後半ラストプレーの歓喜!「最後の1秒まで」を表現したU-16日本代表候補がU-17日本高校選抜下して優勝!
[11.28 Jヴィレッジドリームカップ U-16日本代表候補 3-2 U-17日本高校選抜 Jヴィレッジ]
「最後の1秒まで」を表現した。28年ロサンゼルス五輪世代のU-16日本代表候補は22日から28日まで、U-17日本高校選抜、U-16福島県選抜、横浜FCユースと4チーム総当たり戦の大会形式(Jヴィレッジドリームカップ、実戦は25日~28日)のトレーニングキャンプを行った。その最終日の28日、U-16日本代表候補はU-17日本高校選抜と対戦。勝てば優勝のU-16日本代表候補は、後半ラストプレーでCB畑野優真(横浜FMユース)が決勝ヘッドを決めて3-2で勝ち、参加4チームの頂点に立った。
ともに4-4-2システム。U-16日本代表候補はGKが小林将天(FC東京U-18)で、4バックは右SB舩木大輔(横浜FMユース)、CB市原吏音(大宮U18)、ゲーム主将のCB畑野、左SB小島凛士郎(鹿児島U-18)。中盤は佐々木奏太(札幌U-18)と石渡ネルソン(C大阪U-18)のダブルボランチで右MF橋本陸斗(東京V)、左MF岡野一恭平(川崎F U-18)、前線はやや下がり目の石井久継(湘南U-18)と貴田遼河(名古屋U-18)が構えた。
一方のU-17日本高校選抜はGKが藤澤芭琉(徳島市立高2年)、4バックは右SB大川佳風(流通経済大柏高2年)、ゲーム主将のCB新谷陸斗(東山高2年)、CB宝納拓斗(佐賀東高2年)、左SB保田成琉(阪南大高2年)。中盤は真田蓮司(東山高2年)と大迫塁(神村学園高2年)のダブルボランチで右MF阪田澪哉(東山高2年)、左MF木村匡吾(岡山学芸館高2年)、2トップには小林俊瑛(大津高2年)と香西銀二郎(立正大淞南高2年)が入った。
前半から互角の攻防戦が繰り広げられた。U-16日本代表候補は貴田との連係から橋本が左足シュートを放ち、CKから佐々木の打ったヘッドがクロスバーを叩く。一方のU-17日本高校選抜も右サイドを崩して大川の折り返しを真田が狙い、大迫がドリブルから左足シュートを打ち込む。
互いにゴール前での集中力が高く、ギリギリのブロックも。また、相手のミスを絶対に逃さないという緊迫感があった。U-17日本高校選抜は小林と香西の2トップや木村をはじめ、相手GKまでのプレッシングやプレスバックなど各選手のハードワークが光る。
そして、相手に警戒されながらもボールを失わずに前進する大迫と真田のダブルボランチの奪い返しや攻撃に絡む動き、阪田の縦突破などから徐々にチャンスの数を増やしていった。そして40分、DF背後へ抜け出した香西が左中間からドリブルで仕掛けて左足一閃。“ゴラッソ”と言える一撃をファーのゴールネットへ突き刺し、U-17日本高校選抜が先制した。
U-17日本高校選抜はゴール前の崩しのクオリティが高く、先制後にも立て続けにチャンス。だが、U-16日本代表候補GK小林に阻まれて突き放すことができない。一方のU-16日本代表候補は畑野や石渡、佐々木らが後方から丁寧にビルドアップ。幅を活用した攻撃で相手のプレッシャーを外し、前線で巧みにボールを収める貴田やサイドを起点とした攻撃を見せたが、前半は無得点で終えた。
U-17日本高校選抜は後半開始からGKデューフエマニエル凛太朗(流通経済大柏高2年)と右SB鈴木大翔(尚志高2年)、MF江川楓(瀬戸内高2年)、FW福田秀人(米子北高2年)を投入し、U-16日本代表候補はMF鈴木陽人(名古屋U-18)とMF幸喜祐心(琉球U-18)をピッチへ送り出し、巻き返しを狙う。
後半4分、U-16日本代表候補は投入されたばかりの鈴木が右サイドでインターセプト。すぐさまドリブルで仕掛けた石井が、右足シュートをファーのネットへ沈めて1-1とした。さらに11分、鈴木が右サイド後方からPAへボールを入れると、強引にDFの前に身体を入れた貴田が執念の右足シュート。逆転に成功した。
U-17日本高校選抜は、大迫の左足コントロールショットやゴール前に飛び出した木村の決定的なシュートが再びGK小林に止められてしまう。10分過ぎにU-16日本代表候補がFW松原史季(武南高)、U-17日本高校選抜が左SB河合侑馬(徳島市立高2年)を投入。すると17分、U-17日本高校選抜は押し込み、鈴木のクロスから小林がポスト直撃の右足ダイレクトボレーを打ち込む。その跳ね返りから阪田がクロス。ファーの小林が頭で合わせると、最後は福田秀がゴールへ押し込み、2-2とした。
