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U-21日本代表は「大学サッカー界にもいる」、MF佐藤恵允の奮起と明治大指揮官6000km越えの愛ある叱咤

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MF佐藤恵允(明治大)

 U-21日本代表は15日のU23アジア杯準決勝で開催国ウズベキスタンと対戦。今大会のメンバーで唯一の大学生・MF佐藤恵允(明治大)は「大学サッカー界にもこういう選手がいるということを、プレーで世界に発信できたら」と活躍を誓う。

 日本はグループリーグを2勝1分で突破し、準々決勝では韓国に3-0で勝利。快進撃を続け、15日の準決勝・ウズベキスタン戦に臨む。14日には非公開で前日練習を行い、最後の調整を終えた。囲み取材で佐藤は「自分は出場時間が短かったので、比較的コンディションは良い」と出場への意欲を語る。

 9日のグループリーグ第3節・タジキスタン戦(○3-0)で今大会初出場となった佐藤。1トップで起用され、攻守でハードワークを続けると、1-0で迎えた後半11分にゴールを生む。相手GKのパスミスから最前線でボールを奪い、そのまま左足シュート。今大会初ゴールを挙げた。

 タジキスタンに3-0で勝利した日本は無事グループリーグを突破。ゴールも決めた佐藤だったが、「自分の中で納得できるようなものではなかった」と自身の内容には不満を覚えていた。

「自分の持ち味を十分に発揮できなかったというのが素直な感想。前線の選手として求められている、背後への抜け出し、前線からのプレス、もちろん得点も。そういうものを求められた中で、自分に何ができたかと考えると、まだ得点しか決められていない」

 その思いは、遠く離れた日本から試合を見守った明治大の栗田大輔監督も同じだったようだ。試合後には指揮官から連絡があった。初ゴールの祝福を受けつつも、その内容は佐藤が感じていた課題と同じだった。「怖さを出せ。怖さが足りていない。背後への動き出しとか、もっとできるところがある」と届いたという。

 栗田監督は11日の関東大学リーグ戦後に、改めて佐藤のプレーを語る。「普通の人はゴールおめでとうとか送るんでしょうけど、背後が全然だめで面白くないと、レベルが低いと送りました。(佐藤から)自分もそう思いますと返信がありました。もっとモビリティを出して、中盤の選手やサイドバックの選手が持ったときにアクションを起こさないと」。6000km離れた東京から「いつも通り」(佐藤)の愛ある指導が入った。

 日本は12日の準々決勝で韓国と対戦。前半終了間際に激しい猛攻を浴びる場面が増えていくと、ベンチスタートの佐藤がハーフタイムから出場する。言い渡された任務は、相手の攻撃のキーマンFWチョ・ヨンウクの封印。自陣に突破された中でも、佐藤が鋭く寄せてピンチをしのぐ。流れを引き寄せると、転じて攻撃でも左サイドからチャンスを作った。

 佐藤投入で攻守を整えた日本は後半20分、同35分と追加点。U-23世代の韓国に3-0で勝利を収めた。「まず守備の部分で泥臭く守る。味方のために走ることを心掛けました。そこは最低限表現できた。収穫はあった」。その後、栗田監督から再び連絡があったという。「よくなったよねとメッセージを頂きました」。

 15日の準決勝では開催国ウズベキスタンと対戦。「出場機会がなかった中で、出るときのために準備の質は追求してきた。この前の韓国戦でも、途中出場で求められたものを最低限表現できた。いい準備はできています」。恩師の言葉を胸に、大学サッカー戦士が決勝進出を懸けた大一番に臨む。

(取材・文 石川祐介)
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