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日本vsベトナム 試合後の森保一監督オンライン取材要旨

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[11.11 W杯アジア最終予選 日本1-0ベトナム ハノイ]

 日本代表は11日、カタールW杯アジア最終予選の第5戦でベトナム代表と対戦し、1-0で勝利した。試合後、森保一監督が日本メディアのオンライン取材に応じた。

以下、試合後の森保一監督オンライン取材要旨

森保一監督
―勝ち点3を得たが、率直にどのような気持ちか。
「移動のアクシデントがあったり、そこから練習の時間も削られた中、選手たちが落ち着いてアクシデントを乗り越えてくれて、限られた時間の中で非常にいい準備をしてくれた。短いトレーニングの時間で一緒に過ごす中、コミュニケーションを本当にうまく取ってくれて、試合に向けてのイメージの共有をしてくれたと思う。選手たちがアクシデントや想定外のことがあっても当たり前だと、それも含めて想定内ということで落ち着いて冷静に準備してくれたことが結果につながった」

―スタメン起用の意図は。
選手たちの様子を見ていない想像の範囲では長距離移動とアクシデントがあって、コンディションが良くないということを考えるかもしれないが、まず遅れて合流してきた11人の顔を見た時にすごくいい顔をしていて、疲れた様子があまり見受けられなかった。それはなぜかというと、足止めを食らった給油地で、長時間機内に閉じ込められた状態だったが、そこでうまく気持ちを切り替えて、いまできることはなんなのかと考えて、しっかり睡眠と休養を取ってくれた。また時間があった中、選手たちは試合に向けてすでに良いコミュニケーションを取ってくれていた。アクシデントの中で自分たちが試合に向けて何ができるかということで、移動の中でメンタル的にもフィジカル的にも週末の試合からのリカバリーをしてくれていた。私が会った時にも顔色、雰囲気を見た上で、もちろんトレーニングで様子を見ないとわからないなと思ったが、試合に向けてトレーニングを1日やることで、プレーできる状態になると判断した。まずはベトナムに着いたときは選手たちの顔色に疲労感がほとんどなかったというのが大きかった」

―左サイドの南野と長友を最初に交代したが、次を見据えた交代のか、それともコンディションなのか。
「長友から中山、南野から浅野に交代したが、本人たちもまだ走れる戦える状態だったと思うが、チームとしてさらに勢いよく前に向かって推進力が出る交代をしようと思い、交代枠を使った。佑都も前線にパスを出せる選手だが、中山雄太は左利きの特徴を活かして、われわれが勝っている状況の中で浅野のスピードを活かして背後へのボールを送ったり、前線にパスを配給するという部分で、もちろん守備も大切だが、相手が出てくる中で攻撃の推進力を出せるようにという意味で交代枠を使った」

―長友は途中交代が増えているが、できれば1試合やってほしいポジションなのかなと思う。これもオプションとしての方策なのか。
「戦い方という部分で中山雄太が左利きという部分で、チームとしていい守備からいい攻撃にというところはコンセプトとして変わりはないが、彼の特徴を活かして守備も安定させることができ、攻撃も左利きの特徴を活かして前線に配給できるところと、タイミングよくオーバーラップして攻撃参加するところも幅を広げてくれていて、チームの力になると考えて交代枠を使っている。佑都も90分まだまだ走り切れると思っている。他のところに交代枠を使ったほうがいいかということも考えたが、これまでも中山雄太が途中から試合に出て、難しい時間帯の中でもいいプレーをしているので、ベトナムが出てくる中で判断した」

―予選を通じてセットプレーが形にならないが、課題感や上手くいかない理由をどう考えているか。
「セットプレーで得点を取れていない部分はわれわれも認識していて準備している。選手もキッカーや入り方を考え、どうしたらCK、FKから点を取れるのかと工夫している。高さもすごく差があるわけではないし、相手も必死で守ってくるので得点を決めるのはそう簡単ではないが、おっしゃる通りセットプレーからの得点がないぶん、これからの課題としてチームとして取り組んでいきたいと思っている」

―スタメン起用に至るまでの決定を聞きたい。コーチが現地に視察に行っているが、コーチが現地でいろんな情報を見た中で、選手の良さなどに気づいたことはあったのか。コーチから自分の判断が正しいと思える意見をもらったのか。
「なかなか難しい質問ですね。コーチの目と私の目と決断が正しいのかそうでないのかはうまく答えることはできないが、私はコーチを全面的に信頼しているし、コーチが視察に行ってくれた情報をもとにメンバーの選考もしているし、最終的には私が決断するところもあるけど、ほとんどのメンバー選考ではコーチ陣全員の意見を聞きながらメンバーの選考を普段でも行っている。そういう意味では自分の目が正しいかはわからないが、コーチの見る目は素晴らしいと思うし、選手の調子を見極める力は私が一緒に仕事をしているコーチ陣は素晴らしいものがあると思う。新たに選手の可能性を見つける部分では、コーチからの現地でのプレーの視察、映像を見た上での情報を聞いて、各チームでいろんな役割の中、選手がプレーしているので、そこは私自身もできる限り全部見ようと思って見ているし、コーチも細かく見てフィードバックしてくれるので、所属クラブの役割を活かしていこうという考え方を持っている」

