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3年ぶりのSBSカップ開幕。ウルグアイとの熱戦の中で「枠を広げた」U-18日本代表が1-0勝利!

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後半40+2分、決勝点を喜ぶU-18日本代表イレブン

[8.25 SBS杯第1節 U-18日本代表 1-0 U-18ウルグアイ代表 藤枝総合]

 U-18ウルグアイ代表、U-18ウズベキスタン代表、U-18日本代表、そして静岡ユース(静岡県高校選抜)が優勝を争う「2022 SBSカップ国際ユースサッカー」(静岡)が25日、開幕した。開幕試合でU-18日本代表とU-18ウルグアイ代表が対戦。後半40+2分にMF根本鼓太郎(桐蔭横浜大)が決勝点を決め、U-18日本代表が1-0で勝利した。

 今回、04年生まれ以降で構成されたU-18日本代表の指揮を執るのは、U-19日本代表と兼任の冨樫剛一監督。U-19日本代表は、今年9月にAFC U20アジアカップ予選(23年U-20ワールドカップアジア1次予選)に出場する。冨樫監督はこのU20アジアカップ予選、また年明けのU20アジアカップへ向けて、「チャンスだと思います、彼らにとって」と説明。上の世代の代表チームへ“個人昇格”を狙う選手たちが、強敵との国際試合でチャレンジし、見事に勝ち切った。

 U-18日本代表は4-3-3システム。GKは中村圭佑(静岡学園高)、右SB都築駿太(流通経済大柏高)、CBヴァン・イヤーデン・ショーン(横浜FCユース)、CB高井幸大(川崎F U-18)、左SB高塩隼生(横浜FCユース)、中盤はアンカーに下田栄祐(鹿島ユース)が入り、インサイドハーフが松村晃助(横浜FMユース)とゲーム主将の徳永涼(前橋育英高)。3トップは右から荒井悠汰(昌平高)、高橋輝(大宮U18)、名願斗哉(履正社高)が構えた。

 ウルグアイは長距離移動の疲れもあり、前から奪いに行くのではなく、やや重心を下げてカウンター狙い。その相手に対して日本はボールを保持し、ヴァン・イヤーデンと高井から攻撃を組み立てていく。

 11分には、右サイドから中へ切れ込んだ荒井がスルーパス。これで名願が抜け出したが、打ち切れない。13分には高井、徳永から2本の縦パスが通り、抜け出した高橋が左足を振り抜く。

 徳永、松村が積極的にスペースを狙って攻撃に厚みを加えた一方、ビルドアップでのミスからピンチも。冨樫監督は「(ウルグアイは)伝統的にカウンター一発で沈めて来ているチームなのでその怖さは80分間感じていました」と振り返る。

 33分には右クロスを名願が折り返し、荒井が強引にシュートへ持ち込むもウルグアイDFがブロック。日本は荒井、名願の強力な両翼が個人技も交えて切り崩そうとするが、ウルグアイの守りは堅く、なかなか攻略することができない。38分には果敢な仕掛けを繰り返していた荒井が、MF阪田澪哉(東山高)と緊急交代するアクシデントもあった。

 前半、ウルグアイにセットプレーから危ないシーンを作られたが、日本も後半、セットプレーからチャンスを作り返す。6分に左CKから192cmCB高井がヘディングシュートを放ち、名願をFW五木田季晋(川崎F U-18)と入れ替えた後の16分には右CKを高橋がそらし、飛び込んだヴァン・イヤーデンが右足で合わせる。

 だが、このシュートの際にヴァン・イヤーデンも負傷してしまう。日本はCB小澤晴樹(大宮U18)を投入。同じタイミングで松村と根本を入れ替えた。1点が欲しい日本だが、冨樫監督は「ボールを奪う、カウンターを消すというところから言っていました」。気持ちが前がかりになる中でも守備を怠らないことを徹底させる。

 都築が対人守備の強さを見せたほか、下田や高塩がタックルを決める。また、徳永の切り替えの速い攻守も効果大。日本は鮮やかなコンビネーションで左サイドを攻略し、高塩が大きく前進するシーンもあった。チームのこの試合のテーマは「枠を広げる」こと。個々が自分のできること、枠を広げ、チームの枠を広げようとしていた。

 ウルグアイの10番MFフランコ・ゴンサレス主将(ダヌビオFC)も「組織として非常に強いチームだと思った」と評した日本。26分にはカウンターからウルグアイに決定機を作られたが、MFブルーノ・モラレス(モンテビデオ・シティ・トルケ)の右足シュートをGK中村のファインセーブで切り抜ける。強豪との1点勝負。日本は個々が我慢強く戦う中で、運動量、強度を持って戦うなどチャレンジを続けていた。

 その日本は後半30分、高塩と高橋に代えてMF坂井駿也(鳥栖U-18)と左SB石川晴大(清水ユース)を同時投入。1点を目指して攻守を続けた日本が決勝点を奪い取る。後半40+2分、日本は自陣左サイドでカウンターを受けるも高井と下田が阻止。そしてDFラインまで下がってカバーしていた坂井が低弾道の見事なサイドチェンジで右タッチライン際の阪田へ配給する。

 これを受けた阪田がDFとの1対1から強引に前へ出てラストパス。指揮官の指示で左サイドから中央寄りにポジションを取っていた根本が、右足ダイレクトでゴールへ流し込んだ。このままリードを守って1-0で勝利。冨樫監督は「(枠を広げるためのチャレンジを)全員でできたことが素晴らしかった」と評した。1977年に始まった伝統のSBSカップは、3年ぶりの開催(20年は代替大会の「SBSカップドリームユースサッカー」として開催)。U-18世代の才能たちは尽力してくれた人々に感謝しながら、残り2試合、個人、チームとして成長を続け、アジア、世界の戦いへのチャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)

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