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「選手たちは本当にストレスだったと思う」森保監督が明かした6月シリーズ4試合の“テスト戦略”

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森保一監督

 日本代表森保一監督が21日、報道陣のオンライン取材に応じ、6月シリーズ4試合を振り返った。南米とアフリカの競合を相手にホームで2勝2敗。結果の面で課題は残したが、「最後に負けて終わってしまったので残念な部分はあるが、試そうと思ったことはしっかりと試せた」と前向きに述べた。

 約2週間強の活動期間があった6月シリーズで、パラグアイ(○4-1)、ブラジル(●0-1)、ガーナ(○4-1)、チュニジア(●0-3)と対戦した森保ジャパン。大幅にメンバーを入れ替えながら戦ったため、東京五輪世代を中心に大きく出場時間を伸ばす選手が出てきた一方、4試合で2勝2敗、とくにW杯出場国相手には1勝2敗という厳しい結果に終わった。

 それでも期間中からたびたび「選手の組み合わせを試したい」と述べていた森保監督。負傷中のDF冨安健洋(アーセナル)、DF菅原由勢(AZ)、MF守田英正(サンタクララ)と第4GKの大迫敬介(広島)以外は全選手に長い出場時間を与えたことを前向きに振り返った。

「GKの大迫(敬介)は残念ながら使ってあげることはできなかったが、招集したほとんどの選手にプレーしてもらいながら、誰が出てもチームのために戦う、誰と組んでもチームを機能させるという部分をトライできた。誰と組んでもチームを機能させる部分については言葉で言うのは簡単だが、やっている選手は非常に難しい。今できる最高のトライをしてくれた」

 一方、多くの選手を起用したことでメンバーの入れ替えが続き、戦術面での課題が見られたことについては「選手たちにとっては本当にストレスだったと思う」と認めた。もっとも、そうした負荷は想定内だったという。「1試合1試合組む選手を変えて、個人戦術でもグループ戦術でもチーム戦術でも意思統一が難しい中で、よくトライしてくれた」。そう手応えをのぞかせた指揮官は「サッカーは一人変われば流れが変わる、3人変わればチームが変わる難しさがある中、課題を設定して状況を変えてやったことがこれから活きると思っている」と展望を語った。

 しかしながらカタールW杯まではあと5か月。残る活動期間は欧州遠征が予定されている9月の国際Aマッチウィークと、本大会直前の10日間弱だけだ。キリン杯決勝チュニジア戦の試合後にはMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)から「チームとしてどう攻めていくかの決まり事はいろいろ持たないといけない」「狙いの細かさも全然足りていない。フィールド内の自分たちの対応力に行ってしまっているところがある」という言葉が聞かれるなど、チームコンセプトの練度への不安はチーム内からも感じられる。

 それでも森保監督はこの日、三笘に求める役割について「本人からもそういう話があったし、メディア上でもいろんな話をしているが、彼自体が戦術であるというところ。個で打開する能力があるからこそ、そこを託している部分はある」と指摘。「ブラジル戦以降は研究もされ、個の突破は難しいと感じながらやっていると思うが、世界で戦っていく上では彼自身もこれからプレミアで戦っていく、世界のトップトップで戦っていく時に、ここで少しでも自信を持ってもらうことが所属チームでの経験につながると思ったし、それが日本の武器として成長につながるという見方でプレーしてもらっている」と述べ、まずは難しい状況を単独で打開していけるよう成長を求めた。

 また三笘にマークが集まることについても「パラグアイ戦では薫がボールを持った瞬間、伊藤洋輝が何度もオーバーラップを仕掛けて、彼の個の突破を助ける状況があった。今後チームの形としてやっていかないといけないが、チュニジア戦でも3人は引きつけられていたので、それだけでも他の選択肢が生まれる」と前向きに受け止め、「自分の好きなプレーである突破するというところではスッキリしないと思うが、たくさん他の選択肢が生まれているのは感じてもらえれば」ときっぱり。「チュニジア戦では伊藤洋輝に『全部オーバーラップを仕掛けろ』と言っていれば状況が変わったとは思うが、まずは(三笘には)独力で行ける選手にさらになってほしい。そういうところも見ながら、試合の流れを感じながら指揮をとらせてもらっている」と自身の考えを明かした。

 選手の組み合わせをテストし、細かい戦術面には余白を残した6月シリーズ。森保監督は「今後に向けて試したことが活きるなという手応えはある」と自信を示す。

「試したからと言って負けて良しということではないのが代表だと思うし、結果に関して言うと、ホームでブラジルにもあの状況であれば引き分けで終われた中で選手交代をして敗戦してしまったというところ、チュニジアには0-3でホームで不甲斐ない敗戦をしてしまったところは責任を問われても、批判されても仕方ない。ただその中で選手たちがやってくれたトライ、チームとしてやってきた組み合わせのトライ、チャレンジは間違いなく今後の成果につながると思っている。結果としては日本代表の勝利のために戦うのはやっていかないといけないが、日本サッカーの発展のためにという部分においては、W杯に向けていまやっておかなければ現実その時になって組み合わせを変えて『初めてだった』という感覚にならないためにはいい準備になるチャレンジができた」

「私が試合の設定づくりをした中で、選手たちは本当にストレスだったと思う。1試合目、2試合目、3試合目、4試合目と、あまり選手を変えていなければだんだん積み上がっていって、感覚的にその状況で自分たちはどうしようというのがオートマティックにできるようになっていたのを、極端に言えば毎回ゼロに戻して、そこから積み上げてほしいという形で、選手にとって本当にストレスになることをトライしてくれたことを最大限評価したい。それは今後に絶対活きる。『あそこで一回プレーしたよな』というところが出てきてくれることを期待している」

 9月の欧州遠征では、さらなる積み上げが見られるのか。この日、9月の1試合目でアメリカとの国際親善試合が決定。もう1試合の対戦国は未決定だが、カタールW杯出場国を中心に詰めの交渉が行われている。森保監督は9月の活動に向けて「2試合の中でできるだけ多くの選手はプレーしてほしい、プレーさせてあげられるように準備したい。なんとなく全員を使う、より多くの選手を使うというより、より高いレベルの選手、同等の選手がより多いほうが本大会で結果を出す確率を上げられると思うし、日本サッカーの全体のレベルアップにつなげられる。コアな選手をチーム戦術をやる上で成熟させること、多くの選手が絡んでいけるようにとやっていきたい」と方針を述べつつ、「よりワールドカップに向けて具体的に準備を進めていくことになると思う」と断言した。

(取材・文 竹内達也)
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