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JFA反町技術委員長が明かした森保J“セットプレー進化”の裏側「スペインの試合を見ると…」

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 日本サッカー協会(JFA)の反町康治技術委員長が3日、技術委員会後にオンラインブリーフィングを行い、カタールW杯アジア最終予選の2試合を振り返った。日本代表は今回の最終予選で中国、サウジアラビアにそれぞれ2-0で勝利。グループ2位の座を守り切り、3月のオーストラリア戦に勝利すれば本大会出場という状況に持ち込んでいた。

 そうした中、反町技術委員長が着目したのはセットプレーだった。JFAは今年1月からセットプレーコーチに菅原大介氏を招聘。最終予選で連勝を続けられた背景には、反町技術委員長が監督として率いた2008年の北京五輪でもテクニカルスタッフを務めていた“参謀”の働きがあったという。

 中でも目立った成果が表れたのはスローインだった。中国戦では後半16分、DF中山雄太(ズウォレ)のスローに対し、タイミングよくMF守田英正(サンタクララ)と入れ替わったMF南野拓実(リバプール)がリターンを返すと、中山のクロスからMF伊東純也(ゲンク)が追加点を奪取。反町技術委員長は「セットプレーの定義が5プレー以内ならあれもセットプレーからのゴール。久しぶりにセットプレーからゴールを取った形。相手を分析済みで、スロワーマークがいない情報が事前にあったのでそれを有効に使った」と振り返った。

 続けて反町技術委員長は「サウジアラビア戦ではちょうど同じように中山がボールを投げたシーンがあったが、サウジもよく分析しているので、3対2だった中国戦が3対3でスロワーにもマークがついていた。研究しているんだな、われわれのことを見ているんだなと感じた」と2戦目での変化にも着目。その上で「CKがサウジは8本あって、われわれは1本しかなかった。だが、サウジの攻撃に対して決定的なピンチにならなかったのはそれなりのトレーニングと相手を分析して、こいつはニアにこいつはファーにという配役も変えているから。セットプレーコーチがしっかり調べてやった結果、細かいところも全部できるようになった」と手応えを語った。

 また中国戦では相手の情報が少ない中、入念な分析でリスクに備えていたという。「中国戦では監督さんが変わりましたよね。つまり中国がどうやってくるかがわからない。しかし、あの監督は武漢でやっていたので、武漢の試合を遡って2年間くらいのセットプレーを全て引き抜いて、どういうことをやっているかを全部調べた。そういう努力をしているからこそ、守り方も攻め方も、ウィークを突けるし、ストロングを抑えることができた」と振り返った反町委員長は「いまのスタッフで見ろと言っても時間が足りないかもしれない。黒子だけどやってもらったのは感謝しているし、少なからずチーム力の上積みになっている」と力を込めた。

 一方、この2試合で感じた課題も口にした。「オーストラリア戦で何をするかは一切言えない」と話した反町技術委員長だが、「サウジ戦では中盤のスローインがほとんど相手のボールになっていた」と指摘。「普通はスローインのもらい方ってゆっくりもらうじゃないですか。でもスペイン代表の試合を見るとトップスピードで動いて相手を外している。遠慮しがちに小さい動きをするのではなく、ダイナミックに大きい動きをする傾向もあるのかもしれない」と世界の動きを観察しつつ、「より良い形で上積みできるようにやっていきたい」と意気込んだ。

 もっとも、こうした分析の成果をどう使うかについては、あくまでも現場スタッフに委ねる姿勢を見せた。コーチ任命時に「素地づくり」と役割を表現していた通り、「それを監督に対してどう思うかは監督次第。無理矢理感を持ってやることは一切ない」と強調。「オプションをどんどん増やして行って、あとは選手の判断に任せて、より強いチームを作っていかないといけない」と期待を寄せた。

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