beacon

サイド起用で奮闘、無回転&縦回転キックにもトライ…“鹿島の新10番”荒木が見据えるカタールW杯「絶対に食らい付いていけるように」

このエントリーをはてなブックマークに追加

球種にこだわりながらシュート練習に取り組むMF荒木遼太郎(鹿島)

 10代にして鹿島アントラーズの新10番に抜擢されたMF荒木遼太郎が、日本代表のピッチでも異質なインパクトを残している。常連組が多数を占める強度の高いミニゲームでも存在感を発揮し、シュート練習では自らが成長するため新境地も開拓中。大逆転でのカタールW杯メンバー入りに向けて「自分も行ける可能性は少しはあるということで、絶対にそこに食らい付いていけるように全力で表現していきたい」とアピールを続けていく構えだ。

 今月29日に20歳の誕生日を迎える荒木は昨季、10代Jリーガーとして27年ぶりとなる二桁ゴールを記録。ベストヤングプレーヤー受賞を果たし、今季からは鹿島で新たに背番号10を任された。エースナンバーを背負うにあたって意識するのは東福岡高の大先輩でもあるMF本山雅志( クランタン・ユナイテッドFC)。「偉大な背中を追いかけたい思いで10番をつけさせてもらう。10番を背負うからには多くのタイトルに貢献したい」と強い決意をのぞかせる。

 そうした中、今回の合宿ではA代表に初選出。「負けたくない気持ちはある」という同学年のMF久保建英(マジョルカ)に続きパリ五輪世代からの“飛び級”となった。とはいえ、パリ五輪は2年半後の2024年。「パリ五輪には選ばれて出たいと思っているけど、こうやってA代表に残っていければパリ五輪に選ばれると思う。A代表の活動にしっかり取り組みたい」と述べ、A代表の舞台で結果を残すというモチベーションを持って練習に取り組んでいるようだ。

 そうした思いを持っているのは荒木だけではない。今回は同じパリ五輪世代からMF松岡大起(清水)、MF鈴木唯人(清水)、DF西尾隆矢(C大阪)もメンバー入り。中でも追加招集の松岡は同じ熊本県出身の同級生で、幼少期からしのぎを削ってきた旧友とあり、大きな刺激となっているようだ。

「小さい頃からお互いに知っていて話したりプレーしたりしていたので、大起のチームでの活躍も見ているし、そういう選手とA代表でも一緒にプレーしていい刺激になっている」。そう心境を語った荒木は「A代表で一緒にプレーするのは、お互い小さいころから将来的にしたいと思っていた。それを実現できたのでここで満足せず、二人でもっと上の世界に行きたい」と新たな野望も明かした。

 17日に合宿がスタートし、すでに2日間のトレーニングが終了。荒木は「自分が目指してきた場所に初めて入れて、どんな感じだろうと思っていたけど、レベルが高くて、フィジカルなど全てにおいてレベルの高い場所だと感じた」と率直な印象を語る。

 それもそのはず。鹿島ではトップ下での輝きが目立つが、ここまでのミニゲームはいずれもサイドハーフ起用。おそらく指導陣も織り込み済みだが、小さなコートの中で高い強度に苦しめられる場面も時折見られる。ただ、荒木はそこでも真摯な取り組みを継続。「いろんなポジションができて損はない。対応力を持てればここで残っていける。対応力をつけていきたい」と前向きに取り組み、18日のミニゲーム(2/3コート)ではゴールも決めていた。

 またシュート練習でも自身の新境地を開拓しようとしている。「シーズンオフにいろんなシュートを蹴れたほうがいいなと思って、いろんな軌道のシュートに力を入れてきた」と試行錯誤しているのは無回転、縦回転のシュート。「FKの時にカーブばかりだと相手に読まれる。無回転を蹴れたらGKが嫌だなと思った」というきっかけでトライするに至ったといい、代表チームのトレーニング時間をたしかな成長の場としている。

 その先には年末に控えるカタールW杯も見据えている。今回の招集により第一関門は突破。「自分も行ける可能性は少しはあるということで、絶対にそこに食らい付いていけるように全力で表現していきたい」。まずはこの合宿を乗り越え、最終予選のメンバー入りへ。気鋭の19歳は「一つ一つの練習、一日一日を大事にしながら必死にやっていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
●カタールW杯アジア最終予選特集
●カタールW杯各大会予選一覧

TOP