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切磋琢磨する仲間が揃う“パリ五輪世代”U-21日本代表…GK小久保玲央ブライアン「本当にいいチーム」

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GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)

 パリ五輪世代のU-21日本代表は、AFC U23アジアカップ ウズベキスタン2022を第2節まで終えて1勝1分。7日には前日のサウジアラビア戦で出場時間が少なかった選手を中心とした13名が練習に参加した。選手たちは笑顔を見せながら、それでも出番を掴むために切磋琢磨。GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は「本当にいいチーム」と現在の雰囲気を語った。

 日本は3日の第1節・UAE戦で2-1の勝利を収め、6日の第2節・サウジアラビア戦で0-0と引き分けた。2試合ともに息詰まる熱戦。目を見張る活躍を見せたのはGK鈴木彩艶(浦和)だ。試合後に大岩剛監督は鈴木彩を評価する。しかしそれと同時に称えたのは、鈴木彩を含めた小久保、GK佐々木雅士(柏)の3人の関係性。「GKはあと2人いますけど、このグループはしのぎを削るいい状態。彩艶も評価するけど、グループ3人を評価していいと思います」と良質なライバル関係に目を細めた。

 サウジアラビア戦後、鈴木彩も「レベルが高いグループ」とその関係性を語る。佐々木は柏で直近の試合に出場。小久保はベンフィカのBチームでコンスタントに出場し、トップチームのベンチ入りも果たした。「逆に自分が一番試合に出られていない。その中で自分は練習でアピールすることを意識している。また試合は来ますけど、そこでいつ変わるかわからない」(鈴木彩)。今大会で2試合連続で起用されながらも、たった1枠の正守護神争いに気を引き締めていた。

 一方で、鈴木彩は小久保と佐々木に感謝も口にする。「自分が気持ちよくプレーしやすい環境を整えてくれます。練習の中でも雰囲気良くできている」。7日の練習でも小久保と佐々木は笑顔を見せながらも好セーブを連発。チームを盛り立てつつ、仲間のシュートをはじき、練習に張りを作った。

 7日の練習後、小久保もGK3人の関係性を語る。「全員がリスペクトしつつ練習できている。本当に誰が出ても良い、というのは監督に見せ続けられている。GKグループとして、みんなで良いトレーニングができていると思います」。試合に出られない現状には「悔しい気持ちもある」と本音。だが「彩艶がいいプレーをしているから、そこはリスペクトしつつ、いつ次の試合に出るとなったときも出られる準備はしている。それは雅士も同様。本当に少しでも気を抜かないでやっていきたい」。全力を尽くし合うことで、3人の関係を保っているようだ。

 その良好なライバル関係はチーム全体にも広がる。7日の練習に参加したのは、前日のサウジアラビア戦で出場時間が短かった、または出場がなかった選手たち。だが、決して腐ることなく、集まった選手同士で和やかな空気を作りながらトレーニングに励んでいた。

 初戦に出場しながら、第2節はDF半田陸(山形)に出番を譲ったDF内野貴史(デュッセルドルフ)も、チームの良質な雰囲気を語る。「みんな絶対に悔しい気持ちは持っている。自分も2試合目、外から見ていて悔しかった。でも、試合の後に監督に言われましたけど、悔しい気持ちをいい方向に持っていけば、チームとして全体がグッと上がっていく。悔しい気持ちを各自が正しい方向に向ければ、自分が出たときにいいプレーができる。次にサポートに回った選手が、その選手をサポートしなきゃいけないという雰囲気にもなります。チームとして戦えているというのは、このチームの強みでもある」。

 この世代はコロナ禍の影響もあり、代表活動に縁遠かった選手も多く、また飛び級選出の選手もいる。だが、大岩監督体制発足の3月からここまで、短期間でもチームの結束は強い。「自分が最年長ですけど上下関係もなく、年下の(松木)玖生だったり(チェイス)アンリだったり、全員が仲がいい。そこは本当にいいチーム」(小久保)。パリ五輪を目指すためのタフな道のり。ともに歩み続けるための関係性は徐々にできあがっているようだ。

(取材・文 石川祐介)
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