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長友の“武器”を盗もうとする中山「手応えも感じつつある」

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日本代表DF中山雄太

 ピッチ上でチームに貢献し切れていないとの、もどかしさがある。自身の中で確かな成長を感じている日本代表DF中山雄太は、“その時”に備えて牙を研ぎ続けている。

 7日に行われた最終予選第3節サウジアラビア戦。敵地で行われた一戦は前半をスコアレスで折り返すと、後半26分に先制点を献上してしまう。何とか同点に追い付くとために選手交代が行われる中、中山は後半アディショナルタイムにDF長友佑都に代わってピッチへと送り込まれた。

「左サイドからどんどんクロスを送るシーンを作ってほしいと言われていた」。森保一監督から指示も送られていた。しかし、与えられた時間は限られ、ほとんどボールに絡むことなく試合終了のホイッスルを聞くことになった。

「(サウジアラビア戦では)少し出場できたけど、試合に出られていない悔しさがあり、なおかつチームの結果が出ていない。自分の力でチームを良くしていきたい気持ちがある」

 ピッチ上でチームに貢献したい強い思いもある。しかし、その一方で「ただ、僕自身、チームに呼ばれている中の一つのピースでしかない」と冷静に語る。「僕自身、一つのピースを大きくしようと日々の練習から成長を求めてやっているし、そのピースをより良く噛み合わせるためにコミュニケーションをとることも必要だし、勝利のために自分自身が何ができるかを考えている」。

 そして、ピースを大きくするべく、特に意識して取り組んできたのが攻撃参加の部分だ。自身の特長は左SBの位置からポジションを細かく移し、「内側だったり、サイドハーフのサポートをしながら、周りと多くの関わりの中から攻撃参加するところ」。ポジションを争う長友の武器は「縦への速さや縦への推進力」であり、自身には足りていない部分だと認識している。だからこそ、「その部分を課題として取り組んできて、オランダの試合でもチャレンジする回数を増やしてきた」結果、「課題もまだまだ感じるけど、バリエーションも増えてきて手応えも感じつつある」と新たな武器を手にしつつあるようだ。

「長友選手と違うタイプのものも僕は持っていると思うし、なおかつ長友選手の特長を盗みたいと思って取り組んできた。両方を突き詰めていきたいと思ってやってきたので、成果をしっかり披露できればと思う」

 翌12日に行われるオーストラリア戦。ピッチに立つ機会が訪れれば、自身の成長を示してチームに勝ち点3ともたらそうと静かに闘志を燃やしている。
(取材・文 折戸岳彦)
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