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パラ歴史的初勝利をもたらした20年目の最古参…5人制サッカー日本代表・黒田「すべてこのために取り組んできた」

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拳を掲げるFW黒田智成

[8.29 東京パラリンピックGL第1節 日本4-0フランス 青海]

 チーム最古参の初代日本代表、そして現代表のエースでもあるFW黒田智成が夢のパラリンピックの舞台でゴールをこじ開けた。

 5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表は2002年に発足。黒田はそのときの初代メンバーだ。しかし、42歳になってもその実力は健在で、チームの得点源としてパラリンピックの大舞台でも躍動する。

 前半4分、黒田が歴史に名を刻んだ。センターサークル内でボールを奪うと、得意のドリブル突破。鋭いクイックネスで相手2選手を置き去りにし、ゴール前で利き足とは逆の左足を振り抜いた。鋭い弾道がゴールネットに突き刺さり、黒田が日本のパラリンピック第1号ゴールを挙げた。

 先制に成功した日本を、黒田がさらに勢いづける。前半9分、左CKから相手にボールを奪われるが、黒田が前線にプレスを仕掛けて相手のパスをインターセプト。エースは絶好機を逃さず、そのまま右足を一閃し、ゴール左隅に叩き込んだ。

 その後は主将のMF川村怜が2得点を決め、全員守備で相手を完封。4-0でパラリンピック歴史的初勝利を成し遂げた。

 黒田は試合後のフラッシュインタビューで「まず1勝することができて、本当に嬉しいです」と喜びを語る。2得点について「これまでブラインドサッカーを支えてくれた人、今日応援してくれた人、みんなの思いがゴールに導いてくれたと思います」と感謝を口にした。

 5人制サッカーは2004年のアテネ大会からパラリンピックの種目となった。日本は今大会が初出場。02年から日本代表として活動してきた黒田は「本当にパラリンピックに参加しているんだなっていう実感が沸いてきました。すべてこのためにこれまで取り組んできた。それがすべてひとつの形になって、本当に良かったなと思います」と感動を噛みしめた。

 代表のユニフォームを脱げば、普段は八王子盲学校の教諭を務める。大会に臨むにあたり、生徒と必ずゴールを決めると約束していたという。「まず初戦で約束を果たすことができてよかったです。私の仲間や教え子たちも、パラリンピックで活躍している姿を見聞きしている。負けないように頑張っている姿を、彼らに届けられてよかった」と“先生”の顔も垣間見せた。

(取材・文 石川祐介)
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