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「苦しむのではなく、楽しむ」。18歳になったチェイス・アンリは原点回帰で「思い切りやる」

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18歳になったDFチェイス・アンリ

 24日、ドバイカップU-23に参加中のU-21日本代表DFチェイス・アンリ(尚志高)が18回目の誕生日を迎えた。

 チームの最年少選手には大岩剛監督から祝福の言葉を贈られたほか、練習後にはMF松木玖生(FC東京)、細谷真大(柏レイソル)らが一斉に水をかける“奇襲”を敢行し、手荒い“お祝い”を受けることとなっていた。

「やべえ、マジで。予想してなかった……」

 そう言って苦笑いを浮かべたアンリは、同時に「めちゃ楽しいです」と、各年代を通じて「初めて」だと言う日本代表チームの一員としての海外遠征の充実ぶりを語る。食事は現地のものを食べているため、「キツい」と口にする選手もいるが、アンリの答えは真逆だ。

「いや、飯もめちゃくちゃ美味いっす」

 ただ、サッカー面に関しては最近になって悩みもあった。高く評価されて上の年代の代表チームに引っ張られる一方で、「周りの選手たちがずっと上手いし、『マジで苦しいなあ』と思っているところはあった」と言う。

「自分は最近全然サッカーで上手くいってないし、いろんな難しいこともどんどん増えてきて、なんか焦っちゃうところもあった」

 メディアやファンから大きな注目を受ける中で、ある種の息苦しさを感じていた面もあるのだろう。海外に来て、そこから久しぶりに解き放たれた感覚もあると言う。

「日本じゃないところに来て、ここではカメラとか向けられることもないし、めっちゃラクですね。それは凄く感じています」

 大きな期待を集めてプレーする中で、「ミスが怖くなって、楽しくプレーすることを忘れてしまっていることに気付いた」と言う。この遠征のテーマは、本来の自分を取り戻す場でもある。

「上手いプレーをしようとして自分のプレーが出なくなっていた。何を言われてもいいから、まず前向きにプレーしていくことにしたい」

 もちろん、上を目指すための努力も忘れない。この遠征では同じCBの選手たちにもアプローチ。「自分と同じようなプレースタイルだと思う」というA代表経験者の西尾隆矢に話を聞きにも行った。

「西尾くんは本当に説明も上手くて、めちゃ参考になりました」

 また最近の悩みの種である「右利きの自分が左CBでどうプレーするのか」については、同じ右利きでありながら左CBでも自在にプレーする木村誠二に“直撃質問”も敢行した。こうした学ぶ姿勢もまたアンリの持つ資質の一つで、悩んでいるのも飛躍の前のステップだろう。

「もし出たら、とにかく思い切りやりたい。余計なことは忘れて、いろんな国の代表と対戦できることを楽しんで、自分のプレーを出していきたい」

 18歳になったチェイス・アンリの新しいチャレンジは、このドバイの地から始まっていく。

(取材・文 川端暁彦)
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