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田中碧がW杯予選デビュー弾!“豪州キラー”浅野も大仕事! 森保J、“背水の陣”制してW杯出場権争いに踏みとどまる

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FW浅野拓磨が決勝点のオウンゴールを誘った

[10.12 W杯アジア最終予選 日本2-1オーストラリア 埼玉]

 日本代表は12日、カタールW杯アジア最終予選第4戦でオーストラリア代表と対戦し、2-1で勝利した。前半9分、MF田中碧(デュッセルドルフ)のA代表初ゴールで先制すると、後半にFKを直接決められて失点したが、終盤に途中出場FW浅野拓磨(ボーフム)のシュートが相手オウンゴールを誘って決勝点。2位オーストラリアとの勝ち点差が3に縮まり、W杯出場権争いに踏みとどまった。

 ここまで1勝2敗の日本はここで敗れるとワールドカップ出場権が大きく遠のく“背水の陣”。森保一監督は初めて4-3-3のシステムを試合開始から採用し、7日のサウジアラビア戦から田中、MF守田英正(サンタクララ)、MF伊東純也(ゲンク)を新たに送り込んだ。[スタメン&布陣はコチラ]

 GKはこれまでどおり権田修一(清水)で、4バックも変わらず右からDF酒井宏樹(浦和)、DF吉田麻也(サンプドリア)、DF冨安健洋(アーセナル)、DF長友佑都(FC東京)が並ぶ。中盤中央はMF遠藤航(シュツットガルト)が残り、田中と守田が脇を固めた。両サイドハーフは左がMF南野拓実(リバプール)、右が伊東。1トップには引き続きFW大迫勇也(神戸)が入った。

 試合はオーストラリアが主導権を握りつつも、より脅威を与えたのは日本だった。前半4分、吉田のフィードを大迫が収め、右サイドに展開。伊東が大きなタッチのドリブルで駆け上がったが、クロスは南野に惜しくも合わなかった。さらに同6分には酒井のスローインで右CKを獲得すると、田中のキックから遠藤がヘディングシュート。これもわずかに枠を外れた。

 それでも前半9分、日本が勢いそのままに試合を動かした。伊東のハイプレスでGKマシュー・ライアンに不安定なロングキックを蹴らせ、左サイドに追い込んでボールを奪うと、縦パスを受けた南野が低いクロスボールを供給。右の大外で待っていた田中が完璧なトラップで収め、右足のグラウンダーシュートをファーポスト際に突き刺した。

 田中はこれがA代表初ゴール。五輪世代中心で臨んだ2019年12月のE-1選手権でA代表デビューを果たし、東京五輪で全6試合に先発出場を果たした23歳が、緊迫したアジア最終予選で値千金の先制点を叩き出した。

 その後はオーストラリアがボールを握り、日本はブロックを敷いて守る展開。前半14分にはMFアーロン・ムーイの左CKをDFトレント・セインズベリーに合わせられるが、権田がなんとか弾き出す。その直後にも右CKを蹴ったMFアルディン・フルスティッチがセカンドボールを拾い、角度のないところから左足で狙ってくるも、権田が落ち着いて処理した。

 防戦一方となりかけていた日本は前半25分、伊東が右サイドでパスカットすると、久しぶりに自陣起点のポゼッション攻撃をスタート。冨安から弾道の高いフィードが長友に入ったが、クロスは大迫に合わない。同35分には遠藤のインターセプトから攻め込み、大迫がフェイントからシュートを狙うも、ゴール左に外れた。

 前半38分、日本は南野とのワンツーに抜け出した長友がクロスを送るも、大迫にはわずかに合わない。そして同41分には大ピンチ。左サイドで奪われたところからFWマーティン・ボイルの縦パスをFWアダム・タガートに通され、MFトム・ロギッチとのパス交換からシュートを放たれた。

 それでもここは権田がかろうじて左手で触ってスーパーセーブ。ポストの跳ね返りを拾ったA・ムーイのシュートは遠藤がブロックし、難を逃れた。日本は同44分、右に開いた南野が振り向きざまに狙ったが、これはM・ライアンに阻まれる。そのままハーフタイムを迎え、日本が1点リードを守った。

 後半はオーストラリアがロングボールを有効に使うようになり、日本はパワーに押される時間帯が増える。それでも日本は守田が中盤で強度を発揮し、同10分には左サイドでファウルを獲得。このFKを田中がゴール前に送り込むと、酒井が惜しいヘディングシュートを放った。

 日本はさらに後半11分、田中のパスから伊東が右サイドを抜け出し、グラウンダーのクロスを供給。ニアの大迫にはわずかに合わず、ゴール前では南野が倒されていたがファウルは取れず、大きな決定機を逃した。

 日本は後半16分、負傷の大迫に代わってFW古橋亨梧を投入。対するオーストラリアはC大阪所属のFWアダム・タガートとA・ムーイを下げ、岡山所属のFWミッチェル・デュークと高い身体能力を持つMFアワー・メイビルを投入した。

 すると後半22分、日本は前半から再三使われていた左サイドを崩され大ピンチを迎える。長友が相手に食いついてプレスを剥がされ、ロギッチに背後を使われると、クロスボールに対してスライディングを仕掛けた守田がフルスティッチを倒し、主審はPKの判定を下す。

 ここで最終予選から導入されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。VARが判定をサポートするオンリーレビューで判定はFKに変更となった。ところがこのFKをフルスティッチが左足で直接狙うと、クロスバーに当たってゴールイン。日本はスーパーゴールによって同点に追いつかれた。

 日本は後半30分、素早い縦パスの連続から伊東、遠藤が立て続けにビッグチャンスを迎えるも、ライアンのスーパーセーブもあってゴールに至らない。同33分には南野に代わってFW浅野拓磨(ボーフム)を投入。同35分には、遠藤の浮き球パスから古橋が相手の背後に抜け出したが、シュートは相手DFにブロックされ、跳ね返りを拾った浅野のシュートもGKに阻まれた。

 それでも後半40分、日本は守田と長友に代わってMF柴崎岳(レガネス)とDF中山雄太(ズウォレ)を投入すると、再び試合を動かした。

 後半41分、吉田のロングボールをペナルティエリア内で収めた浅野がループシュートでゴールを狙うと、GKがかすかに触ったボールが右ポストに当たってゴール前へ。これがDFアジズ・ベヒッチのオウンゴールを誘った。浅野は自身のゴールで本大会に導いたロシアW杯最終予選に続き、またしてもオーストラリア戦での大仕事。これが決勝点となり、日本とオーストラリアとの勝ち点差は3に縮まった。

(取材・文 竹内達也)
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