールが生まれる。

 MF杉田妃和が打ち込んだ縦パスを、PA内で岩渕が受ける。「ああいうクサビのボールをつけてという話をしていた。美南が裏に走り出しているのが見えた」。粘り強くボールキープして、裏に走り込んだFW田中美南へ送ったボールは相手に当たったものの、こぼれ球を田中が蹴り込んで先制に成功。その後はチリの反撃を抑えて1-0の完封勝利を収め、自力で決勝トーナメント進出を決めた。

 あふれる涙を抑えることはできなかった。「正直、本当に試合前は感じたことのないプレッシャーを感じていた。とにかく今日は勝てたことがすべて。次につながって良かった」と安堵の表情を浮かべた。

 次戦は、グループリーグで優勝候補アメリカに3-0で勝利したスウェーデンと対戦。「今の自分たちの実力的に、相手がどこだろうと難しい試合になるのは間違いない。もっともっとひたむきにチーム全員で戦えるチームにならないと先は続かないと思うので、そういうところは意識してやっていきたい」。“格上”との対戦となるが、チーム一丸となって再び勝利だけを目指す戦いに挑む。

(取材・文 折戸岳彦)
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