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「爪痕を残さないと」。初選出の市船FW郡司璃来が1G1A、U-16日本代表候補が仙台育英に勝利

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2本目12分、U-16日本代表候補FW郡司璃来(市立船橋高)が右足で先制ゴール

[10.6 練習試合 U-16日本代表候補 2-0 仙台育英高 Jヴィレッジ]

 05年生まれ以降で構成されたU-16日本代表候補が6日にJヴィレッジで練習試合(40分×2本)2試合を実施。第1試合では仙台育英高(宮城)と対戦し、2-0で勝った。

 U-16代表候補はこの日、2チーム編成をしてそれぞれが強豪校と戦った。第1試合は189cmGK小林将天(FC東京U-18)やゲーム主将のMF早川隼平(浦和ユース)らが先発。だが、森山佳郎監督も認めたように、バタバタした時間が続いてしまう。

 U-17日本代表候補歴を持つ大型ボランチMF島野怜主将やJクラブも関心を寄せる強力FW佐藤遼らが先発した仙台育英の攻撃を潰し切れず、シュートまで持ち込まれる展開。また、ハイプレスを得意とする相手に距離を詰められ、思うようにボールを前進させることができなかった。

 それでも、1本目半ば頃からはボランチを活用しながらビルドアップ。回数は物足りないところもあったが、素早く正確なパスを2本、3本と続けてサイドを変えることで仙台育英のプレッシャーを剥がすことにも成功する。

 19分には、右サイドでFW田中侍賢(清水ユース)がU-15世代のMF加藤嵩寅(横浜FCユース)のスルーパスを引き出し、決定的な左足シュート。仙台育英も25分にMF明石海月の右FKから島野が決定的なヘッドを打ち込むが、U-16代表校候補のGK小林が好反応ではじき出す。

 仙台育英は2本目4分に島野の右クロスからMF石川翔太が決定的な右足シュート。6分には敵陣でインターセプトし、DFを振り切った佐藤の右足シュートが枠を捉えるが、U-16代表候補GK小林が再び好セーブで逃れた。

 仙台育英は怪我を抱えるために前半途中で退いた島野をはじめ、少しずつメンバーを入れ変えていたが、ピッチに立った各選手がモチベーションの高い戦い。U-16代表候補も小林やCB市原吏音(大宮U-18)がゴール前で集中した守りを続けてチャンスを待つ。そして12分、U-16代表候補は初招集のFWがスコアを動かす。

 U-16代表候補は右中間で郡司がボールを収めると、サポートした田中がスピードに乗って縦へ。そして、クロスするように右サイドへ飛び出した郡司へ田中のラストパスが通る。最後は「初招集として、まず爪痕を残さないといけないという気持ちで、結果が残せれば良いと思って臨みました」という郡司が右足でゴールを破った。

 その郡司は失敗することがありながらも、「自分らしくやろうと思いました」とアイディアある崩しにチャレンジしていた。そして、37分にも見事なスルーパスでMF佐々木奏太(札幌U-18)のゴールをアシスト。「まず周りを見ていてサイドを出そうと思っていたんですけれども、一番可能性があるのが縦パスだったので、相手の股を狙って良いところに出せたので良かったです」という絶品パスで試合を決定づけた。

 初招集で結果を残した郡司について、森山監督は「まだできることは少ないけれど、数字残すところ、そこは持っている。プラス、判断材料含めてできることを少しずつでもバリエーションを増やしていきたい」と期待。郡司は「今のままだと身体もできていないし、このままだと海外の選手に吹っ飛ばされたりするので、アジアに行っても負けないような身体を作っていきたいです」。郡司は、市立船橋高(千葉)の先輩に当たる兄・篤也もU-17日本代表歴の持ち主。課題を改善し、代表、市船で結果を残し続けてロサンゼルス五輪世代の“05ジャパン”に生き残る。 

(取材・文 吉田太郎)

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