この後、U-16日本代表候補は左SB小杉啓太(湘南U-18)を投入するが、勢いに乗るU-17日本代表候補は正確な速攻やショートカウンターからシュートを連発。さらにMF小関晴人(丸岡高2年)とMF碇明日麻(大津高1年)を送り出し、3点目を目指した。ともに球際で泥臭くボールを奪いに行き、その中でテクニックやスピードを活かした攻撃を繰り出す見応え十分の攻防戦。ともに勝利への強い思いを感じさせる終盤だった。
そして42分、U-17日本高校選抜は縦パスで抜け出した福田秀の折り返しからゴール正面の小林が左足シュート。ボールはゴール方向へ向かったが、ラインすれすれでU-16日本代表候補CB畑野が身体を投げ出してクリアする。U-16日本代表候補はこの直後、DF野田隼太郎(藤枝東高)とFW中川育(広島ユース)を送り出す。そしてFKから市原がゴールネットを揺らすが、オフサイドの判定だった。紙一重の攻防の連続。最後に笑ったのはU-16日本代表候補だった。
アディショナルタイム表示の3分を越えて迎えた45+5分、U-16日本代表候補は連続CK。そして鈴木の左CKをニアの貴田が頭でそらす。最後は中央へ飛び込んだ畑野が頭でゴールへ押し込み、歓喜の咆哮。選手たちが大興奮する中、試合終了の笛が鳴り、U-16日本代表候補の勝利と優勝が決まった。
U-16日本代表候補の森山佳郎監督は、「最後まで絶対に諦めずに戦い抜くということは選手たちにも伝えていた」という。勝てば自力での優勝、負ければU-17日本高校選抜が首位へ浮上するというシチュエーション。1999年の欧州CLファイナルでマンチェスター・ユナイテッドがアディショナルタイムの2ゴールで大逆転した映像も選手たちに見せていたという森山監督は、選手たちの底力に驚いていた。
「最後の最後の1秒まで」諦めずに戦うこと。終盤は相手の方が多くチャンスを作っていたが、選手たちは期待通りに最後の1秒まで諦めずにゴールと勝利を目指し、勝ち切った。森山監督は「どうしても勝ちたいという気持ちを選手たちが溢れ出していて、全部の力を出し切った。アジア予選の意味合いのゲームシチュエーションを作って、選手たちも乗っかってくれたので非常に良いキャンプになった」。
初戦で引き分け。第2戦では引き分けでも優勝が難しくなる中、後半に追いつかれながらも突き放して勝利した。そして、最終戦で重圧超えの優勝。昨年の発足以降、コロナ禍によって海外遠征や大会を経験できず、強化の遅れを指摘されていた世代が“大会”を通して成長し、結果も勝ち取った。
(取材・文 吉田太郎)
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「最後の1秒まで」を表現した。28年ロサンゼルス五輪世代のU-16日本代表候補は22日から28日まで、U-17日本高校選抜、U-16福島県選抜、横浜FCユースと4チーム総当たり戦の大会形式(Jヴィレッジドリームカップ、実戦は25日~28日)のトレーニングキャンプを行った。その最終日の28日、U-16日本代表候補はU-17日本高校選抜と対戦。勝てば優勝のU-16日本代表候補は、後半ラストプレーでCB畑野優真(横浜FMユース)が決勝ヘッドを決めて3-2で勝ち、参加4チームの頂点に立った。
ともに4-4-2システム。U-16日本代表候補はGKが小林将天(FC東京U-18)で、4バックは右SB舩木大輔(横浜FMユース)、CB市原吏音(大宮U18)、ゲーム主将のCB畑野、左SB小島凛士郎(鹿児島U-18)。中盤は佐々木奏太(札幌U-18)と石渡ネルソン(C大阪U-18)のダブルボランチで右MF橋本陸斗(東京V)、左MF岡野一恭平(川崎F U-18)、前線はやや下がり目の石井久継(湘南U-18)と貴田遼河(名古屋U-18)が構えた。
一方のU-17日本高校選抜はGKが藤澤芭琉(徳島市立高2年)、4バックは右SB大川佳風(流通経済大柏高2年)、ゲーム主将のCB新谷陸斗(東山高2年)、CB宝納拓斗(佐賀東高2年)、左SB保田成琉(阪南大高2年)。中盤は真田蓮司(東山高2年)と大迫塁(神村学園高2年)のダブルボランチで右MF阪田澪哉(東山高2年)、左MF木村匡吾(岡山学芸館高2年)、2トップには小林俊瑛(大津高2年)と香西銀二郎(立正大淞南高2年)が入った。
前半から互角の攻防戦が繰り広げられた。U-16日本代表候補は貴田との連係から橋本が左足シュートを放ち、CKから佐々木の打ったヘッドがクロスバーを叩く。一方のU-17日本高校選抜も右サイドを崩して大川の折り返しを真田が狙い、大迫がドリブルから左足シュートを打ち込む。
互いにゴール前での集中力が高く、ギリギリのブロックも。また、相手のミスを絶対に逃さないという緊迫感があった。U-17日本高校選抜は小林と香西の2トップや木村をはじめ、相手GKまでのプレッシングやプレスバックなど各選手のハードワークが光る。