―その中で具体的に参考になった部分は。
「具体的にはいっぱいある。日本代表選手の起用法はもちろん、4-1-4-1、4-3-3、4-2-3-1、3-4-3、3-5-2など選手が所属しているチームのプレースタイルはさまざまなので、参考にさせてもらうことはすごくある。日本の組織力を活かすことはこれまでもやってきたつもりで、これからも忘れずにやっていきたいと思うが、ヨーロッパのサッカーを見ていると、より個々の局面で役割をはっきりして戦っていくという部分では現地での視察、映像の視察を通して、われわれの戦いに反映させていくことを工夫しながらやっている。所属クラブでの役割と、代表での役割や戦い方にギャップがあるのはもちろんあるが、できるだけ選手がギャップや違和感を感じないようにプレーしてもらえるよう、所属チームの戦い方は参考にさせてもらっている。とくにヨーロッパのマンマークで責任をはっきりとしながら組織的に戦っていくところは参考にさせていただいている」

―コンディションを見てスタメンを判断しているとのことだが、オーストラリア戦と同じシステムを取ったのは良かった流れを大事にしたいというのを意識したのか。また山根を先発に入れた理由は。
「戦い方の部分でもちろん今回招集させてもらったフィールドプレーヤー25人、GK3人含めて全員がベトナム戦に向けていい準備をしてくれた。残念ながら酒井宏樹は足の痛みでプレーすることが不可能な状態ではあったが、残ったフィールドプレーヤー24人とGK3人は試合に向けて昨日のトレーニングの中でも動けるところを見せてくれた。戦い方として直近の試合のオーストラリア戦から山根を加えただけで、選手全体を代えなかったという部分においては、まずはコンディションのところを見てということと、遅延があった選手はサブからスタートで、もともと予定どおり2日前、3日前からベトナムに着いた選手をスタメンで起用することも考えたが、実際に全体で練習できる時間が前日1時間のみということで、コンディションを上げるトレーニングをしなければいけない、いろんな確認をしなければならないとなった時、ヨーロッパから遅れて来た選手がプレーできる状態だと確認できたことと、トレーニングとミーティングを含めて試合までに与えられた時間のなかで絵を合わせる作業は、選手を代えすぎた場合には難しい作業だというのがあった。山根の起用に関しては、室屋ももちろんボールを握りながらでも彼のハードワーク、推進力、攻撃にも守備にも関わるところは活かしていけるが、よりボールを握りながら戦うことで山根の良さが活かせるということで起用の選択に至った」

―前半は南野が中に入り、長友が縦に抜けて、守田がサイドに開いて……という形で相手を外すことができたが、そのぶん中央の遠藤のところでキツかったように見えた。ベトナムだから潰せた感じがするくらいリスクがあるように見えた。あの状況をどう感じていたか。
「ベトナム戦は勝たなければいけない試合だということで、アウェーで難しい試合になることは考えながらもより攻撃の部分でアグレッシブにプレーしてくれた形だった。南野が前線の内側に入り、長友が高い位置を取る、そのスペースで守田がボールを受ける形になった。その形は相手がシステム的に3-5-2あるいは5-3-2という形だったと思うので、われわれが上手くスペースを突く部分では選手たちが賢くプレーしてくれたと思う。相手のアンカーにプレッシャーに行けなかったり、遠藤が広範囲にカバーしないといけないところはあったが、そこは攻撃から守備に切り替わった時、選手たちがリスク管理をしながら難しい守備の対応をしてくれたと思う。われわれの攻撃では相手も守備でかなり手こずっていたと思うので、痛手にならないということを考えながらリスクを負って攻撃に行って試合を進める判断だった」

―それは森保監督の狙い通りだったか。
「練習は少ししかできていないので、選手たちが良い判断をしてくれたと思う」

―勝つことが全ての試合だったと思う。ただ、VARでスーパーゴールが取り消されたというのがあるが、得点力というところに課題があると思う。どう捉えているか。
「もちろん追加点を奪えたほうが良い試合だったと思うし、われわれが今後ワールドカップの出場権を掴むためにはより多くのゴールがあったほうが得失点差のことも考えたときに優位になることは認識している。今日の試合も1-0から2-0、そしてさらに追加点に繋げられればという理想は持っていきたい。ただおっしゃるとおり、2点目あれだけスーパーなゴールで、もしかしたらレフェリーによってはオフサイドではなかったかもしれないというところ。レフェリーの判断は100%リスペクトしているので異議を言うつもりはないが、2点目を奪ったと言ってもいいという形はできていたと思う。決定力という部分では公式記録上の2点目を奪うチャンスはたくさんできていたので、決め切ることができればと思う。そこはチームとして攻撃のチャンスを作ってくれた選手たちにはさらに要求をしていきたい。しかしながらまずは現地に立っていただければ一番わかりやすいと思うが、おそらく映像上よりも非常にタフな試合で、ベトナムも粘り強く球際が強いチームで、チームとして守備も整備されていた中、あれだけチャンスが作れたところは選手がよくやってくれたと評価したい。あとは追加点もっと取れるようにオマーン戦に向けて準備していきたい」

