beacon

U-15日本代表候補に響くCB田所莉旺の声。年上の中で揉まれるチャンス掴み、より上へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

U-15日本代表候補CB田所莉旺(川崎フロンターレU-15)は試合を通して声を発し続けた

[11.30 練習試合 U-15日本代表候補 0-2 浦和ユース 高円宮記念 JFA夢フィールド]

 結果は0-2での敗戦。U-15日本代表候補CB田所莉旺(川崎フロンターレU-15)は「自分としては声がけもできていたし、決して悪いシーンが多かった訳ではないんですけれども、DFとして2失点してしまって負けてしまったことは重く捉えないといけないことですし、チームとしても2失点したこと、無得点ということももっと求めていかないといけない」と厳しかった。

 敗戦の中でも印象的だった一つが彼のコーチングだ。セットプレーでプレーが止まった際など、まず聞こえてきていたのは田所の声。流れの中含めて具体的な指示やチームメートを鼓舞する部分などピッチで常に声を響かせていた。

「自分はかなり意識して声を出していて、味方に伝えるのも大事なんですけれども、喋ることによって自分の頭も整理されて、自分のプレーとかも良くなっていくので、自分ははっきり思っていることを伝えるようにしています」。後半に2失点目を喫した後は、チームに落胆の色が見えていたが、少しの間を経てまた田所の声が聞こえてきていた。

 他の選手たちも呼応するように奮起。結果は敗れたものの、チームは最後まで勝利を目指して前に出て戦い続けていた。これまで所属してきたジュニアチームで声を意識していたという田所は、川崎Fトップチームの選手たちが試合中にかなり声を発している姿を見て、その大事さを再確認したという。

 現在、コーチングは自分の武器に。185cmの長身CBは、川崎Fのアカデミーで磨かれたビルドアップやキックの精度・飛距離にも自信を持っている。これらの武器を突き詰める一方、課題としているのが状況判断、相手の動きへの対応の部分だ。

 経験則としてより厳しい環境に身を置いた際に成長を感じるのだという。その田所は川崎F U-18のAチームで早く出場機会を得ること、また上の世代の代表チームに“個人昇格”することで自分の力をより高めることを目指している。

「上の学年とやると、プレスの速さとか状況判断の速さは驚かされることばかりなので、そういう厳しい環境、自分ができないことの方が多いようなところに身を置くことが一番成長を感じるなと思うので、上のカテゴリーに“飛び級”したり、チームでも代表でもそうですけれども上の学年に揉まれることが大事かなと思っています」と力を込めた。

 川崎F出身のDF板倉滉(シャルケ)やMF田中碧(デュッセルドルフ)の姿を追う一人。板倉の状況判断の良さや強さ、技術力に憧れ、田中の多様な力、試合中あらゆる局面に現れる運動量を見て刺激を受けた。彼らや目標のDFフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)の動きからも学び、Jリーグ、世界で戦えるDFを目指す。

 今年、継続的にU-15日本代表候補合宿に選出されてきたDFは、今回の合宿を含め、同世代の選手たち以上のプレーを続けてより上のステージへ。「ライバルは上に上がっている選手や同じポジションでも全国で名が知れている選手がたくさんいるのでそういう選手に勝っていけないといけないと思っています」。今回の合宿は帝京高との練習試合が行われる2日まで。30日の練習試合で敗れているだけに、田所はピッチ外から「必死に戦って絶対に勝ちを取ろう」という声がけをしてチームのため、自身のためにも勝利を求める。

(取材・文 吉田太郎)

TOP