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国内組合宿からの“昇格者”なし。森保監督が経緯説明「大事な時期に…」呼び戻し招集の可能性も

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国内組のアピール実らず

 日本サッカー協会(JFA)は22日、カタールW杯アジア最終予選2試合に臨む日本代表メンバー23人を発表した。17〜21日に千葉県内で行われていた国内組キャンプメンバーからはFW大迫勇也(神戸)ら6選手を招集。ただ、いずれも昨年11月の最終予選にも帯同した実績ある顔ぶれで、国内組からの“昇格者”は出なかった。

 今回Jリーグから招集されたのは大迫、GK権田修一(清水)、DF長友佑都(FC東京)、DF酒井宏樹(浦和)、DF谷口彰悟(川崎F)、DF山根視来(川崎F)の6選手。招集人数が28人から23人に減らされた中、唯一前回不出場だった谷口がDF吉田麻也(サンプドリア)不在のチャンスを掴んだが、そのほかは常連組が並んだ形となった。

 一方、昨年11月の最終予選にも帯同し、今回の合宿最終日に行われた練習試合でハットトリックの大活躍を見せていたFW上田綺世(鹿島)は無念の落選。合宿中のミニゲームで主力組を担っていたDF中谷進之介(名古屋)、MF稲垣祥(名古屋)、MF江坂任(浦和)、MF脇坂泰斗(川崎F)、FW武藤嘉紀(神戸)、MF相馬勇紀(名古屋)も招集メンバーから外れた。

 森保一監督は21日のメンバー発表会見で選考理由を説明。「国内組で代表キャンプをさせてもらって、一生懸命にベストを尽くしてくれた選手が間違いなくこの代表の戦力であることは確認させてもらった」と国内組への高評価を口にしながらも、「残念ながら活動の際には招集できる人数が決まっているし、これまでの活動といまの選手の状態、これからどうチームを作っていこうかという中で招集した。総合的に考えて、メンバーが変わってないと思われるかもしれないが、彼ら(招集外の国内組)が代表チームのメンバーのラージグループにいること、彼らがいつでもチームに参加して戦える戦力だということは私自身強く感じたし、昨日のキャンプの一番最後にも選手たちに伝えさせていただいた」と抜擢に至らなかった経緯を述べた。

 昨年11月の活動ではアウェー2連戦だったこともあって28人を招集したが、ホーム2連戦の今回はベンチ入り人数上限と同じ23人の招集。その背景には日本政府による検疫措置が影響したようだ。国内組は最終予選の活動後6日間にわたる隔離義務を求められており、シーズン開幕前に主力選手の合流が遅れる所属クラブからは政府や日本協会に反発も。そうした事情を受けた森保監督は、23人の選出となった理由を次のように述べた。

「これまでのアジア最終予選ではコロナ禍の制限で対応しないといけないことや、怪我や累積警告で不測の事態が起きた時に備えて、プラスアルファで招集させていただいた。彼らはできることを精一杯チームためにやってくれた。どのような状況でも代表チームに参加することが選手にとっての成長につながり、チームの結果も得られるとも考えたが、海外組では長時間移動してきてチーム内での競争で勝っていくことが難しくなるリスクがある。国内組も昨日までキャンプをさせていただいて、非常にいいパフォーマンスを見せてくれたし、代表への思いを見せてくれたので(ベンチ入り)メンバーに入る入らないは別としてチームに入れることも考えたが、Jリーグであるならシーズン立ち上げのチームづくりの重要な時期にわれわれが余剰の戦力として招集させてもらうことはしてはいけないと考えた。選手にとって、代表活動はどんな立場で来ても絶対的に選手としてプラスになる経験ができると思っているが、コロナ禍で厳しいルールがある中での生活、活動を終えて隔離期間を経てチームに帯同しないといけないことによるメンタル面、パフォーマンス面への影響も考えると、招集できるちょうどの人数で活動できるほうがいいと判断した」

 もっとも、海外組の帰国にトラブルが起きたり、負傷者が出たりする可能性も大いにある。追加招集の可否について「海外組のコロナの陰性証明をもって日本に入国できる期間内であれば国内外問わず考えたい」と説明した指揮官は「今回の国内組のキャンプをさせていただいて、結果的に選ばれなかった選手は多数いるが、間違いなく代表の戦力になると思わせてもらえる選手がたくさんいた。本来であれば中国戦に向けて招集させてもらってもいい選手はいるが、いったんチームに戻ってもらいながらも代表に力を貸してもらえるような状況になった時には代表に力を貸してもらいたい」といったんクラブに戻った国内組を呼び戻す方針も示唆した。

 また森保監督は「話はズレかもしれないが……」と前置きした上で、今回の国内組キャンプを総括。「今回の最終予選に向けた国内組のキャンプという目的はあったが、代表のさらなるレベルアップと層の厚さを作るためにも、国内組のキャンプをさせてもらえたことは大きな意味があると思っている。どんな状況でも戦力を落とすことなく戦っていけるということを選手たちに感じさせてもらったし、国内組だけで代表を組ませてもらったことが、選手たちの成長への刺激になり、代表の経験をしてきた選手がチームに戻ることで、さらにいろんな選手の刺激になってもらえれば。Jリーグ、大学、高校、日本サッカー全体のレベルアップや盛り上がりにつながればと招集させていただいた。今回の国内組キャンプが中国戦に向けても、そして日本サッカー全体のパワーになればいいなと思っている」と述べ、国内組合宿の成果がこの先、花開くことを望んだ。

(取材・文 竹内達也)
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