―酒井の状態はどうか。
「ベトナム戦に向けてはプレーするのが難しいという報告を受けていて、メディカルサイド、本人は次のオマーン戦でプレーできるようにと別メニューで調整している。最終的には経過観察して、試合に出ることができるかどうかを見極めていきたい。現段階ではオマーン戦でプレーすることを目指して別メニューでトレーニングしている」

―原口を途中から起用したが、インサイドハーフ起用の意図は。
「守田から原口に代えた部分はイエローカードをもらっていたからではなく、最後に試合を勝ち切るために元気の守備力、そしていい守備からいい攻撃につないでいける推進力を活かしていけたらということで最後に勝ち切るために交代枠を使った。形は4-1-4-1、4-3-3と形は違うが、元気が所属しているウニオン・ベルリンは3-5-2、5-3-2というような3ボランチ、インサイドハーフでプレーしていて良さを出しているのは普段の視察から確認できているので、本人がチームの中で非常に活きているポジションの中で起用させてもらおうと考えた。役割というか、形は若干違いはあるかもしれないが、中盤の3人の関係でいい守備からいい攻撃につなげていこうという意味では彼の良さを出そうと交代カードを切った」

―交代枠を全員使った。オーストラリア戦では使い切れなかったが、5人を交代させたことによる新たな感覚はあるか。
「まずは代表活動で集まってくれている選手は日頃の活動で、所属クラブで存在感を発揮して代表活動に参加してくれている。できれば全員ピッチに立たせてあげることができればと思っている中で、なかなか状況を作ってあげられないということは選手たちにはストレスをかけているなと思う。僕自身はできれば使ってあげたいという思いを持っている。5人という交代枠を使って、先発の選手がいて、サブの選手がいて、サポートの選手がいて、試合に勝っていくということができて、チームとしての戦い方としてはいい形かなと思う。しかしながら交代枠を時に使い切らなかったりする中で、われわれの試合を見てくださっているみなさんをはじめ、いろんな方が起用を考えてくださるが、勝つために試合の流れを見ながら最善だということで交代枠は使わせてもらっている。結果的に全て勝てるわけではないが、勝利を目指して、少しでもいい戦いができるようにということで交代枠を選択している。そこは理解していただければと思う」

 また試合後、森保監督とマン・オブ・ザ・マッチのMF伊東純也(ゲンク)が記者会見に出席した。

 以下、試合後の会見要旨

―最終予選初の連勝となったがどういう受け止めをしているか。また結果的に1ゴールに終わったことの受け止めはどうか。
森保「W杯出場に向けて厳しい状況の中、勝たなければいけないプレッシャーのかかった状況をアウェーの厳しい環境の中、ベトナムは非常に素晴らしいチームで、勝ち点を落としてもおかしくないような相手と戦った中、選手たちが無失点で勝利を掴み取ってくれたことがまずわれわれにとってW杯に向けて前進することであり、結果的によかった。得点は1点だったが、伊東が奪ってくれて、残念ながらVARで得点を取り消されてしまったが、素晴らしいゴールで2点目と認められてもおかしくないゴールだったと思う。チャンスをその他にも作ることができて、決め切ることができたということで前向きに考えたいと思っている。ベトナムが非常に素晴らしいチームだったので、今日の試合での選手たちのファイトをたたえたい」

―今日の試合の反省は。また次のオマーン戦に向けてどのように臨みたいか。
伊東「バラバラに着いてコンディションの部分で難しいことはあったけど、短い時間でみんなで話してうまく合わせられたかなと思う。初めてのメンバーではないので、時間の短さは言い訳にできないので勝てて良かったと思う。次の相手はオマーンで前回ホームで負けているので借りを返したい」

森保「アクシデントはできればないほうがいいけど、ヨーロッパから合流する11人の選手たちがアクシデントに見舞われて、給油地で足止めされることになったという部分で、大幅にプランは狂ったが、選手たちがアクシデントや想定外が起こりうることだと、想定外も想定内だと捉えてくれて、機内に閉じ込められている時間でイライラしたり、焦ったりすることなく、落ち着いてリカバリーに努めてくれたこと、時間内でコミュニケーションを取って次の試合に向けてメンタル、フィジカルの回復に努めてくれたことがよかった。起きたことはマイナスだが、ポジティブに捉えてこの試合に向かってくれてよかった。こちらでトレーニングしてくれた選手もできれば全体練習をしたいなか、いまできることをその状況の中でしっかりやってくれて、合流した後に短い時間で合わせていこうと試合に向けて努力をしてくれた。オマーン戦に向けては伊東も話してくれたとおり、アジア最終予選初戦で負けているので次のアウェーも厳しい戦いになると思うが、勝ってW杯に向けて前進できるよう最善の準備をしたい」

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