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かつて喰ったブラジルに“完敗”…田中碧「手応えを感じようと思っても感じさせてくれなかった」

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日本代表のMF田中碧(デュッセルドルフ)

 日本代表のMF田中碧(デュッセルドルフ)がキリンチャレンジカップ・ブラジル戦(●0-1)から一夜明けた7日、報道陣のオンライン取材に応じた。ブラジル戦ではインサイドハーフで先発出場し、81分間にわたってプレーするも持ち味は発揮し切れず。「僕自身は完敗。自分のせいで負けたなと思うし、自分が積み上げてきたものが全く通用しないという表現より、全く出せないという表現かなと思う」と厳しく振り返った。

 昨年10月のカタールW杯アジア最終予選4戦目のオーストラリア戦(○2-1)でA代表デビューを果たすと、それ以降は4-3-3システムで主力に定着し、1勝2敗という崖っぷちからのW杯出場権獲得に大きく貢献。そんな田中は本大会に向けてレギュラー争いを優位に進めるべく、先発の立場でブラジル戦を迎えたが、世界的強豪に対して普段どおりのパフォーマンスを出し切れなかった。

 試合中にはFWネイマール(パリSG)、FWビニシウス・ジュニオール(R・マドリー)に短時間で2度も股抜きをされるなど、わかりやすい屈辱も味わった。それでも「ゴール方向に抜かれるときは悔しいけど戻させていた。取り切れれば良かったけど、そこは気にしていない」と田中。そんな目に見えることよりも、「言語化できない」ほどの力量差が脳裏に焼き付いているようだ。

「フィジカル、スピード、抽象的な言葉で終わらせるのは簡単だけど、それをより細かくしないといけない。大まかなところで言えばフィジカル、保持するときの立ち位置、質など、おおまかなところはあるけど、より細分化して消化しないといけない。まだ整理はついていない感じはある」

 ブラジルとの差についてそう葛藤を明かした田中は「自分がそういう選手に追いつくために、より具体的なものを見出していかないと、追いつきたい追いつきたいと言いつつも追いつけない。むしろ、それがわかれば追いつける。自分が出した答え、導き出したものが正解かわからないし、難しい部分もあるけど、感じたものを消化して、ピッチで試して、どうなるのか」と展望しつつ、「ブラジルのような強豪国とやることは滅多にないけど、そうやって少しずつ差を埋めていかないといけない」と力を込めた。

 何よりこの日対戦したのは親善試合仕様のブラジル。「彼らの力はもっともっと果てしないと感じる。より大舞台になると迫力や質が上がってくると思う。僕はその差というか、手応えを感じようと思っても感じさせてくれなかったくらいに差があると感じた」とピッチで対峙しながら、彼らにはまだ余力があるとも感じていたという。

 もっともその一方、田中は「差があるのは分かっていたけど、大きく差があると感じたと同時に、そういう選手に追いつけるんじゃないかという感覚がある。サッカーを続けていく中で、彼らが普段やっている舞台に追い付かないといけないし、次に対戦した時により互角に戦える選手になれるんじゃないかと感じた」と前向きに語り、「果てしなく遠いとは感じたけど、唯一ポジティブに感じたのはそこかなと思う」と手応えをのぞかせた。

 田中はかつて2019年6月にU-22日本代表の一員としてトゥーロン国際大会で対戦し、「今回ほどではないけど衝撃を受けた」あと、同年10月のブラジル遠征では圧巻の2ゴールを沈め、世代別のブラジル代表を喰った経験も持つ。「少しずついろんなプレーをし続けることで経験値、トライアンドエラーを繰り返して自分のものにできた」。自らに課題を突きつけながら、ここまで成長してきたという自負がある。

「これをいい経験で終わらせるつもりはない。すぐに追いつけると思ってはいないけど、サッカーをやっていく以上は追いつかないといけない」。そう力強く語った田中は「そのために海外で戦うことを決めた自分もいるので、メッタ打ちにされて成長していければ面白いし、楽しいんじゃないかと思う」と笑顔を見せつつオンライン取材を終了。W杯本大会まで約半年、田中碧はまだまだ成長できる。

(取材・文 竹内達也)
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