そして、相手に警戒されながらもボールを失わずに前進する大迫と真田のダブルボランチの奪い返しや攻撃に絡む動き、阪田の縦突破などから徐々にチャンスの数を増やしていった。そして40分、DF背後へ抜け出した香西が左中間からドリブルで仕掛けて左足一閃。“ゴラッソ”と言える一撃をファーのゴールネットへ突き刺し、U-17日本高校選抜が先制した。
U-17日本高校選抜はゴール前の崩しのクオリティが高く、先制後にも立て続けにチャンス。だが、U-16日本代表候補GK小林に阻まれて突き放すことができない。一方のU-16日本代表候補は畑野や石渡、佐々木らが後方から丁寧にビルドアップ。幅を活用した攻撃で相手のプレッシャーを外し、前線で巧みにボールを収める貴田やサイドを起点とした攻撃を見せたが、前半は無得点で終えた。
U-17日本高校選抜は後半開始からGKデューフエマニエル凛太朗(流通経済大柏高2年)と右SB鈴木大翔(尚志高2年)、MF江川楓(瀬戸内高2年)、FW福田秀人(米子北高2年)を投入し、U-16日本代表候補はMF鈴木陽人(名古屋U-18)とMF幸喜祐心(琉球U-18)をピッチへ送り出し、巻き返しを狙う。
後半4分、U-16日本代表候補は投入されたばかりの鈴木が右サイドでインターセプト。すぐさまドリブルで仕掛けた石井が、右足シュートをファーのネットへ沈めて1-1とした。さらに11分、鈴木が右サイド後方からPAへボールを入れると、強引にDFの前に身体を入れた貴田が執念の右足シュート。逆転に成功した。
U-17日本高校選抜は、大迫の左足コントロールショットやゴール前に飛び出した木村の決定的なシュートが再びGK小林に止められてしまう。10分過ぎにU-16日本代表候補がFW松原史季(武南高)、U-17日本高校選抜が左SB河合侑馬(徳島市立高2年)を投入。すると17分、U-17日本高校選抜は押し込み、鈴木のクロスから小林がポスト直撃の右足ダイレクトボレーを打ち込む。その跳ね返りから阪田がクロス。ファーの小林が頭で合わせると、最後は福田秀がゴールへ押し込み、2-2とした。
この後、U-16日本代表候補は左SB小杉啓太(湘南U-18)を投入するが、勢いに乗るU-17日本代表候補は正確な速攻やショートカウンターからシュートを連発。さらにMF小関晴人(丸岡高2年)とMF碇明日麻(大津高1年)を送り出し、3点目を目指した。ともに球際で泥臭くボールを奪いに行き、その中でテクニックやスピードを活かした攻撃を繰り出す見応え十分の攻防戦。ともに勝利への強い思いを感じさせる終盤だった。
そして42分、U-17日本高校選抜は縦パスで抜け出した福田秀の折り返しからゴール正面の小林が左足シュート。ボールはゴール方向へ向かったが、ラインすれすれでU-16日本代表候補CB畑野が身体を投げ出してクリアする。U-16日本代表候補はこの直後、DF野田隼太郎(藤枝東高)とFW中川育(広島ユース)を送り出す。そしてFKから市原がゴールネットを揺らすが、オフサイドの判定だった。紙一重の攻防の連続。最後に笑ったのはU-16日本代表候補だった。
アディショナルタイム表示の3分を越えて迎えた45+5分、U-16日本代表候補は連続CK。そして鈴木の左CKをニアの貴田が頭でそらす。最後は中央へ飛び込んだ畑野が頭でゴールへ押し込み、歓喜の咆哮。選手たちが大興奮する中、試合終了の笛が鳴り、U-16日本代表候補の勝利と優勝が決まった。
U-16日本代表候補の森山佳郎監督は、「最後まで絶対に諦めずに戦い抜くということは選手たちにも伝えていた」という。勝てば自力での優勝、負ければU-17日本高校選抜が首位へ浮上するというシチュエーション。1999年の欧州CLファイナルでマンチェスター・ユナイテッドがアディショナルタイムの2ゴールで大逆転した映像も選手たちに見せていたという森山監督は、選手たちの底力に驚いていた。
「最後の最後の1秒まで」諦めずに戦うこと。終盤は相手の方が多くチャンスを作っていたが、選手たちは期待通りに最後の1秒まで諦めずにゴールと勝利を目指し、勝ち切った。森山監督は「どうしても勝ちたいという気持ちを選手たちが溢れ出していて、全部の力を出し切った。アジア予選の意味合いのゲームシチュエーションを作って、選手たちも乗っかってくれたので非常に良いキャンプになった」。
初戦で引き分け。第2戦では引き分けでも優勝が難しくなる中、後半に追いつかれながらも突き放して勝利した。そして、最終戦で重圧超えの優勝。昨年の発足以降、コロナ禍によって海外遠征や大会を経験できず、強化の遅れを指摘されていた世代が“大会”を通して成長し、結果も勝ち取った。
(取材・文 吉田太郎)
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