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吉田&冨安不在の緊急事態に長友「ポジティブな精神状態にさせることが僕自身の役割」

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フィールド最年長のDF長友佑都(FC東京)

 日本代表は今回、DF吉田麻也(サンプドリア)とDF冨安健洋(アーセナル)の絶対的センターバックを負傷で欠き、カタールW杯出場をかけたアジア最終予選2試合に挑むことになった。代役の出場が見込まれる中、フィールド最年長のDF長友佑都(FC東京)は「最終予選を戦う面で相当な責任、プレッシャーがあると思う」と配慮。自らがサポート役を買って出ることで「心配ない。ベテランや経験ある選手も周りにいるし、カバーできる。問題ないと思っている」と自信を示した。

 森保ジャパン発足当初から、最終ラインの中心を担ってきた吉田と冨安。その関係性は東京五輪にも引き継がれたように、まさに“替えがきかない”存在としてあり続けてきた。ところが吉田が今月6日のリーグ戦で左ハムストリングを負傷すると、直近のリーグ戦を欠場していた冨安も招集辞退が決定。日本は守備の絶対的な要が2人揃って不在というスクランブル状態に追い込まれた。

 フィールドプレーヤーとしてもっとも長く日本代表に在籍し、2人の成長を間近で見ていた長友もその存在の大きさを語る。「吉田、冨安の一番の強みは精神的に安定しているところ。だからこそ日本代表で活躍できている。チームと同じで良い時は誰もが良いけど、悪い状態の時、ミスをしたりしてナーバスになっている時に選手の価値が一番出る。吉田、冨安は精神的な強さを持っているのが強み」。そうした存在がチームにいない影響は間違いなく大きい。

 とはいえ今回の中国戦、サウジアラビア戦はW杯出場を大きく左右する重要な2試合。不在を嘆いてばかりもいられない。吉田に「佑都、頼んだ」と託されたという長友は「怪我人で数人が来られていないが、サッカー界は何が起きるかわからない。ホームで試合ができなかった可能性があるし、海外の選手が日本に来られない可能性も考えられたというネガティブな要素も考えていくと、ホームでできること、海外組がほとんど来られたことで、僕自身はポジティブだと考えている」と前向きに受け止め、戦いに挑んでいこうとしている。

 まずはそうした機運をつくるため、長友は代役CBとして出場が見込まれる選手のサポートを行っていくつもりだという。「新しくどういう選手が出るかわからないけど、うまくいかないときにどう安定した精神状態が保たれるかが試されている。僕自身としてはそういう状態でも落ち着かせるというか、『大丈夫だよ、問題ないよ』とポジティブな精神状態にさせることが僕自身の役割だと思う」。自身は最終予選に入って途中交代も続いているが、「試合に出ても出なくてもチームにとってポジティブな、プラスの存在でいたい」と強調。立場にかかわらず、W杯出場のために力を注いでいく姿勢だ。

 今回のシリーズ初戦で対戦する中国代表はすでにW杯出場の可能性が絶望的となっている中、リー・シャオポン監督が新たに就任。次の日本戦が初陣となる。「一番怖いのは監督が変わって、モチベーションも高く、僕たちもどう戦ってくるのか読めないところ」(長友)。スカウティングが通用しない中、ピッチ上で冷静に戦うことができるか——。サポートを担う長友らベテラン陣の働きも大切になりそうだ。

(取材・文 竹内達也)
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