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古川との静学マッチアップ実現! “先輩の成長”見せた拓殖大DF関根大輝「高校時代に比べたら抑えられるようになった」

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MF古川陽介(磐田)とDF関根大輝(拓殖大)のマッチアップ

[4.27 練習試合 U-19日本代表候補 2-5 関東大学選抜]

 U-19日本代表候補合宿のトレーニングマッチで、静岡学園高育ちの先輩後輩マッチアップが実現した。高卒JリーガーMF古川陽介(磐田)がU-19日本代表候補の攻撃を牽引する中、立ちはだかったのは大学2年生のDF関根大輝(拓殖大)。後輩の切れ味鋭いドリブル突破を受け止め続けた先輩は試合後、「シンプルに楽しかった」と笑顔で振り返った。

 45分×3本という変則マッチで行われたU-19日本代表候補対関東大学選抜(U-20)のトレーニングマッチ。結果は立ち上がりからゴールを重ねた関東大学選抜が1学年上の威厳を見せ、5-2での完勝を収めた。

「サッカーには年齢は関係ないけど、一個上というプライドもあった。アップの時からチームのみんなで絶対に負けられないからいい入りをしようと声かけてやっていた。前半いい形で試合に入れて、合わないところもあったけど、先制点が入ってうまく試合を運べた」。コンバート間もない右サイドバックで約70分間プレーした関根にとっては実り多き一戦となった。

 また関根にとって、この一戦に負けられない大きな理由があった。U-19日本代表候補の左サイドハーフを担った古川は静岡学園高の一つ後輩。「古川とは結構仲が良くて、家にメシに来たくらいの仲でした」。試合前日には古川から直接連絡があり、互いに「マッチアップできたらやろうと話していた」と対戦を心待ちにしていたという。

 連絡を取っていた時点ではどういう起用になるかは未定だったそうだが、当日を迎えると2人はそれぞれ両チームで先発。古川から見て左サイド、関根から見て右サイドで念願のマッチアップが実現した。

 試合は関東大学選抜のペース。序盤から力強い攻撃が次々に決まり、1本目からゴールを重ねた。しかし、U-19日本代表候補もなんとか苦境の打破を狙うなか、古川のドリブル突破を中心に攻撃を展開。立ち上がりから“攻める古川に、守る関根”という構図が続き、とくに序盤は古川の切り返しに対して関根が後手に回る場面が多く見られ、対応に手を焼いているようにも思われた。

 試合後、囲み取材に応じた関根は苦笑いまじりに後輩の成長を認めた。「すごい懐かしい感じがあって、選手権も見ていたので来るだろうなとは思いつつ、いざ目の前で切り返しが来るとやっぱりヤバイなと(笑)」。高校時代と比較しながら「1対1は高校時代もしていたけど、切り返しのキレはさらにすごくなった」と目を見張った。

 もっとも、先輩としてのプライドは保っていた。「先輩で意地はあるので絶対に止めようと思っていた」。1本目の45分間では鋭い切り返しから決定的なクロスにつなげられる場面もあったが、2本目に入るとほとんど自由を与えず、ゴールにつながる働きを阻止。「前半一回行かれたシーンがあったので、後半は何が何でも潰してやろうじゃないけど、絶対に抑えようと思っていた。後半はあまり仕事をさせなかったので良かった」とホッとした様子で話した。

 上々のパフォーマンスは自身の成長も印象付けるものとなった。「自分も高校時代はCBを主にやっていたけど、対人は自分の課題でもあった。大学に入ってから自分も先輩を捕まえて1対1をやってきていたので、そういうところで高校時代に比べたら抑えられるようになったんじゃないかなと思う」。昨年途中のコンバートから約半年。後輩とのマッチアップで自らの新境地に手応えを感じたようだ。

 何より新たな持ち場はは、ボールスキルを高め続けてきた高校時代の経験も活きるポジション。「足元はすごくやってきたのでドリブルは自信があるし、相手が一発で飛び込んできたところをドリブルで剥がしたり、一枚剥がして数的優位を作るというのを意識している」。そうした自信を積み重ねつつ、今では「去年に比べたら自信を持ってできるようになったと感じている。ビルドアップも活かせるし、対人も成長できた。まだ自分のモノにできているとは思っていないけど、少しはできてきた」と言えるほどになった。

 そうした鍛錬の先に目指すのは、後輩が先にたどり着いたプロサッカーの舞台だ。

 練習試合にはU-19日本代表候補、関東大学選抜ともに有望選手が多く出場していたこともあり、多くのスカウト陣が視察。「将来は海外で活躍したいが、まずはJリーグにという想いがある。チャンスだと思って来ていたので、いいところを出して精一杯アピールしようとしていた」。この日のパフォーマンスは少なからずインパクトを与えていたはずだ。

 そして今後は大学のリーグ戦でもアピールを続けていくつもりだ。「リーグ戦全試合フル出場を目標にしていて、いまは継続してやれているので、ちょっと痛いところがあっても出続けられるように意識している。デンソーカップに選んでもらってそこで何もできなかったので、ここで成長してまた選ばれたいと思っていた」。後輩との幸せな再会を終えた20歳は「まずプロに入ることを意識して、そこからどんどんステップアップできるようにしていきたい」と気持ちを新たに、さらなるレベルアップを遂げていく。

(取材・文 竹内達也)

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