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“5戦9発”またもネイマールに屈した日本、板倉らDF陣大奮闘もブラジルに0-1惜敗

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FWネイマールのPKに屈した

[6.6 キリンチャレンジ杯 日本 0-1 ブラジル 国立]

 日本代表は6日、国立競技場でのキリンチャレンジカップでブラジル代表と対戦し、0-1で敗れた。劣勢が続いた中でもDF板倉滉(マンチェスター・C)ら守備陣が耐え、無失点の時間を長く続けたが、後半32分に過去の日本戦4試合8ゴールのFWネイマール(パリSG)にPKを決められ、無念の敗戦。これで通算対戦成績は2分11敗となった。

 日本にとってはドイツやスペインと戦うカタールW杯グループリーグに向け、FIFAランキング1位の強豪国と対戦できる貴重な機会。63638人の大観衆が会場に詰めかけた中、日本は現状のチーム力をテストすべく、カタールW杯アジア最終予選でV字回復を果たした4-3-3の布陣を敷き、主軸を担ったメンバーを中心に送り込んだ。

 GKは権田修一(清水)で、4バックは左からDF中山雄太(ズウォレ)、DF吉田麻也(サンプドリア)、板倉、DF長友佑都(FC東京)。3センターはMF遠藤航(シュツットガルト)、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)、MF田中碧(デュッセルドルフ)が組み、ウイングは左がMF南野拓実(リバプール)、右がMF伊東純也(ゲンク)。1トップにはFW古橋亨梧(セルティック)が入った。2日のパラグアイ戦(○4-1)からは吉田、遠藤、原口以外の8人が変更となった。

 対するブラジルにとっても欧州勢との対戦が難しい中、貴重なテストマッチ。錚々たる顔ぶれを送り込んできた。システムは4-4-2でGKはアリソン・ベッカー(リバプール)。最終ラインは右からDFダニエウ・アウベス(バルセロナ)、DFマルキーニョス(パリSG)、DFエデル・ミリトン(R・マドリー)、DFギリェルメ・アラーナ(アトレチコ・ミネイロ)が並び、ダブルボランチはMFカゼミーロ(R・マドリー)とMFフレッジ(マンチェスター・U)。ウイングは左にFWビニシウス・ジュニオール(R・マドリー)、右にFWラフィーニャ(リーズ)が入り、2トップにはMFルーカス・パケタ(リヨン)、ネイマールが並んだ。[スタメン&布陣]

 日本は立ち上がりからアグレッシブにボールを動かし、なんとかブラジルの守備ブロックを打開しようと試みる。ところが前半2分、さっそくブラジルに決定機。素早い攻守の切り替えからネイマールが左に渡すと、ビニシウスが長友との駆け引きからゴール前にラストパスを送り、ネイマールがトリッキーなバウンドヒールパス。これに抜け出したL・パケタが右足でシュートを狙った。だが、わずかに精度を欠いて左ポストにヒット。日本にとっては命拾いとなった。

 すると前半5分過ぎ、日本は遠藤の持ち上がりから分厚い攻撃を展開し、原口のドリブルや長友のクロスでゴールを襲う。しかし、二次攻撃の精度が足りず、シュートにはつなげられなかった。同8分、カゼミーロからラフィーニャへのパスを中山が力強いタックルでカットし、南野が積極的にドリブル突破。D・アウベスのタックルを受けてゴール左斜め前でFKを獲得した。同9分、中山のキックに板倉がフリーで反応したが、ヘディングシュートは大きく枠を外れた。

 日本は前半11分、ネイマールを起点とした攻撃から中央を攻められ、吉田のクリアが甘くなったところをフレッジに狙われたが、ミドルシュートは枠外。同12分、伊東が鋭いフェイントから右サイドを切り裂くも、G・アラーナの対応に阻まれた。同13分、カゼミーロのパスをパケタに収められ、カウンター攻撃のリスクを抱えたが、古橋がD・アウベスに寄せてファウルで止めた。

 前半17分、日本はカゼミーロ、パケタの細かいパスワークから中央を崩され、ネイマールにペナルティエリア内でボールを受けられたが、板倉と中山がしっかりと囲い込んで阻止。同19分、カゼミーロの浮き球パスをパケタにそらされ、ネイマールのラストパスからD・アウベスが襲いかかったが、クロスフェイントからのシュートは権田が滑り込みながら大きく跳ね返した。

 日本は前半23分、伊東の左CKに遠藤が頭で合わせるも、ボールはゴールマウスの左へ。同24分には中央に絞ったビニシウスに田中が股を抜かれたが、他の選手がカバーリングに入って危険なエリアへの侵入は許さない。同26分、田中から南野にパスが通るも、カゼミーロに奪われてカウンター攻撃。だが、ネイマールの突破は板倉がファウルで阻むと、このFKからラフィーニャのキックをカゼミーロに合わせられたが、身体を寄せて枠に飛ばさなかった。

 さらに前半27分、日本はブラジルの分厚い攻撃に対して撤退状態となったが、ネイマールのミドルシュートは権田がスーパーセーブ。同29分、ビニシウスのパスを受けたカゼミーロのミドルシュートも板倉が身体を張ってブロックした。同32分、遠藤のパスから伊東が右サイドで攻め上がり、クロスに古橋が頭で合わせるも、これはオフサイドに終わった。

 なかなかボールを握り返せない日本は前半33分、原口のパスがG・アラーナにカットされると、ネイマールがゴール左斜め前からカットイン。板倉がスライディングで阻み、FKを与えてしまった。キッカーはネイマール。だが、これは壁に入った南野が正面で防いだ。同37分にはネイマールに寄せながらもボールを奪えず、右のフレッジに通されたが、オーバーラップしてきたD・アウベスを中山が封鎖してピンチの芽を摘んだ。

