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パリ世代をリードする存在に…鈴木唯人の決意「A代表に常に入りながら五輪を目指す」

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MF鈴木唯人(清水)

 U-21日本代表の大岩剛監督だけでなく、A代表の森保一監督からも注目を集める20歳。UMF鈴木唯人(清水)が大岩ジャパン発足メンバーとして、パリ五輪に向けてのスタートを切った。今年1月にA代表初招集を果たし、今季のJリーグでは開幕2試合連続ゴールを記録。「自分が目指しているのはA代表なので、こういう活動でアピールすることが大事」と他の選手よりも高い基準を掲げ、日々を過ごしていく構えだ。

 市立船橋高出身の鈴木は一昨季、清水エスパルスに加入。高い身体能力と献身性を活かし、ルーキーイヤーからコンスタントに出場機会を掴み、2年間でJ1通算62試合に出場した。だが、過去2年間での得点数はわずか2。今年1月の活動でA代表追加招集を決めた森保監督も「プレーを見ていて、これまではゴールまで行く姿勢は彼が持っている特長として素晴らしいものがあると思っているが、決め切るところ、具体的な結果が足りないと思っていた」と振り返っていた。

 ところが今季は目の色が変わった。まずは開幕節の札幌戦で初ゴールを挙げると、第2節磐田との静岡ダービーでも勝利に導く先制ゴールをマーク。「特に技術が上がったわけでもないし、シュートの能力が上がったかというと、そうは言えない」。そう語る鈴木の変化の裏には、A代表での刺激があったという。

「初めてA代表に参加させてもらって、もちろん日本の国内組だけだったけど、トップレベルの人がいる中でいろんな刺激を受けたし、もっともっとこれ以上頑張ることが大事だなと思った。いろんな面で自分にとってプラスになる部分が多かった。自分の日々に活かしていこうと続けてきた結果、いまがある」

 そのうえ所属先の清水では開幕前から負傷者が多発。「今年はシーズン始まる時に怪我人も多くて、自分がやらないといけない状況でもあった。初めて代表にも参加させてもらって、やらなきゃいけない状況になってくれたおかげで気持ち的にもやらないといけないし、自信を持って入れたことが結果につながった」。本来であればプレッシャーにもなりかねない状況を力に変え、結果につなげてきたようだ。

 こうした鈴木の活躍について、A代表の森保監督も「その中で開幕からゴールに向かう強い気持ちと、技術と強さも兼ね備えながら、最後に決め切る、結果にこだわるということをやっている。ゴールにこだわって貪欲にプレーしている」と高評価を送っていた。また「A代表経由のオリンピックであり、オリンピック経由のA代表じゃない」と高い基準を掲げるU-21日本代表の大岩監督も「A代表の合宿に参加した唯人やアンリがいろんなものを感じたと思うので、それをスタンダードとしてわれわれもレベルアップしていこう」と述べ、鈴木にチームを引っ張る働きを求めていた。

 そんなメッセージは鈴木の胸にも深く刻まれている様子だ。「A代表に入りながらオリンピックに出るところが一番。オリンピックを目指してオリンピックに入るのではなく、A代表に常に入りながらオリンピックを目指すことが大事」。そう目線を上げた20歳は「パリ五輪という目指すターゲットが決まっているから、それに向けてどういう取り組みをしていけるかが一番大事。ターゲットに向かってやるために逆算し、日々の積み重ねをしっかりしていかないといけない」と3年後の大舞台に向けて力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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