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[J-VILLAGE CUP U18]U-17代表が0-2から逆転勝利。“真剣勝負”で成長し、「日本代表として大会を戦うことの意味」表現

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FW後藤啓介(磐田U-18)が2得点。U-17日本代表は0-2から大逆転勝利

[3.19 J-VILLAGE CUP U18 U-17日本代表 3-2 横浜FCユース Jヴィレッジ]

 19日、福島県のJヴィレッジにて、第4回 J-VILLAGE CUP U18の第2戦が行われ、U-17日本代表は高円宮杯プレミアリーグEASTに所属する強豪・横浜FCユース(神奈川)と対戦。年長の相手に2点のリードを先に奪われる最悪の展開となりながら、後半にFW後藤啓介(磐田U-18)の2得点などで大逆転。「日本代表として大会を戦うことの意味」(冨樫剛一監督)をピッチ上で表現し、白星を掴み取った。

 尚志高(福島)に0-1と敗れた第1戦から先発メンバー11名を入れ替えて臨んだ。GKには中村圭佑(静岡学園高)、DFは右から石川晴大(清水ユース)、畑野優真(横浜FMユース)、石川穂高(昌平高)、北島郁哉(鳥栖U-18)、中盤は由井航太(川崎F U-18)、碇明日麻(大津高)、石井久継(湘南U-18)、3トップには安藤阿雄依(清水ユース)、小田晄平(昌平高)、小池直矢(前橋育英高)が入った。

 立ち上がりから攻守の狙いを感じさせたのは横浜FCユース。U-17代表のプレッシャーをかわしてゲームを組み立てる攻撃を見せれば、守っても長身CBコンビの池谷銀姿郎ヴァンイヤーデン・ショーン、そしてGK西方優太郎が中心となる守備陣がしっかり機能。29分にCKから池谷が決めて先行すると、前半終了間際の41分にもMF清水悠斗が加点して2点のリードを奪い取った。日本はGK中村が2度の好セーブを見せて気を吐いたが、苦しい流れとなってしまった。

 ただ、冨樫監督は悲観していなかったようだ。奇しくも、この大会前にはU-17W杯準決勝で、ブラジルが前半0-2のビハインドでありながら後半に3点を奪ったゲームを見せての意識付けも行っていた。サッカーは90分のゲームであり、前半の内容がどうあれ、ハーフタイムでいかに戦術的にも心理的にも改善して後半に臨めるかどうか。そして「交代で出てくる選手たちがパワーを与えられるか」が代表チームとして戦う上でのキーファクターであることも協調してきた。実際、第1戦でもハーフタイムを挟んで選手たちが意見を出し合い、大きく状況を改善させたという手応えもあった。

 もちろん敗戦に終わった第1戦の結末は、「日本代表として戦う以上、勝たなくてはいけない」(冨樫監督)代表チームとしては落第点。今度は内容を改善しつつ、なおかつ勝利に結びつける必要があった。攻守の狙いを揃え直した後半、立ち上がりから攻勢を強めたU-17代表は、後半18分に交代出場のMF幸喜祐心(琉球U-18)の得点で1点差に迫ると、その後も攻勢を継続していく。

 この流れで爆発したのは最前線の後藤だった。第1戦は複数回の得点機を得ながらノーゴールに終わり、試合後のミーティングで指揮官に「自分のせいで負けたと思います」と言ってきたというストライカーは胸に秘めていた闘志をしっかりと表現。後半22分にゴールを狙った直接FKからハンドリングの反則を誘発して得たPKを自ら決めると、41分には途中出場のFW鈴木陽人(名古屋U-18)のボール奪取からのスルーパスを受け、冷静なコントロールシュートをゴールへと流し込む。第1戦の借りを返す、見事な2ゴールだった。

「交代で入ったメンバーを含め、90分間を使ってサッカーをしようという部分を出してくれた」と語った冨樫監督は「こういう真剣勝負が、本当に選手たちを成長させてくれる」とコロナ禍の中で開催に至った大会そのものにも改めて感謝の気持ちを表した。

 20日の第3戦では、一つ年上に当たるU-17日本高校選抜と対戦する。当然ながら代表を食ってやるという気持ちで向かってくるであろう相手に対し、冨樫監督は「こちらもしっかり牙を研いでおかないといけない」と語り、次なる“真剣勝負”が、さらに選手たちを成長させてくれることへの期待を込めた。

(取材・文 川端暁彦)

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