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小学生年代のJFA選手登録料が無料に! 田嶋会長、現行登録制度に危機感「18歳のところでガクッと…」

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JFAの田嶋幸三会長

 日本サッカー協会(JFA)は2022年から、第4種(小学生年代)チームに所属するサッカー・フットサル選手のJFA登録料を無料化することを決めた。2月14日から始まる新年度の登録から適用。これまで700円だった第4種サッカー選手の登録料、500円だった第4種フットサル選手の登録料が無料となる。

 JFAによると、登録料の無料化はJFAが現在推進中の登録制度改革の第一歩。JFAは現在、各年代の大会に出場する人々が選手として登録するだけでなく、ファン・サポーターやスポンサー、選手の保護者などサッカーに関わる人々全てがアプリを通じて登録できるメンバーシップ制の導入を進めており、その入り口にあたる小学生年代に大きく門戸を開いた形だ。

 JFAの田嶋幸三会長は10日、オンラインを通じてメディアブリーフィングを実施。第4種年代の選手登録料の無料化により、JFAとしては年間約1億8000万円の減益となることを明かした。一方、登録料を原資としていたJFAから各都道府県協会への補助金は「減額するつもりはない」と明言。さらに「ドイツ協会のようにJFAは一切登録料は取らず、都道府県のみ取るのが理想だと思っている」と述べ、ゆくゆくはこの施策を全年代・カテゴリに広げていく見通しを語った。

 こうした身を切る改革の背景にあるのは「18歳のところでガクッと登録しなくなる」(田嶋会長)ことに象徴される、現状の登録制度への危機感だという。

 現状では大会に出場する選手がチーム主導でJFA選手登録を行うのが一般的であるため、小学校・中学校・高校からの進学時には登録者がいったん大きく減少する。「全ての方がサッカーを辞めているかというとそうではない」にもかかわらず、大きな断絶が生まれている。また小学生年代でも、少年団に所属する約70%の選手がJFA選手登録を行っておらず、JFAの調査によればその総数は50万人弱。全国大会への出場機会がなかったり、そもそも大会出場の少ない小学校低学年は登録しないケースが多いという。

 こうした登録制度の現状について田嶋会長は「大会に紐づいた登録だったからこんなことになってしまった」と指摘。大会出場を前提とした選手登録制度から、選手としてプレーしているかどうかも問わないメンバーシップ制の導入により、「生涯にわたってサッカーに関わっていける環境を築いていきたい」と意気込みを示した。

 田嶋会長はさらに「今までチーム主体でつながっていたことで、個人とはつながれていなかった。選手の移籍もクラブの了解が得られないと…というのがあったが、選手がプレーできる環境を選べるような登録制度改革を行っている」と育成年代で問題が顕在化している選手のチーム間移籍にもメリットがあると指摘。また今後正式発表されるメンバーシップ制についても「登録した人は、パートナー企業さんの買い物が安くなるとか、特典があるとか、スポンサーさんにとってもメリットになる制度を作っていきたい。代表選手たちとも話し合いをしながら、登録しているかたの誕生日にメッセージがいくとか、いろんなことを企画している」と展望を語った。

(取材・文 竹内達也)
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