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恩師から「期待を込めて」与えられた10番。U-18日本代表MF根本鼓太郎が決勝点

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U-18日本代表MF根本鼓太郎(桐蔭横浜大)は交代出場で決勝点

[8.25 SBS杯第1節 U-18日本代表 1-0 U-18ウルグアイ代表 藤枝総合]

 U-18日本代表の冨樫剛一監督は、東京ヴェルディジュニアに所属していた小学生時代から知る恩師。その指揮官から、「期待を込めて」10番を与えられたMF根本鼓太郎(桐蔭横浜大)が、劇的な決勝点を決めた。

 この日、ボールを保持しながら攻めた日本だが、U-18ウルグアイ代表の堅い守りをこじ開けることができず、0-0のまま後半アディショナルタイムへ突入。ベンチはPK戦を想定し、準備に取り掛かっていたという。その中で根本の下へ、絶好のチャンスが訪れた。

 後半40+2分、日本は自陣左サイドでボールを奪い返すと、MF坂井駿也(鳥栖U-18)が素晴らしいサイドチェンジ。右のMF阪田澪哉(東山高)がDFの外側から前に出てマイナスのラストパスを通す。ここに走り込んだ根本が、右足ダイレクトでゴールへ流し込んだ。

 根本は、「自分のチームでもよくあるシーンだったので、FWの選手がニアで潰れてくれて、マイナス側が空いていたので絶対に来ると信じていました。まずはフカさないように抑えて蹴ることを意識して、あとは当てるだけでした」。そして、「気持ち良かったです」と歓喜の瞬間を振り返った。

 冨樫監督の的確なアドバイスもゴールに結びついた。この日、根本は後半19分からインサイドで出場。選手交代に伴い、4-3-3の左サイドでプレーしていた。その根本に対し、指揮官は「(サイドに)張りすぎると(ゴール前の局面に)間に合わないから、(CFの)五木田(季晋)に寄っておけ」と指示。得点シーンでは、ニアの五木田と連動した動きでゴールをこじ開けた。

 根本はジュニアからユースまで東京Vの育成組織でプレー。昨年はユースチームの10番を背負い、2年連続でトップチームに2種登録されていた実力者だ。その根本にとって、冨樫監督は「冨樫さんが(東京Vの)トップの監督やっている時に、(自分が)ジュニアとかで話をして頂いていた」という存在。代表チームで再会した恩師からは「まずは守備を求められていてその上での攻撃。自分は攻撃が得意なので両方で貢献できるようにと言われています。(今日も)やり切って来い、と言われました」。この日は守備から意識して献身的にボールを追い、勝負どころで持ち前の攻撃力を発揮した。

 今回のU-18日本代表メンバーでは唯一の04年早生まれ。大学生としての責任感もあった。先発を外れた悔しさを胸に抱いていたが、「まずは日本代表として勝つことにフォーカスして、自分が出た時に点が獲れたので良かったです」。ドリブル、パス、シュートで試合を決めることのできる万能型アタッカーは、ピッチでそのエネルギーを発揮した。

 関東大学リーグ1部の強豪・桐蔭横浜大でも守備への課題意識を持ちながら、川崎F内定のFW山田新らプロ内定組の先輩たちの背中を追って成長中。この日、同学年のU-19日本代表入りへ向けてアピールした根本は、守備の強度、ボールに係る回数を増やすこと、そして勝利とゴールを自身に求めてSBSカップから飛躍する。

(取材・文 吉田太郎)

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