 前半39分、日本はゴール正面でまたしてもFKのピンチを迎えると、ブラジルはネイマールが蹴ると見せかけラフィーニャが左足一閃。権田の反応はやや遅れていたが、幸いにも左に外れた。同41分、遠藤が右サイドでボールを奪われ、迫力あるカウンターに襲われるも、ビニシウスのドリブルに対して遠藤がバックチャージ。イエローカードと引き換えに失点機から逃れた。

 前半42分、パケタに中山が寄せながらも突破され、スルーパスに抜け出したネイマールに右足ワンタッチでシュートを放たれたが、ニアポストを狙ったシュートは権田がファインセーブ。防戦一方の日本だが失点は許さない。同44分、日本はアリソンまでハイプレッシャーをかけてボールを奪おうと試みるも、連続ショートパスで完全にいなされ、ゴール前に持ち込まれる。最後はなんとかネイマールのシュートを板倉がブロックしたが、前線プレスの質では課題が出た。

 0-0で迎えた後半開始時、日本は原口に代えてMF鎌田大地(フランクフルト)を投入。鎌田が左インサイドハーフ、田中が右インサイドハーフとなった。すると1分、日本は長くなったパスを追いかけた中山がライン際にボールを残し、これが相手に渡って大ピンチ。しかし、鎌田が懸命なプレスバックで追いつき、ファウルで止めた。

 後半4分、ネイマールがドリブルで田中の股を抜くとスタジアムからは大きなどよめき。日本は同6分、板倉のロングフィードのこぼれ球を古橋が拾ってミドルシュートを放ったが、マルキーニョスにブロックされた。同8分、南野のボールキープがネイマールに奪われ、右に抜けたパケタのクロスにネイマールが反応するも、テンポを外したシュートは日本守備陣がブロック。続くセットプレーも中山の空中戦でしのいだ。

 後半11分、ラフィーニャに右サイドを突破されるも遠藤が身体を寄せ、ドリブルはゴールライン外へ。またラインを割ったボールを折り返されたが、ネイマールには板倉がしっかりと寄せており、守備陣の集中力の高さが目立った。板倉のインターセプトを起点とした保持攻撃から伊東、長友で右を崩し、鋭いクロスボールがゴール前へ。相手のクリアに田中が詰め、久々の決定機となったが、相手にブロックされた。

 後半15分、ロングフィードに反応したネイマールに抜け出されたが、遅らせた板倉とアプローチした長友の対応によりピンチを脱出。直後にはカウンター攻撃を仕掛け、鎌田のパスから南野が左に抜け出す場面もあった。ブラジルは同18分、ビニシウスとラフィーニャに代わってFWガブリエル・マルティネッリ(アーセナル)とFWガブリエル・ジェズス(マンチェスター・C)を入れた。

 日本は後半19分、ロングフィードに古橋が抜け出したが、飛び出して対応したアリソンに華麗な足技でかわされ、得点機にはつなげられない。対するブラジルは直後、こちらもロングフィードにネイマールが抜け出し、胸で完璧にボールを収めたが、板倉がしっかりとシュートに立ちはだかった。森保一監督はここで2枚目の交代カードを使用。同22分、古橋に代わってFW前田大然(セルティック)を投入した。

 ブラジルは後半26分、フレッジとD・アウベスに代わってFWリシャルリソン(エバートン)とDFチアゴ・シウバ(チェルシー)を投入。パケタがボランチに落ち、ミリトンが右に移った。日本は直後、前田と南野のコンビでカウンター攻撃を仕掛けると、左サイドを攻め上がった中山のクロスから伊東がボレーシュート。だが、これは上に大きく外れた。日本もここで選手交代。南野と伊東に代わり、MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)とMF堂安律(PSV)を投入した。

 その後はオープンな展開となり、日本にとっても相手のスキを突くチャンス。ところが後半30分、先に試合を動かしたのはブラジルだった。日本はネイマールとリシャルリソンのワンツーは板倉が阻んだものの、こぼれ球に詰めようとしたリシャルリソンを遠藤が倒してしまい、PKを献上。これをネイマールに決められた。ネイマールは日本戦5試合連続ゴール。これで日本戦史上最多の9ゴール目となった。

 なんとか反撃に出たい日本は後半36分、田中と長友に代わってMF柴崎岳(レガネス)とDF山根視来(川崎F)を投入。同37分、三笘がE・ミリトンに1対1を仕掛けて一度は抜いたが、2度目のアプローチで阻まれる。ブラジルは同40分、パケタとカゼミーロに代わってMFブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)とMFファビーニョ(リバプール)を投入した。

 攻撃に勢いが出てきた日本は後半42分、三笘が鎌田とのワンツーでペナルティエリアを切り裂き、相手に倒されるがPKはもらえない。それでも波状攻撃で遠藤が持ち上がり、ゴール左斜め前でFKを獲得した。だが、鎌田のキックは味方に合わず、ゴールキックへ。同43分、三笘が鋭い切り返しからドリブル突破を仕掛けるも、これもミリトンに阻まれた。

 後半44分、ブラジルのビルドアップがもたついたところで、前田がアリソンに猛プレッシャーをかけてボールを奪取。三笘に続いて交代選手が次々に持ち味を発揮した。しかし、試合はそのままタイムアップ。ブラジル戦初白星を狙った日本だったが、宿敵ネイマールに屈する形で0-1での惜敗に終わった。

(取材・文 竹内達也)
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